メキシコ製って実際どうなの?
日本製との違いは?どっちが良い?
という方のために現役楽器屋店員のYosh(@yoshguitarblog)です。
フェンダープレイヤーストラトキャスターを徹底解説、メリットからデメリット、日本製との比較までがっつり紹介します。
Fender Player Stratocaster特徴
正真正銘のフェンダーブランドながら、9万円台前後で手に入るプレイヤーシリーズ。
ヴィンテージタイプの伝統的な仕様に固執せず、現代的な仕様を採用しています。
USA製で最も売れているアメリカンプロフェッショナルシリーズと同じく、弾きやすくなるような仕様です。(詳しくは後述のメリットへ)
フェンダーは、アメリカ、日本、メキシコの3つの工場で製造されていますが、こちらのプレイヤーシリーズはメキシコのエンセナダ工場で製造されています。
アメリカのコロナ工場と同様のもの機械も使われており、メキシコの人件費によってギターの価格が安くなっています。
カラーバリエーション
バリエーションは
・ブラック
・バタークリーム(メイプル指板のみ)
・カプリオレンジ(メイプル指板のみ)
・ポーラーホワイト
・シルバー(パーフェロー指板のみ)
・タイドプール(メイプル指板のみ)
全7色でメイプル指板とパーフェロー指板があります。
ハムバッカー搭載モデル
ストラトと言えばシングルコイル3発ですが、ロック系にも最適なハムバッカーピックアップを搭載したモデルもあります。
価格は少し上がって市場相場価格で99,000円(2022年9月現在)
Fender Player Stratocasterメリット
②:9.5インチ指板ラディアス
③:フレットが大きい
④:ネックシェイプとサテン仕上げ
⑤:22フレット仕様
⑥:2点支持トレモロブリッジ
⑦:本格的な木材を使用している
メリット①:現在最も安いFender
このメキシコ製プレイヤーシリーズは、現在において新品で最も安く入手可能なFenderロゴとヘッドデザインを持ったギターです。
今や、日本製のフェンダーの方が少し価格が高くなっています。初心者ギターからの買い替えや、サブギターとしてもうれしい価格設定です。
メリット②:9.5インチ指板ラディアス
Fenderでは主に、ヴィンテージと同様の7.25″と演奏性の向上を目指した9.5”があります。
いわゆる昔ながらのFender Japanも7.25″(184mm)の指板ラディアス。ハイフレットでのチョーキングの音が詰まるため、弦高が高いと感じるものもありました。
プレイヤーシリーズはそれよりも幾分か指板面が緩やかなため、チョーキングの音詰まりもかなり軽減されます。
指板ラディアスいついて、詳しくはこちらの記事もご覧ください。
メリット③:フレットが大きい
フレットのサイズはミディアムジャンボ。軽い力で弦が押さえやすいのが特徴です。
フレットが大きいとフレットの頂点と弦の距離が近くなるため、弦を押さえる際に無駄な力が不要です。
逆に、力を入れ過ぎてしまうと音程がシャープ(少し高く)なり、音痴に聞こえてしまいます。
それくらい力を入れてしまうという事は無駄な力が入り過ぎているということです。ギター上達の妨げになっているので、それを矯正できる点もメリットですね。
メリット④:ネックシェイプとサテン仕上げ
ネックシェイプはモダンCシェイプ。
ネックの形に”強い”こだわりがある・・・という方でなければ、誰にでもストレスのない形です。
チョーキングしづらいほど薄くなく、速弾きしづらいほど分厚くはない、ちょうど良い形です。
また、ネックの裏はサラっとした艶の無いサテン仕上げなので、左手の横移動が多い時もストレスがありません。
メリット⑤:22フレット仕様
昔ながらのストラトは21フレットまでしかありません。
その後80年代になるころには、22フレットを追加する改造が流行ったほどニーズは大きいです。
レスポールは22フレットですし、いろいろな楽曲をコピーする際に22フレットはそこそこ登場するので、備えあれば憂いなし、22フレットにするデメリットは皆無です。
メリット⑥:2点支持トレモロブリッジ
アーミングの際に動くブリッジが、従来の6点支持のものよりスムーズに操作でき、アーム後のチューニングの狂いも少なくなる要素のひとつです。
メリット⑦:本格的な木材を使用している
木材はUSA製のものと同じ仕入先です。
またボディにはストラトでは伝統的なアルダーが使われています。
安い日本製ではバスウッドが使われていたりするので、アルダーボディの方がフェンダーらしいサウンドの質感を持っていると言えます。
Fender Player Stratocasterデメリット
②:ピックアップの出力が低い
③:仕上げの粗さ
デメリット①:パーフェロー指板
メリットで本格的な木材としましたが、指板はローズウッドではなく、パーフェローという木材が使用されています。
ワシントン条約の改正に伴い、規制対象となったローズウッドの代替材として楽器業界では需要が爆上がりした木材がパーフェローです。
フェンダーでも従来からStevie Ray Vaughanモデルに使用されていたり、昨今では日本のdragonflyなど音響特性からあえて採用しているケースもあります。
我々がまず重要視したのは、置かれた状況の中で最良のサウンドとフィーリングを保証することでした。フェンダーではいくつかのモデルで既にパーフェローを使用した実績があったため、ローズウッドからパーフェローへの切り替えに問題はないと考えました。
https://shop.fender.com/ja-JP/howto/howto-what-is-pau-ferroより引用
パーフェローは硬さと含油量がローズウッドと酷似しており、素晴らしいトーンが得られる上、ダークカラーがクールな印象を与えます
とされていますが、業界ではインディアンローズウッドよりもやや硬質なトーンという意見が多いです。
加えてローズウッドよりも明るい色で、けっこう赤めに見える個体もあります
高いフェンダーと同じ木材が良いという方は、メイプル指板のモデルを選ぶと良いでしょう。
もともとパーフェローはメイプル指板とのサウンドの方向性は似ており、指板材の違いによるサウンドの差はボディやネック材ほどの大きな違いはないため、メイプルとパーフェローは見た目で選んでも良いです。
デメリット②:ピックアップの出力が低い
PlayerSeries Alnico 5 Strat Single-Coilという、プレイヤーシリーズ専用のピックアップが搭載されています。
これも好みの部分ではありますが、アルニコ5らしいパリッとした明るさがあるものの、少しパワーが少ないです。
ロック系でがっつり歪ませたり、ソロで図太くしたい方はエフェクターやアンプ側で工夫したいですね。
逆に冒頭の動画のようなメラニー・フェイのようなNeo Soulっぽい繊細な感じや、カッティングなどでバッキングに徹するという方には扱いやすいピックアップと言えます。
デメリット③:仕上げの粗さ
メキシコの人件費で価格が下がるとは言え、USAの上位機種ほどの繊細なところまで仕上げをするとさすがにこの価格では難しいでしょう。
というわけで、よーく見ればわかるような塗装のムラや細かい傷といった演奏には関係ない部分があります。
加えてフレットのエッジ、指板サイドの仕上げにややひっかかりがあるといった、シビアな方には演奏時に気になる部分もあります。
フェンダーのストラトなのでそもそもが向いていませんが、弦高を1弦12フレットで1mm未満といったかなりシビアな速弾き用セッティングをしようとすると、どこかにビビりや音詰まりが発生可能性も高いです。
これはもう価格相応で仕方がありません。
とは言え、普通に演奏を楽しむ、普段のライブで使うという目線であれば合格点です。全く問題ありません。
日本製Traditionalシリーズとの比較
Player Stratocaster | Made in Japan Traditional Stratocaster | |
---|---|---|
生産国 | メキシコ | 日本 |
ボディ | アルダー | バスウッド |
ネック | メイプル | メイプル |
ネックシェイプ | モダンCシェイプ | Uシェイプ |
指板 | メイプルor パーフェロー | メイプルor ローズウッド |
指板ラディアス | 9.5インチ(241mm) | 9.5インチ(241mm) |
ナット幅 | 42mm | 41mm |
フレット | 22ミディアムジャンボ | 21ヴィンテージ |
ブリッジ | 2点支持トレモロ | 6点支持トレモロ |
市場相場価格 | 93,280円 | 123,200円 |
メリットにもあるように、現在、新品で最も安く入手可能なFenderのギターです。
日本製で一番安い Madein Japan Traditional シリーズとはどこが違うか、ポイントで比較します。
ボディ材:アルダーvsバスウッド
メキシコ製のプレイヤーシリーズがアルダー、日本製のトラディショナルシリーズがバスウッド。
フェンダーの伝統にのっとっているのはアルダーですね。
指板材:パーフェローvsローズウッド
メキシコ製のプレイヤーシリーズがパーフェロー、日本製のトラディショナルシリーズがローズウッド。
フェンダーの伝統にのっとっているのはローズウッド。
ボディ材と違い、見えるところなのでルックスにも影響します。
大きなくくりではどちらも茶色ですが、パーフェローには茶色が薄く、赤っぽい個体もあります。
ナット幅:42mm vs 41mm
プレイヤーシリーズが42mm、モデルチェンジ以降の現行トラディショナルシリーズが41mmです。
ナット幅が狭いとセーハのコードが押さえやすかったりする一方、他のコードでは左手の指が隣の弦に不意にあたってしまうことがあるかもしれません。
塗装:塗装の種類は同じ、ネック裏のみ仕上げが違う
ボディはどちらも量産型ギターによくみられるポリエステル塗装。
硬く、やや厚めの塗装です。
良く言えば丈夫、悪く言えば木材の響きの特性がやや薄れてしまうということです。
ネックはウレタン塗装。
どちらも艶のあるグロス仕上げですが、プレイヤーシリーズのネック裏のみ艶のないさらっとしたサテン仕上げです。
最近のUSA製もネックはサテン仕上げの物が多いです。
フレット:22ミディアムジャンボ vs 21ヴィンテージ
プレイヤーシリーズは前述のとおり、弾きやすさ・押さえやすさを向上させています。
一方トラディショナルシリーズは伝統的なフレット数とサイズ。
フレットが少し細く、押さえる力加減は少し繊細になります。
ブリッジ:2点支持 vs 6点支持
2点支持も前述のとおり、アームはスムーズに動き、チューニングの狂いが少ない要因になります。
一方6点支持の方は、弦の振動をよりボディ全体に伝えることができ、響きが2点支持よりも柔らかく感じます。
価格:プレイヤーが20,700円安い
2022年9月現在フェンダー公式サイトでのストラトキャスターのそれぞれの価格(いずれも税込)。
プレイヤー | トラディショナル |
93,280円 | 123,200円 |
約3万円もの差があります。
フェンダー社も日本の職人の仕上げや品質を認めて、この価格を設定していることがうかがえます。
細部の仕上げの美しさなどは日本製に軍配があがります。
サウンドの特徴
使われている木材の違いや、ピックアップの違いによりどちらもちょっといなたいフェンダーらしいストラトキャスターのトーンです。
その上でプレイヤーの方がやや明るく、トラディショナルの方が少し甘い感じのサウンドです。
トラディショナルシリーズの詳細はこちらの記事もご覧ください。
Fender Player Storatocaster まとめ
店頭で最も売れているフェンダーとなったプレイヤーシリーズ
ブランドはフェンダーが良い!
フェンダーのヘッドがカッコいい!
という方で、
後悔しない初めての1本目や初心者ギターから買い替えの2本目として、
もしくは普段ハムバッカー系のギターを使っていて、
サブでシングルコイルが欲しいという方々の強い味方です。