指板潤滑剤の正しい使い方
コーティング弦の音が嫌い
左手の痛みを軽減したい
左手のノイズを軽減したい
という方のために、現役楽器屋店員のYosh(@yoshguitarblog)によるフィンガーイーズ解説の記事です。
指板潤滑剤とは
指板潤滑剤には主に5つの効果があります。
・ネックの滑りを良くする
・指先の痛みを軽減する
・左手の弦をこするノイズを軽減する
・弦の寿命を長くする
弦の摩擦を減らしすべりを良くする
特に巻き弦(4~6弦)はその構造上、手触りがザラザラします。
指板潤滑剤を弦に付けることで滑りが良くなり、ツルツルになります。
人によってはツルツルするほうが弾きやすいと感じます。
ネックのすべりを良くする
これ、日本ではあまりポピュラーではありませんが、
ネック側に塗って滑りを良くする、という使い方もあります。
グロス仕上げの吸い付く感覚が苦手な方には、効果あり。
ポリ系塗装のグロス仕上げには良いですが、
ラッカー、とくにヴィンテージには心配。
指先の痛みを軽減する
弦の表面の摩擦を軽減するので、
指先の軽い切り傷や擦り傷の痛みも軽減してくれます。
左手の弦をこするノイズを軽減する
ワウンド弦を左手で触るとキュッとノイズが鳴ります。
レコーディングやアコギでも特に有効です。
弦の寿命を長くする
このツルツルする感触は、弦の表面を指板潤滑剤がおおうためです。
これが汚れやサビを防ぐ効果もあります。
これにより弦の寿命は延びますが、劇的に、というほどではありません。
個人的には何もしていない弦の1.2倍くらい寿命が延びる感覚でしょうか。
指板潤滑剤はほんとうに必要?
ちなみに使っていない人もたくさんいます。
私は毎回弾く前に使うなんて面倒という、どうしようもない理由で使っていなかったりしますw
例えば左手のノイズを軽減したい、滑りを良くしたい
という場合は、コーティング弦の中でも エリクサー が最強です。
一方、ただ弦の寿命を長くしたい、でもエリクサーほどの滑りや、コーティング弦ならではのサウンドが苦手という方には
ダダリオの新しいコーティング弦XTシリーズがおすすめです。
おすすめの指板潤滑剤
指板潤滑剤も種類は様々ありますが、プロも使っているクオリティのものは
究極この2つのどちらかしかありません。
Finger Ease レビュー
1963年創業の老舗、指板潤滑剤の始祖。
指板潤滑剤の代名詞とも言えるのが、このTone社のフィンガーイーズ。
Finger Ease のメリット
スプレー式で手軽に使えます。
曲間で素早く使用したり、人によっては左手に直接拭きかける方もいらっしゃいます。
敏感肌でなければ使用後に手を洗うくらいで問題ないでしょう。
Finger Ease の デメリット
ギターの指板に直接吹き付けるとギターに悪影響を及ぼすと言われています。
ローズウッドなど無塗装指板や、メイプルなど塗装があってもフレットの隙間から
フィンガーイーズに含まれるシリコンが染み込み、シミになる、指板がもろくなる、フレットの食いつきが悪くなるといった可能性があります。
海外の販売サイトなどを見ると直接かけても問題ない と表記されていたり、
長年使っても問題なかった という報告もあります。
ライブ中などで素早く使いたいというときくらいの頻度なら問題ないでしょう。
ベッタベタになるくらいかけるのはちょっと心配ですが。
Finger Ease の 使い方
弦と指板の間にクロスを挟み、スプレーをする、
もしくはクロスにスプレーして、それで弦をつまんで塗る、といった方法がギターに最も優しい使い方と言えます。
Fast Fret レビュー
Finger Easeと双璧を成すのがこちら、弦のブランドghsの指板潤滑剤 Fast Fret。
Fast Fret のメリット
シリコンを含んでいないことが公言されています。
Finger Easeで指摘されていることが心配ならこちらが良いでしょう。
また、スプレー式ではないので弦を張った状態のままでも
弦だけに塗ることができます。
もう一点、スプレー式よりもずっと長持ちするので、単価は少し高いですが、コスパはこちらの方が良いです。
Fast Fret の デメリット
スプレー式ではないので、例えばライブの曲間などで素早く使いたいという方には不向きです。
Fast Fret の 使い方
弦を張った状態のまま、1本1本に塗って、
あとは清潔なクロスで吹き上げます。