YAMAHA PACIFICA 612VIIレビュー【比較/デメリット】

パシフィカシリーズ最上位シリーズにして、コンポーネント系ギターのような多彩なサウンドバリエーションを持つPACIFICA612VIIの

特徴とメリット、デメリットと同価格帯のFender, PRSの機種との比較をした、徹底解説レビューです。

特徴/メリット

・ハイエンドギターと同等のパーツ群の採用

・ナット幅41mmをはじめとする演奏性へのこだわり

・10万円クラスの品質と遜色ない高いコストパフォーマンス

メリット①:ハイエンドギターと同等のパーツ群の採用

Seymour Duncan製ピックアップの搭載

jp.yamaha.comより引用

セイモアダンカン社は、ジャンルを問わず世界の一流ミュージシャンも愛用し、高級ギターにも初めから搭載されているブランド。

SSH配列でセイモアダンカン製のピックアップを搭載しています。

シングルピックアップはSSL-1(Vintage Staggered)を搭載。

シングルPUを交換する際の第一候補として挙がるくらい長年の定番機種、レッチリのジョンフルシアンテもヴィンテージストラトに搭載したことでも有名です。

シングルコイルピックアップに求められる抜けの良さ、太さ、タイトさを兼ね備えた非常にバランスの良いサウンド。

センターピックアップのSSL-1RwRpは(逆巻き/逆磁極)、サウンドは同じですが、ハーフトーンで使用する際にノイズが少なくなるよう設計されています。

そしてリアハムバッカーにはCustom5は適度なパワー感と豊かな倍音をアウトプットします。

ロック系の歪みにも使えるハムバッカーです。

Grover製ロック式チューナー

ロック式チューナーは弦交換が簡単で、チューニングが安定する、というメリットがあります。

ロック式チューナーの中ではグローバーは少数派ですが、おそらくコストとの兼ね合いと思われます。

弦をポストに通す方向だけ気をつければ使用上の問題もありません。

交換の仕方はこちら動画の2分10秒から

Graph Tech製Black TUSQナット&ストリングガイド

TUSQはグラフテック社が開発した人工象牙です。

天然の象牙同様に豊かな倍音を響かせることと、テフロンが含まれており弦の滑りも良いので、

チョーキングやアーミング時にもチューニングが安定します。

Wilkinson製ブリッジ

ブリッジにはWilkinson製のVS-50を搭載。

アーミング操作もスムーズでチューニングも安定します。

ネジは少し多いですがそれにより、弦高やオクターブ調整がしっかり固定できます。

メリット②:ナット幅41mmをはじめとする演奏性へのこだわり

ヴィンテージギターの仕様に固執せず、弾きやすくなるような現代的な仕様を採用しています。

ナット幅はレスポールで43mm、ストラトも42から42.8mmが一般的なので、

パシフィカの41mmは幅が狭く、あらゆるエレキギターの中で珍しいサイズです。

ナット幅が狭いと弦と弦の間が近くなるので、特に手が小さい方はコードも押さえやすいと言えます。

指板ラディアスは350mm。

かなり平らなので旧フェンダージャパンでありがちな、弦高を下げるとチョーキング時に音が詰まってしまうという心配もありません。

フレットは高さと幅があるミディアムサイズ。

本来、フレットが高いと弦との距離が近くなるため、軽い力で弦を押さえることができます。

”本来”と書いたのは、正直めちゃくちゃ弦高を低くできるほどのクオリティでは無いからです。詳細はデメリットの項目でご説明します。

メリット③:10万円クラスの品質と遜色ない高いコストパフォーマンス

ギターの価格は主に、

●技術をもった職人がどれだけ手間暇をかけたか(人件費)

●木材やパーツなど素材のコスト

●ブランド

の3つで決まります。

前述の通り、パーツなどについてはかなり良いものを使っています。

そのうえでこのパシフィカの価格と品質を実現するYAMAHAにしかできない秘密があります。

例えばフェルナンデスなどの安いギターは、中国やアジアなどにあるギター工場に、フェルナンデスというブランドのギターを委託で作ってもらいます。

これだと品質もそれなりで、様々なコストがギターの金額にも上乗せされてしまいます。

しかしヤマハはヤマハ自身がインドネシアにヤマハしか作らない工場を作り、パシフィカはそこで生産されます。

これにより現地スタッフを雇うことで人件費を削減できることと、ヤマハの技術を惜しみなく導入できています。

フェルナンデスの様に、いろいろなブランドのギターを作っている外部の工場に、ギターづくりの秘密を教えて作ってもらうと、その時は品質の良いギターが出来上がりますが、その秘密が流出してしまう恐れもあります。

その点、ヤマハ専用の工場であれば50年以上続くヤマハのギターづくりの技術を惜しみなく導入しても、ほかのブランドにパクられる心配もありません。

日本のみならず世界規模のヤマハだからこそ成せる製造方法です。

デメリット

・過剰(?)な高評価レビュー

・10万円台後半以上のギターとのクオリティは差がある

・新品時は左手が黒くなる

デメリット①:過剰(?)な高評価レビュー

YouTubeなどでの評価がすさまじくパシフィカの人気に火が付きました。

あまりに高評価すぎるのもちょっと怪しいというか、ロック好きは反骨精神あふれる人も多いのでw、イメージだけでアンチになっている人もいます。

そしてアンチの人たちはギブソン、フェンダー好きが多い印象。

フェンダーやギブソンが好きな方は、憧れのギタリストが使っているという心理的部分も大きいと思います。

残念ながらヤマハは往年のギターヒーローたちがこぞって使っているというわけではありません。

これらはギター自体に問題があるわけではありません。

YAMAHAというブランド自体は日本でも非常に大手で安心できる名前ですし、

ブランドに縛られず、良いものは良いと言える人には気にしなくて良いところですね。

確かにUSA製ギブソンやフェンダーと比べると、パシフィカは良くも悪くもクセが少ない素直なサウンドと言えます。

デメリット②:10万円台後半以上のギターとのクオリティは差がある

前述の高評価レビューやプロも使っているからという観点から勘違いしてはならない点です。

わたし個人の感想は、この価格では素晴らしいが、10万円台後半を超えてくるギターとはやはり品質に差があります。

例えばナットやフレットなどの細かな部分までの仕上げの丁寧さ、ペグやブリッジなどのハードウェアはもっとグレードが高いものもありますし、

やっぱり弾き心地もサウンドも10万円台後半以上のギターには及びません。

具体的にはナット溝が少し浅いので、ネックをまっすぐにしてサドルを下げようとしても、あまり弦高が下がりません。

いわゆる左手で触るだけでも音が出る、というレベルは難しく、あくまでも押さえるという感覚のレベルが限界です。

とは言え、この品質でこの価格を実現しているのは企業努力というのは先の説明の通り。

デメリット③:新品時は左手が黒くなる

仕上げでフレットを磨いてピカピカにするのですが、

最後の拭き上げが不完全なものもあり、左手の指先が黒くなってしまうことがあります。

これは弾いているうちにつかなくなりますが、気になる場合は弦を外してフレットをクロスなどで良く拭いてみてください。

ラインナップ

PACIFICA612VIIX

MSB(マットシルクブルー)
YNS(イエローナチュラルサテン)
TGM(ティールグリーンメタリック)

PACIFICA612VIIFMX

FRD(ファイヤードレッド )

PACIFICA612VIIFM

インディゴブルー(IDB)
トランスルーセントブラック(TBL)
ルートビア(RTB)

これらの違いは最新モデルPACIFICA612VIIXの MSB、YNSカラーはボディ、ネック裏が、光沢のないサラッとしたサテン仕上げという点 のみ。

特にネックの仕上げは演奏性にも直結します。

どんなギターも個人的には横移動がスムーズな、さらさら手触りのサテン仕上げが好みです。

それ以外の違いはルックスのみなので、好みの見た目で選べばokです。

型番にFMがついているモデルはボディトップにフレイムメイプルが貼ってありますが、

これは突板で非常に薄い(0.1mm以下)なのでサウンドへの影響はありません。

【比較 】YAMAHA vs Fender vs PRS

良くお店でも比較されるのがPRS SE Custom24、FenderPlayer Stratocaster HSSです。

価格も近く、様々なジャンルで使える万能ギターという共通点があります。

主な仕様を表でまとめました。

  PACIFICA612 Player Stratocaster HSS SE Custom24
ボディ アルダー アルダー メイプル+マホガニー
ネック メイプル メイプル メイプル
指板 ローズウッド メイプルorパフェロー ローズウッド
指板ラディアス 350mm 241mm 254mm
スケール 648mm 648mm 635mm
フレット 22 22 24
ナット幅 41mm 42mm 42.8mm
PU配列 SSH SSH HH
ピックアップ Seymour Duncan Fender Player Series PRS 85/15 “S”
ロック式ペグ × ×
市場相場価格 71,060 円 7万円前後~82,170円 63,000~8万円

この3機種の特徴からまとめると

YAMAHA PACIFICA 612

ストラトキャスターを一回り小さくした、抱えやすいオリジナルボディシェイプ。

ナット幅が狭く、手が小さい方にもおすすめ。

ブルースやカッティングにも合う鋭さと太さのあるシングルコイルピックアップと、ロックなディストーションにも合うハムバッカーという非常にバランスの良いセイモアダンカン製のSSHピックアップ。

弦交換が簡単なロック式ペグを搭載。

まとめ

・いろいろなジャンルで使えるサウンドの幅広さ

・ボディデザインやナット幅など演奏性を追求

・ペグやブリッジ等ハードウェアにもこだわり

Fender Player Stratocaster HSS

みんな大好きフェンダーブランドで、現在最も安く買えるモデルです。

このハムバッカーは今回の3機種の中で一番出力が小さいため、ラウドロックやメタルなどのディストーションには不向きです。

逆に言うと最も繊細なサウンドとも言えます。この特徴はシングルコイルも同様です。

ゴリゴリなロックよりも、ブルースなどのトラディショナルなジャンルや現代的なおしゃれギターにおすすめ。

3シングルピックアップモデルもあります。

まとめ

・Fenderブランドによる正真正銘ストラト、ヘッドストック

・繊細で表現力あるピックアップ

・クリーンからクランチをメインで使う人におすすめ

個別レビュー記事はこちら

PRS SE Custom24

prs-se-custom24

フィギュアドメイプルの綺麗なカラー、バードインレイなどPRS独自のルックスのSE Custom24。

2ハムバッカーや24フレット仕様、メイプル+マホガニーボディなど3機種の中では最もロック~メタル向き。

甘すぎずクリアな太さのあるサウンドは、クリーンからディストーションまで幅広く使える優等生サウンド。

コイルタップでシングルサウンドも使えますが、出力は少し低く、鋭さ・太さは無く、シングルコイルPUメインの人には物足りないかもしれません。

ただし、3機種の中では一番テンションを緩く、弦高を下げられる機種 なので速弾きをしたい、軽い力で押さえたいという方はこれがおすすめです。

まとめ

・弦を押さえる負担を極限まで抑えたい

・太さとクリアさを兼ね備えた優等生サウンド

・ロック~メタルがメインの方にもおすすめ

個別レビュー記事はこちら

まとめ

以上パシフィカの最上位シリーズPACIFICA612徹底レビューでした。

・本気でギターを始めたい方

・初心者ギターからの買い替え

・サブギターとして

といったジャンルを問わず、あらゆる層のプレイヤーに受け入れられる機種ですね。