・ひっかかる
・指の皮が削れる
とお悩みの方へ。 現役楽器屋店員のyosh(@yoshguitarblog)が、その原因と解消法を説明します。
私が3万円くらいの安いギターを買ったあとに行った方法も解説します。
ネックの痩せ
この症状の原因はネックと指板が収縮して、金属のフレットがはみ出るためです。
ネックと指板が収縮する理由は、木材には水分が含まれています。
特に冬には空気が乾燥するため、木材に含まれた水分が空気中に逃げることでネックに含まれていた水分の体積が減るため、ネックが縮みます。
一方フレットは金属のため湿度による体積の変化はありません。
結果ネック指板のみが縮み、フレットは指板より出っ張ってしまいます。この出っ張ったフレットがネックを握った際の痛みにつながります。
なぜ安価なギターで起こるのか?
原因は2つです。
1.木材のシーズニングが十二分に行われていない。
2.フレットエッジの細部の、人の手でしかできない処理が行われていない。もしくは甘い。
1.木材のシーズニングが十二分に行われていない。
ある程度以上の価格のギターは、素材の木材を十分な狂い出しを行っています。
これをシーズニングと言います。
シーズニングをしっかり行ったものはギターになってから、木材の形状が変化しづらくなります。
なのである程度の乾燥でもネックが縮みづらくなっています。結果的にネックも反りづらくなっています。
2.フレットエッジの細部の、人の手でしかできない処理が行われていない。もしくは甘い。
フレットは金属の棒を切ったものなので、端は尖っています。
安いギターは左のような状態です。
高いギターはここを滑らかに仕上げています。
これは機械ではできず、人の手作業で行う必要があるため、安価なギターでは丁寧な処理がなされていません。
そのためフレットの出っ張りが鋭利になるため、痛みや違和感を大きく感じることになります。
フレットバリが出ないためのギターの管理方法
これを防ぐには湿度管理、とりわけ乾燥に気をつけなければなりません。
例えば冷暖房の風を直接当てないなどです。とはいえ木材なので、ものによっては気をつけていてもバリが出てしまいます。
1.購入店に持って行く
普通の楽器店であれば、保証修理で対応してくれます。
後述の処置をその場でしてもらえるはずです。
ネット通販や個人売買のデメリットはこういったところもあります。
2.自分で削る
ネット購入のみなさまご安心ください。高級ギターのような仕上げでなければ、簡単にできます。
必要なものはこちら
紙ヤスリでも可能ですが、やすりがスポンジについたこの3M社製が一番やりやすいです。
やすりの粗さを表す番手は320から600くらいが早く簡単にできます。
これをフレットサイドに当てて、上から下に、そのまま下から上にを繰り返し削るだけです。
注意点は強く押し当てない事です。
できる限りフレットのみを削ることが理想なので、強く押し当てると余計にネックを削る恐れがあります。軽く押し当ててもほんの少しネックは削れます。
艶のない塗装仕上げならあまり気になりませんが、艶のある塗装だと、艶がなくなってしまいます。そのままでは弾けないくらいなら、多少目は瞑りましょうw
私が実際に行ったセルフバリ取り
時間がかかっても、もうちょっと綺麗に仕上げたいDIY志向のあなたに、わたしが実際に行ったバリ取りをご紹介します。
①:マスキングテープ
②:油目やすり
③:600,800,1200番のサンドペーパー
④:フレット磨き
⑤:指板クリーニングオイル/ワックス
①:マスキングテープをはる
ギターを傷つけないようにフレットだけ露出させて、指板とネックの横をマスキングテープで覆います。
②:油目ヤスリでフレットサイドを丸める
油目やすりを使って左右からフレット際の角ばっている部分を丸めます。
45度くらいの間隔でやってます。左右で角度がばらつくと仕上げが不揃いになってしまいますので、気になる方は慎重に。
指板側に力を入れるとマスキングテープを超えてギターを削ってしまうので要注意。
③:サンドペーパーで仕上げ
油目やすりで削ったところを軽めの力で、600番、800番、1200番の順でサンドペーパーで仕上げます。
④:フレット磨きでひたすら磨く
フレット磨きで1本ずつ綺麗にします。
手軽なフレットバターを使っても良いです。
⑤:マスキングテープをはがして指板のクリーニング保湿
マスキングテープをはがした後はしっかりクリーニングと保湿をします。
完成
フレットの端の角ばった部分が取れたのがわかると思います。
これで左手にも優しくギターのグレードが少し上がったように弾きやすくなります。