【完全版】Fender Made in Japan Traditional Seriesレビュー【2020年仕様変更】

 
Made in Japan Traditionalシリーズの全容を詳しく知りたい

Made in Japan Traditionalシリーズはどこが変わった?

旧トラディショナルシリーズとの違いは?

昔のフェンダージャパンとどっちが良い?

という方のための記事です。

Fender Musical Instrumentsが日本支社を創設し、Fender Japan解体後、仕様そのままのJapan Exclusiveシリーズを経て、2017年に発売したTraditional シリーズが、2020年春にアップデートされました。

新Made in Japan Traditionalシリーズ

日本製のLimited Collectionに採用されていた本国USAのデザインデータによるボディ、ネック、ピックガード形状をそのまま採用しています。

デカールのロゴデザインもUSAのデザインデータにより再制作。

カラーに関しても従来のダイナ楽器によるを使用していましたが、USA のカラーターゲットを元に再調色を行っています。

なお、ボディは基本的にポリエステル塗装ですが、

WhiteBlode, Olynpic White, Daphne Blueの3色のみポリウレタン塗装です。

おそらく色味を再現するためにそうなったのでしょう。

ネックは全てウレタンフィニッシュです。

ピックガードと各パーツのバランスも再設計、

ピックアップにはフェンダーのヴィンテージサウンドを意識し、全ての製品にAlnico5マグネットを採用。

ネックラディアスはヴィンテージと異なり、プレイアビリティを追求し9.5インチを採用しています。

さらに、シェイプもUSAデータを採用しつつもナット幅を1mm抑えることにより、より日本人の手にも馴染みやすいネックアプローチを実現。

旧Traditional シリーズとの比較

モデル名にNewの表記はありませんが、便宜上そう記載しています。

内容 Traditional  New Traditional
図面 ダイナ楽器独自データ USA デザインデータ を使用
ボディ材 Basswood / Ash(70s) / Alder(58s) Basswood/ 70年代モデルはAsh
ネック Guitar U / Bass U Guitar U / Bass U (USAデザインデータを採用)
指板ラジアス 7.25″ (184mm) 9.5″(241mm)
カラー 独自カラーを採用 USAカラーに合わせて調色
ボディフィニッシュ ポリエステル ポリエステル
ネックフィニッシュ ポリエステル ポリエステル
ロゴ 水貼り トップコート下、USAデータロゴから再設計
ピックガード ダイナ楽器独自データ、国産素材 USA製品使用材料を元に再構築
ピックアップ セラミック、一部 アルニコ 5 アルニコ 5を全製品に採用
全品番数 55品番 34品番
ケース GIG BAG GIG BAG (改良版)
ギターナット幅 42.8mm 41mm

ギター・ベース合計 全34品番

50s Telecaster White Blonde
50s Telecaster Butterscotch Blonde
50s Telecaster Lefty Butterscotch Blonde
60s Telecaster Vintage White
60s Telecaster Lake Placid Blue
70s Telecaster Thinline Natural
70s Telecaster Custom Black
70s Telecaster Deluxe 3 Tone Sunburst
50s Stratocaster 2 Tone Sunburst
50s Stratocaster Black
60s Stratocaster 3 Tone Sunburst
60s Stratocaster Black
60s Stratocaster Fiesta Red
60s Stratocaster Olynpic White
60s Stratocaster Lack Placid Blue
60s Stratocaster Lefty 3 Tone Sunburst
Late 60s Stratocaster 3 Tone Sunburst
70s Stratocaster Natural
60s Mustang Daphne Blue
60s Mustang Olynpic White
60s Jazzmaster 3 Tone Sunburst
60s Jazzmaster Olynpic White
60s Jaguar 3 Tone Sunburst
50s Precision Bass 2 Tone Sunburst
60s Precision Bass 3 Tone Sunburst
50s Original Precision Bass Butterscotch Blonde
70s Precision Bass Archtic White
60s Jazz Bass 3 Tone Sunburst
60s Jazz Bass Lefty 3 Tone Sunburst
60s Jazz Bass Fiesta Red
60s Jazz Bass  Olynpic White
60s Jazz Bass  Lake Placid Blue
60s Jazz Bass Black
70s Jazz Bass Natural

50s Telecaster

50年代のテレキャスターを再現したモデル。カラーはホワイトブロンド、バタースコッチブロンドの全2色。

メイプル指板とこのボディカラーという、テレと言えばコレという定番のルックス。

バタースコッチブロンドの左利き用もあります。

60s Telecaster

60年代のテレキャスターを再現したモデル。カラーはヴィンテージホワイト、レイクプラシッドブルーの全2色。

ローズウッド指板のテレキャスター。

正直これよりもバインディングありのカスタムテレキャスターの方が良く売れていましたが、残念ながら今回よりラインナップから外れました。

70s Telecaster Thinline

70年代のテレキャスターシンラインを再現したモデル。カラーはナチュラル1色のみ。

シンライン構造により独特のエアー感のあるサウンドが特徴。

マホガニーボディ+シングルコイルの60年代後期のシンラインもラインナップから外れています。

70s Telecaster Custom

70年代のテレキャスターカスタムを再現したモデル。カラーはブラック1色のみ。

フロントにハムバッカーを搭載したテレキャスターカスタム。ボディ材はアッシュです。

70s Telecaster Deluxe

70年代のテレキャスターデラックスを再現したモデル。カラーは3トーンサンバースト1色のみ。

2発のハムバッカーピックアップと2ボリューム、2トーンというレスポールのような電装系のテレキャスターデラックス。

50s Stratocaster

50年代のストラトキャスターを再現したモデル。カラーは2トーンサンバースト、ブラックの全2色。

メイプル指板のストラトキャスター。

60s Stratocaster

60年代のストラトキャスターを再現したモデル。カラーは 3トーンサンバースト、 ブラック、フェスタレッド、オリンピックホワイト、レイクプラシッドブルーの全5色。

ローズウッド指板のストラトキャスターといえばコレという最も人気の機種です。

サンバーストの左利き用もあります。

Late 60s Stratocaster

60年代後期のストラトキャスターを再現。カラーは3トーンサンバースト1色のみ。

フェンダージャパンで言うところのST-68仕様。

ラージヘッドに4点留めネックジョイントは、ジミヘンドリックスを彷彿とさせる玄人好みの仕様です。

70s Stratocaster

70年代のストラトキャスターを再現。カラーはナチュラル1色のみ。

ラージヘッド、ヘッド側からネック調整を行うブレットナット、3点留めネックジョイントという70年代ならではの仕様。

アッシュボディによるキレのあるサウンドがファンク系ギタリストが好む一方、

ディープパープルのリッチーブラックモアなどハードロック系ギタリストにも人気ですが、

リッチー風のカラーは今回ラインナップから外れてしまいました。

60s Mustang

60年代のムスタングを再現。カラーはダフネブルー、オリンピックホワイトの全2色。

Charシグネチャーモデルも発売されていますが、こちらはよりヴィンテージライクな仕様のムスタング。

他の機種とは異なるショートスケールを採用しており、独特のサウンドと演奏感が人気です。

60s Jazzmaster

60年代のジャズマスターを再現。カラーは3トーンサンバースト、オリンピックホワイトの全2色。

今ではジャズギタリストよりも、オルタナ系に圧倒的な支持を得ているジャズマスター。

弦落ちしやすいなど決して完璧ではない仕様が生み出すサウンドに加え、扱いづらさすらも愛される名器。

60s Jaguar

60年代のジャガーを再現。カラーは3トーンサンバースト1色のみ。

ショートスケールと独自のピックアップ構造によるサウンドで、マニアックな人気を誇ります。

50s Precision Bass

50年代のプレシジョンベースを再現。カラーは2トーンサンバースト1色のみ。

メイプル指板のプレべ。

60s Precision Bass

60年代のプレシジョンベースを再現。カラーは3トーンサンバースト1色のみ。

ローズウッド指板のプレべ。

50s Original Precision Bass

50年代初期のオリジナルプレシジョンベースを再現。カラーはバタースコッチブロンドの1色のみ。

通称テレキャスターベース。フェンダージャパン時代の品番はOPB-51。

ボディにコンターが無い、独自のピックアップなど玄人好みの仕様。

70s Precision Bass

70年代のプレシジョンベースを再現。カラーはアークティックホワイト1色のみ。

Sex Pistolsのシドヴィシャスの影響から、このルックスのプレべはパンクベーシストに人気です。

こちらは70年代仕様ですが、ボディはバスウッドです。

60s Jazz Bass

60年代のジャズベースを再現。カラーは3トーンサンバースト、フェスタレッド、オリンピックホワイト、レイクプラシッドブルー、ブラックの全5色。

ジャズベと言えばコレ。

サンバーストには左利き用もあります。

70s Jazz Bass

70年代のジャズベースを再現。カラーはナチュラル1色のみ。

アッシュボディに加え、リアピックアップが60sよりもブリッジに近く、スラップのサウンドはこちらを好むベーシストも少なくありません。

レビュー【メリット/デメリット】

メリット

●指板ラディアスが現代仕様になった
●ルックスが本家により近くなった

デメリット

●ロゴの貼り方がトップコート下になった
●価格が高くなった
●バスウッドボディの採用(一部モデル除く)
 

メリット①:指板ラディアスが現代仕様になった

今回のモデルチェンジでの一番のポイントです。

指板ラディアスが7.25インチ(184mm)から9.5インチ(241mm)に変更されています。

いわゆるフェンダージャパンの購入層はその大半が初~中級者です。

ヴィンテージスペックの7.25インチ(184mm)のラジアスでは明らかに、弦高が下げづらく、弾きにくいのです。

カスタムショップ製でも海外ではプレイアビリティを考慮して、ヴィンテージリイシューでも9.5インチラジアスを採用しているものが大半で、

日本向け仕様として7.25インチラジアスを製造しているケースが多々ありました。

アメリカでは、細部まで再現しないと納得せずわざわざ弾きづらい仕様を欲しがる日本人の事を不思議がっていたそうです。

もちろん、玄人はラジアスによるこだわりがあり、それ自体は否定しませんが、日本製フェンダーの最も安いシリーズが、そんなことにこだわる必要はなかったはずです。

というわけでこの点だけでも私は大賛成です。

メリット②:ルックスが本家により近くなった

デザイン面ではほぼUSA規格と同じ形になったのも良いですね。

ボディ、ネック、ピックガード形状は本国USAのデザインデータを採用しており、

本家USAのルックスを細部まで再現されています

カラーも本家USAに準じて色調し直されています。

デメリット①:ロゴの貼り方がトップコート下になった

一方トラディショナルシリーズの際に見た目をヴィンテージライクにとこだわって採用された、トップコート上から水張りしていたロゴを

トップコート下に戻してしまいました。

邪推ですが、現在ダイナ楽器の製造は明らかに回っておらず、製造効率を上げる苦肉の策なのだと思っています。

ロゴが剥がれなくなったととも言えます。

デメリット②:価格が高くなった

価格は少し上がりました。

フェンダー公式サイトでは

旧60s Stratocaster 85,500円

新60s Stratocaster 90,000円

人件費やメイドインUSAと同じサプライヤーから木材を供給されているため、原価も上がっているようです。

一方、フェンダーの思惑としては、Made in Japanというブランドを、もう少し上のグレードへ引き上げたい狙いもあるようです。

先に発売されているMade in Japan Modern Series(153,000円)なんかは最たる例です。

Fender Japanなんかは5万円台からありましたし、確かにフェンダージャパン黎明期から親しんでいる方からすれば懐疑的な部分もあるのでしょうが、

時代も違いますし、世界的にもMade in Japanが、より高付加価値なものとして認識されてきています。

数は少ないですがMIJシリーズもアジア圏などに供給されているようですし。

デメリット③: バスウッドボディの採用(一部モデル除く)

ここ日本ではどうしても安価な木材としての負のイメージが強く槍玉に挙げられる感は否めません。

これは本国USAでは使用されず、フェンダージャパンのみに採用され、かつ当時のフェンジャパの安価さも手伝った印象でしょう。

わたし個人としてはそんなに負のイメージは無く、

事実、Music ManのEddie Van Halenモデルや、そこから派生したAxis、

suhrのModernなどUSA製ハイエンドモデルにも採用されています。

こと日本製フェンダーに関しては、ポリ塗装の塗膜の厚さによる重さと硬さにより、サウンドバランスをまとめ上げている印象です。

確かにこれよりも高額なフェンダーと比べると、サウンドの抜けと立ち上がりは劣りますが、

フェンダーサウンドは十分に再現できていると思います。

まとめ

ピックアップや、一部のモデルにポリウレタン塗装を採用するなどの仕様変更もありますが、

従来のFender JapanやTraditionalシリーズから”劇的なサウンドの変化”は無いです。

現在新品で手に入る日本製のフェンダーはトラディショナルシリーズが最も安い価格になります。

高いと感じるなら中古でいくらでもフェンダージャパンを探せます。

しかし、フェンジャパ所有者はメンテナンスの仕方を知らないライトユーザーも多いので、

フレットが減りまくっていたり、トラスロッドナットがなめていたり、調整ビスが錆びていたりと、調整次第でもどうにもならない個体も数多く出回っているのも事実です。

その辺に造詣がある方や、中古品でもしっかり整備している信頼のおける楽器店のなら中古フェンジャパの方がコスパは高いです。

一方そういうハズレを掴むのが不安だったり、

弦高が下げやすく、チョーキングの音詰まりが軽減される9.5インチ指板ラディアスが欲しいという方は

新しくなったトラディショナルシリーズをおすすめします。