YAMAHA PACIFICA全機種バリエーションと違い比較
・シリーズごとに何が違うの?
・種類がありすぎてどれを選べば良いかわからない
・弦交換が怖いならPACIFICA311Hもアリです
・初心者ギターからの買い替えや、中から上級者のサブギターならPACIFICA612Vがおすすめ
パシフィカ品番の読み方
パシフィカの品番は数字とアルファベットの組み合わせだけですが、体系化されています。一応解説しますが、覚えなくて良いです。
▼最初の数字はシリーズを指します。
2番目の数字はハムバッカーピックアップの数を指します。
3番目の数字はシングルコイルピックアップの数を指します。
▼そのあとに続くアルファベットそれぞれ以下の仕様を指します。
V:トレモロブリッジ(アーム付き)
H:ハードテイルブリッジ(アーム無し)
M:メイプル指板(Mが無い場合はローズウッド)
FM:フレイムメイプルトップボディ
QM:キルテッドメイプルトップボディ
例えば、
PACIFICA612VFMは600シリーズ、ハムバッカー1基、シングルピックアップ2基、トレモロブリッジ、フレイムメイプルトップ仕様
PACIFICA120Hは100シリーズ、ハムバッカー2基、シングルピックアップ無し、ハードテイルブリッジ、という仕様を指します。
PAC012
カラーは全4色。
・パシフィカで最も安い
・とにかく安いパシフィカが良いならおすすめ
・島村楽器専売モデル
市場相場売価格23,900円。
ヤマハパシフィカで最も安いシリーズ。
島村楽器とのコラボモデルのため、島村楽器の店頭かオンラインショップでしか買う事ができません。
基本はPAC100シリーズをもとに、ピックアップと使用されている木材で価格を下げています。
ピックアップはセラミックマグネットを採用したオリジナル品。
シングルピックアップとハムバッカーの両方を搭載していますが、他の機種に比べるとパリッとした立体感のない、少し物足りないサウンドに感じます。また、コイルタップもできないので、他の機種と比べてサウンドバリエーションも少ないです。
木材は生産時期により異なるようです。製造する時に安い木材を使用することを最優先することが、価格を下げられる秘訣のようです。
パシフィカをとにかく安く手に入れたいという人におすすめ。少しでも音にもこだわりたいなら断然100シリーズがおすすめです。
PAC100シリーズ
・コスパに優れた一番おすすめのモデル
・PAC012によりも良い音で弾きやすい
・サウンドバリエーションが豊富でどんなジャンルにも対応できる
市場相場売価格33,660円。
パシフィカで最もコスパに優れたモデルだと思います。というのもPAC100, PAC200, PAC300で使用されている基本的な木材は同じです。つまりもっと高いグレードにも使われている木材を、最も安く買えるモデルということです。
ピックアップはアルニコVマグネットを採用し、オールジャンルに使えるバランスに優れたサウンドを創出。ハムバッカーをシングルコイルに切り替えるコイルタップも可能。
・身体にフィットするボディ
・細身で弾きやすいネックシェイプ
・オールジャンルに対応できる音色の幅広さ
・この価格帯のギターとしては弾きやすいYAMAHAクオリティによる細かな仕上げの良さ
というパシフィカの人気の秘訣を、最も安い価格で堪能できるのがPACIFICA112Vです。
PACIFICA112V
カラーは全6色。
PAC100 Seriesのベーシックモデル。迷ったらこれでOK。
詳細なレビュー記事はこちら
PACIFICA112VM / PACIFICA112VMX
カラーは全4色と、イエローナチュラルカラーのPACIFICA112VMXを合わせて全5色。モデル名は違いますが、ピックガードとボディの色意外は、PACIFICA112VMと違いはありません。
この100シリーズのみにラインナップされる、メイプル指板モデル。厳密にはサウンドにも多少影響しますが、このクラスであれば見た目で選んでokです。
PACIFICA120H
カラーは全4色。
ピックアップにハムバッカー2基を採用したモデル。
アームは搭載しないハードテイルブリッジを採用しており、チューニングも安定しやすいのと、弦交換もこちらの方が少し簡単です。
ロックやハードロックなどパワフルなサウンドが得意です。通常の112Vよりもサウンドの幅広さはありませんが、コイルタップスイッチででシングルコイル風のサウンドも作れます。
音の違いよりチューニングや弦交換が不安という人は、112Vよりもこちらの120Hの方がおすすめです。
PACIFICA112JL
カラーは全2色。
PACIFICA112の左利きモデルです。左利きギターは選択肢が少ないので、初心者はこれ1択と言って良いでしょう。
PAC200シリーズ
・見た目以外はPACIFICA112Vと全く同じ
・木の模様は自然のものなので、1本1本が世界に1つだけの見た目
・ボディとヘッドの木目模様の分、4,000円ほど高い
市場相場売価格38,390円。
PACIFICA212VはPACIFICA112Vと見た目以外は全く同じです。
ボディとヘッドに木目を使ったシースルー(透けた)カラーで仕上げ、高級感があるルックスです。
この木目は本物の木なので、1本1本模様が違うのでまさに世界に1本であるとは言えます。
品番のPAC212VFMのFMはFlame Maple(フレイムメイプル:縞模様の木目)、PAC212VQMのQMはQuilted Maple(キルテッドメイプル:波を打ったような木目)を指します。
しかしこれはとても薄い突板なので音色への影響はありません。
この見た目にPACIFICA112Vとの価格差4,500円くらいを感じるかどうかが選ぶポイント。
112Vと同じく初めての1本としてもおすすめできます。
PACIFICA212QM
カラーは全3色。
PACIFICA212VFM
カラーは全3色。
PAC300シリーズ
・シリーズ内では人気が無いですが、珍しいもの好きならアリ
・ハードテイルブリッジとロック式ペグにより、弦交換が簡単
市場相場売価格42,130円。
PAC100, PAC200シリーズとの違いは以下の通り。
・ハードテイルブリッジ
・Grover製ロック式チューナー
・Graph Tech社製TUSQナット
個性的なピックアップ配列で、P-90とハムバッカーを組み合わせたギターは市場でも珍しい組合せ。
しかしパシフィカの中では人気がなく、一番おすすめできない機種です。
P-90ピックアップはフロントはもちろん、P90同士のフロントとリアのミックスポジションもおいしいサウンドが得られるのですが、PACIFICA311HはリアがハムバッカーになってしまうのでP-90の美味しさが半減しています。ある意味”他にはないサウンド”とも言えますが・・・。
またハードテイルブリッジ+リアハムバッカーはブリッジミュートでズンズン刻むメタル系ギターには使いやすい仕様かと思いきや、パシフィカはフェンダーのストラト同様、ヴォリュームコントロールがブリッジ近くにあるので、ダウンピッキングの連続をするようなプレイでは誤って触れてしまうということもあり、やりづらいと感じる人も多いかと。さらにP-90はメタルではあまり使いませんし。。。
しかしこの価格でロック式ペグが搭載されているギターは他のブランドにも無いくらい珍しいので、とにかく弦交換が苦手だ!という人にも良いかもしれません。
ロック式チューナーの弦交換の仕方はこちら動画の2分10秒から。弦を通してペグを回すだけなのでとっても簡単です。
PACIFICA311H
カラーは全3色。
PAC600シリーズ
・高級機種にも使われる各パーツ類と、幅広いサウンドバリエーションが人気
・2本目のギターや、上級者のサブギターとしてもおすすめ
市場相場売価格は612Vは71,060円、611Vが 66,440円。
現行パシフィカの最上位シリーズで、現在のパシフィカ高評価の立役者がPACIFICA612。全国の楽器店員が選ぶ楽器店大賞2021のエレキギター部門で大賞を受賞しました。
使われているパーツの多くが有名ブランドのものです。
・ウィルキンソン製トレモロブリッジ
・グローバー製ロック式チューナー
・グラフテック社製タスクナット
また下位シリーズとは異なり、フレットの磨きなど細部の仕上げにまで時間をかけているのがわかります。
約7万円の価格ながら他ブランドの10万円台前半クラスのギターに匹敵するクオリティの弾きやすさ、そして特にPACIFICA612Vはオールラウンドに使えることから、初心者ギターからの買い替えや、サブギターとして使う人も多い優れたギターです。
詳細レビューはこちらの記事をご覧ください。
PACIFICA612V II FM / PACIFICA612V II FMX
カラーは3色とPACIFICA612V II FMXを加えた全4色。PACIFICA612V II FMXはピックガードとピックアップカバーの色が異なるだけで、それ以外はすべて同じです。
PACIFICA612V II X
カラーは全3色。
こちらのPACIFICA612V II Xも、PACIFICA612V II FM / PACIFICA612V II FMXと比べて、トップにフレイムメイプルが貼ってあるかどうか=見た目の違いだけです。
PACIFICA611VFM
カラーは全3色。
フロントピックアップP-90、リアピックアップハムバッカーを搭載したPACIFICA611H。
300シリーズ同様、個人的にはP-90同士のミックスサウンドが使えないので、P-90のおいしいところすべてを享受できないのが残念だと思ってしまいます。それもあってか612に比べるとあまり人気がありません。
とはいえ、ピックアップにセイモアダンカン製を搭載しているのでサウンドは良いです。
ハムバッカーによるハードなロックサウンドと、シャープ過ぎないP-90サウンドを行き来できる珍しいギターとも言えます。
今使っているメインギターが3シングルのストラトキャスターなどだと、2種類のピックアップを同時に手に入れたいという人、ほかのギターでは出せない新たな音の可能性を探りたい人に良い選択です。
しかし2022年「ぼっち・ざ・ろっく!」で登場し脚光を浴びています。ただし「後藤ひとりのPACIFICA」と全く同じモデルは発売されていません。2023年1月9日までにtwitterのキャンペーンで2名にプレゼントされるそうですが、残念ながら入手困難でしょう。
PACIFICA611VFM トランスルーセントブラック(TBL)を元に、ピックガードのカラーを黒の3プライ、フロントピックアップカバーの色を黒、リアピックアップのエスカッションをクローム(銀色)に交換すれば、同仕様が実現します。パシフィカ専用のピックガードは販売されていないため、リペアショップなどへ依頼する必要はあります。
PACIFICA611HFM
カラーは全3色。あまり店頭でも見かけない珍しい機種です。
こちらはトレモロ無し、ハードテイルブリッジを採用したPACIFICA311Hのアップグレードバージョン。
アームが無いことでサウンドはさらにタイトになりますので、語弊を恐れずいうならトレモロモデルよりもギブソン寄りのサウンドとも言えます。レスポールは弾きづらいけど、普通のパシフィカよりレスポール風味を感じられるのが良い、という人に良いかもしれません。
PAC600シリーズの違い一覧
仕様 | PACIFICA612VⅡX | PACIFICA612VⅡFM / X | PACIFICA611VFM | PACIFICA611HFM |
---|---|---|---|---|
ボディ | アルダー | フレイムメイプル+アルダー | フレイムメイプル+アルダー | フレイムメイプル+アルダー |
ネックフィニッシュ | グロスポリウレタン(TGMカラー)、サテンポリウレタン(MSB,YNSカラー) | グロスポリウレタン | グロスポリウレタン | グロスポリウレタン |
ブリッジ | Wilkinson VS50-6 | Wilkinson VS50-6 | Wilkinson VS50-6 | ハードテイル(グラフテックストリングセイバー) |
弦間ピッチ | 10.8mm | 10.8mm | 10.8mm | 10.5mm |
ピックアップ | ▼セイモアダンカン ・SSL-1 ・SSL-1RwRp ・Custom5 | ▼セイモアダンカン ・SSL-1 ・SSL-1RwRp ・Custom5 | ▼セイモアダンカン ・SP90-1n ・Custom5 | ▼セイモアダンカン ・SP90-1n ・Custom5 |
ピックアップセレクター | 5P セレクタースイッチ | 5P セレクタースイッチ | 3Pセレクタースイッチ | 3Pセレクタースイッチ |
パシフィカの評判が良くて迷っているけど、ギターに詳しくなくてどれを選べばよいかわからない、という人は612の中で好きな色を選べば後悔しないでしょう。
全機種ネックが細くて弾きやすいですが、612のSSH配列のピックアップはいろんなジャンルに対応できる音色の幅広さがあるからです。
【ブリッジの違い】トレモロvsハードテイル
パシフィカはアームで音を揺らすことができるのがトレモロブリッジが基本。
300シリーズと600シリーズにはアームが付けられないハードテイルブリッジモデルもあります。
アーミングができない分、チューニングがしやすい・狂いにくいというメリットもあります。
音の特徴も異なり、トレモロブリッジだと音に広がりが出るポピュラーなサウンドで、ハードテイルブリッジは締まりのあるサウンドの特性があります。
こちらの記事では、ストラトキャスターとテレキャスターの違いで解説していますが、理屈は同じです。
ピックアップの種類
シングルコイルピックアップ
ストラトに代表されるシングルコイルピックアップ。シャープなサウンドや、生々しいブルージーなサウンドなど、搭載するギターやピックアップの機種によっても異なります。
パシフィカのシングルコイルはシャープで煌びやかなサウンド傾向にあるので、ポップスやフュージョン系、カッティング系のフレーズに合います。
ハムバッカー
レスポールに代表されるハムバッカー。シングルコイルに比べると高音域は控えめで、中低域ががっつり出ます。
リアポジションに搭載することで分厚いドライブサウンドにマッチしており、ハードなロックにも対応します。
P-90
P-90が搭載されている代表的な機種はギブソンレスポールスペシャル。
構造はシングルコイルに似ていますが、シングルとハムバッカーの中間のようなサウンド。シングルよりもちょっと音が太くて、ハムバッカーほど丸くない感じです。
300シリーズでの解説のとおり、本来のレスポールスペシャルの魅力はフロント+リアのミックスポジションが絶品。またレスポールジュニアはP-90がリア1発です。
パシフィカにはフロントP-90、リアハムバッカーの組み合わせしか存在しないので、従来のP-90の使い方は少し難しいです。またテレキャスターにP-90を搭載するギターもいくつかありますが、やはりシングルコイルとの組み合わせが多いです。
まぁフロント単体のP-90の音も良いですし、ハムバッカーとの組み合わせは使っている人が少ないので、新しい可能性を探りたい!という人は挑戦してみてはいかがでしょうか?
パシフィカ各機種の違いとまとめ
PACIFICA012 | PAC100シリーズ | PAC200シリーズ | PAC300シリーズ | PAC600シリーズ | |
ボディ | アガチス | アルダー | アルダー | アルダー | アルダー |
ピックアップ | SSH(セラミック) | SSH or HH | SSH | SH(P-90, ハムバッカー) | SSH(セイモアダンカン製) |
ブリッジ | トレモロ | トレモロorハードテイル | トレモロ | ハードテイル | トレモロ(ウィルキンソン) or ハードテイル |
指板 | ウォルナット | ローズウッド or メイプル | ローズウッド | ローズウッド | ローズウッド |
ナット | ユリア(樹脂) | ユリア(樹脂) | ユリア(樹脂) | グラフテック製タスク | グラフテック製タスク |
ペグ | カバード | ダイキャスト | ダイキャスト | グローバー製ロック式 | グローバー製ロック式 |
相場価格(税込) | 23,900円 | 33,660円 | 38,390円 | 42,130円 | 612V : 71,060円 611V : 66,440円 |
わたしのおすすめはオールラウンドに使えるパシフィカの特性が最大限に生きるSSH仕様の下記2機種。
初心者ならPACIFICA112V、中から上級者ならPACIFICA612Vです。
あとは好きな見た目を選んでください!以下、各機種おすすめな人のまとめです。
PACIFICA012
・とにかく安くパシフィカが欲しい
PACIFICA112V
・POPSが好き、いろんなジャンルに挑戦したい、やりたいジャンルがわからない
・挫折しないため品質とコスパを兼ね備えた初めての1本としておすすめ
PACIFICA120H
・ハードなジャンルが好き。
・挫折しないため品質とコスパを兼ね備えた初めての1本としておすすめ
PACIFICA212V
・PACIFICA112Vと理由は同じ
・数千円高くても木目が見えるこっちのルックスが好き
PACIFICA311H
・弦交換がとにかく嫌い!
・ほかの人と同じはイヤ!
PACIFICA612VIIFM、PACIFICA612VⅡX、PACIFICA612VⅡFMX
・初心者ギターからの買い替え、高級ギターには手が届かない
・つぶしが効くサブギター
PACIFICA611VFM、PACIFICA611HFM
・2つのピックアップの新たな可能性に挑戦したい