Fender Player Plus Telecasterレビュー【Player/Hybrid II/Modern違い比較】

現役楽器屋店員のYosh(@yoshguitarblog)です。

 
 ・宅録やSNSに最適なギターを探している

・テレキャスかつ幅広いジャンルで使える欲張りギターが欲しい

・初心者ギターからの買い替えで弾きやすいギターが欲しい

という人たちにおすすめできるギター、Fender Player Plus Telecaster(フェンダー プレイヤー・プラス・テレキャスター)とPlayer Plus Nashville Telecasterをレビューします。

Player Plus Stratocasterのレビューはこちら

Player Plus Telecaster特徴

①:弾きやすいモダン特化型の演奏性

②:チューニングの安定を図るロック式ペグ/6wayサドル

③:新開発の専用Noiseless Pickup搭載

④:従来以上の幅広いサウンドメイク

⑤:新カラーを含むカラーバリエーション

特徴①:弾きやすいモダン特化型の演奏性

弾きやすさに特化したスペックを採用したモダンスタイル。

指板はフラット気味な12インチラディアス、ミディアムジャンボサイズのフレット、により左手は軽い力で弦を押さえることができます。

指板サイドもしっかり丸めたモダンCシェイプネックで握り心地が良く、ボディバックにはコンターが入っており抱え心地も向上しています。

特徴②:チューニングの安定を図るロック式ペグ/6wayサドル

伝統的なテレキャスターのブリッジサドルは3つですが、Player Plusシリーズはストラトと同様の6つのサドルを採用。

これにより各弦のオクターブチューニング調整の精度が高まります。

加えてロック式ペグでチューニングがより安定します。

弦を通してから裏から閉めるだけで工具不要でロックできるため、弦交換も手早く簡単に行えます。

特徴③:新開発の専用Noiseless Pickup搭載

Player Plusシリーズのために新たに開発されたノイズレスピックアップを搭載。

メーカーサイトでは「ハムノイズを抑制したウォームで甘いTelecasterトゥワングトーンを提供します。」とありますが、

個人的には”テレキャスターの中では”という程度でクリアでシャープ過ぎない扱いやすいテレキャスターサウンドという印象です。

エフェクターやデジタル機材との相性も良く音作りしやすい点からも、様々なジャンルに対応できると言えるでしょう。

特徴④:従来以上の幅広いサウンドメイク

従来通りの2シングルコイルピックアップのPlayer Plus Telecasterと、センターピックアップを追加したPlayer Plus Nashville Telecasterの2モデルを展開。

Player Plus Noiseless Telecasterピックアップを2基搭載のPlayer Plus Telecasterは、トーンポットひっぱるのことで2つのピックアップを直列(シリーズ)接続に切り替えます。

これにより音量が上がりパワフルなサウンドが得られます。

Player Plus Noiseless Telecasterピックアップを2基搭載とPlayer Plus Noiseless  Stratocaster ピックアップを1基搭載したPlayer Plus Nashville Telecasterは、ストラトと同様の5Wayセレクターとフロントピックアップを追加できるプッシュ-プルポットを装備。

これによりストラトに肉薄するハーフトーンや、フロント+リアの本来のテレキャスセンターポジションと3発のピックアップ全てを並列接続も可能。

まさにテレキャスとストラト両方のサウンドメイクがこれ1本で手に入ります。

特徴⑤:新カラーを含むカラーバリエーション

Player Plusシリーズではこれまでに無かった新色も追加しています。

Player Plus Telecaster

Player Plus Telecasterは、左からSilver Smoke、3-Color Sunburst、Cosmic Jade、Aged Candy Apple Redの全4色。

Player Plus Nashville Telecaster

Player Plus Nashville Telecasterは、Aged Candy Apple Red、Opal Spark、Butterscotch Blonde、3-Color Sunburstの全4色。

デメリット

デメリット①:パーフェロー指板

現在フェンダーではローズウッド指板モデルは存在せず、代替品としてよく使われるパーフェロー指板が採用されています。

フェンダーいわく見た目も音もローズウッドに近い、とありますがサウンドはローズウッドよりも硬質になります。

つまりメイプルとパーフェローそれぞれの指板がありますが、サウンドに大きな近いがなく見た目で選んでokという感じです。

詳しくはこちらの記事もご覧ください。

デメリット②:モダンなためフェンダーらしさは少ない

Player Plusシリーズは演奏性もサウンドも現代仕様にしているので、古き良きFenderスタイルが欲しい人にとっては失望するかもしれません。

フェンダーのこれまでのモダンスタイルシリーズ、USA製ならAmerican Deluxe, Elite, Ultraなど、日本製ならModernはこと日本においてはベストセラーとは言い難いのが事実です。

日本市場ではフェンダーに求められるフェンダーらしさとは、良い意味でのいなたさがニーズとしては大きいと感じます。

快適性を求めたボディバックコンターや6連サドルによるピッチの向上は、逆に言うとそれが失われてしまう要素です。

しかし実際本国ではそんなことはなく、汎用性の高さや利便性を求めつつFenderブランドが好きな人に愛用されています。

またこれまでのモダンスタイルのフェンダーはアメリカ製で20円台中盤から30万円台が当たり前で、その金額だと他ブランドにもモダンスタイルギターの競合が多いのも事実。

今回のPlayer Plusシリーズは10万円台前半の価格にして、モダンスタイルという他ブランドでも選択肢が少ないのでこれまでとは違うニーズを満たしてくれています。

Player Telecasterとの違い

 Player PlusPlayer
ボディアルダーアルダー
ボディフィニッシュグロスポリエステルグロスポリエステル
ネックメイプルメイプル
ネックフィニッシュサテンウレタンサテンウレタン
ネックシェイプモダンCモダンC
指板メイプルorパーフェローメイプルorパーフェロー
指板ラディアス12″(305mm)9.5″ (241 mm)
フレット22, ミディアムジャンボ22, ミディアムジャンボ
ナット幅1.685″ (42.8mm)1.650″ (42 mm)
ペグロック式/デラックスキャストスタンダードキャスト
スケール25.5″ (648mm)25.5″ (648mm)
ブリッジ6ブロックサドル6ブロックサドル
ピックアップPlayer Plus Noiseless TelecasterPlayer Alnico 5 Tele
コントロールボリューム、トーン1(フロント/ミドル)、トーン2(リア)ボリューム、トーン1(フロント/ミドル)、トーン2(リア)
トーンプッシュ-プルPlayer Plus:直列接続
Nashville:フロントPU追加
なし
生産国メキシコメキシコ
市場相場価格Player Plus:123,750円
Nashville:126,720円
87,780 円

現在Fenderブランドで最も安いPlayer シリーズとの違い比較です。

価格差約35,000円。総合的に納得できる価格差ではあります。

両方実際に触って特に大きな違いを感じたのが、弾きやすさです。

特に手が馴染むようネックのエッジが丸めてあるなど、スペック面以外にもさらに手間ひまがかけられていることで弾き心地も向上しています。

もう一つ大きな違いはサウンドとそのバリエーションです。

Player Stratocaster のサウンドはやや出力が低く、往年のフェンダーのいなたいサウンドを出力します。

一方Player Plus はノイズレスピックアップらしい、クリアでバランスの整ったサウンド。

前述の特殊配線による従来のテレキャスター+αのバリエーションも、オマケではなく使えるサウンドです。

こちらの動画の5:28からサウンドの比較が聞けます。

Player シリーズがおすすめな人は
・Fenderブランドが欲しいけど安いものが良い
・Fenderらしさがある、昔ながらのサウンドがほしい

Made in Japan Hybrid II/Modern Telecasterとの違い

 Player PlusHybrid IIModern
ボディアルダーアルダーアルダー
ボディフィニッシュグロスポリエステルグロスポリウレタングロスポリエステル
ネックメイプルメイプルメイプル
ネックフィニッシュサテンウレタンサテンウレタンサテンウレタン
ネックシェイプモダンCモダンCコンパウンド モダンC to D
指板メイプルorパーフェローメイプルorローズウッドメイプルorローズウッド
指板ラディアス12″(305mm)9.5″ (241 mm)9.5″ to 14″  (241 mm-355.6 mm)コンパウンド
フレット22, ミディアムジャンボ22, ナロートール22, ミディアムジャンボ
ナット素材人口骨牛骨牛骨
ナット幅1.685″ (42.8mm)1.650″ (42 mm)1.675″ (42.5 mm)
ペグロック式/デラックスキャストロック式/ヴィンテージスタイルロック式/デラックスキャスト
スケール25.5″ (648mm)25.5″ (648mm)25.5″ (648mm)
ブリッジ6連ブロックサドル2点支持/プレスサドル6連ブロックサドル
ピックアップPlayer Plus Noiseless StratHybrid II Custom Voiced4th Generation Noiseless
コントロールボリューム、トーンボリューム、トーンボリューム、トーン
トーンプッシュ-プルSSS:フロントPU追加 HSS:リアハムのコイルタップなし(ピックアップセレクターは4Wayで直列接続可能)SS:直列接続 HH:なし
生産国メキシコ日本日本
市場相場価格123,750円108,900円168,300円

続いて日本製フェンダーで価格が近いHybrid IIシリーズと、同じくモダン仕様のModernシリーズとの違い比較です。

一番印象的なのは今ままで指摘されてきた「メキシコ製は日本製よりも雑な仕上げ」という部分に関して、今回のPlayer Plusシリーズではかなり払拭できています。

指板及びフレットのエッジ仕上げ、ナット溝の仕上げなど演奏性に関わる部分では大差ありません。

また日本製にはローズウッド指板が採用されており、粘り・泥臭いサウンドを求めるなら日本製の方がしっくりきます。

この3シリーズにおいては全て、ボディバックにコンターが施されていおり、ペグはロック式な採用されています。

またPlayer Plus Nashville Telecasterを除き、操作の違いはあれど全機種ピックアップ2発を直列接続してパワーを得る事も可能です。

Player Plus vs Hybrid II

Hybrid IIは演奏面でも往年と現代の中間的なFenderスタイル、Player Plusは現代的な快適さに振り切ったスタイル

Hybrid II もPlayerと同じく、牛骨ナットやローズウッド指板モデルなどの恩恵もあり往年のFenderのキャラクターを持っています。

フレットがナロートール、サドルがプレスサドルなどFenderならではの繊細さがありつつも、程良い快適さを持っています。

サウンドに関してはどちらも現代的なクリアでバランスの良いサウンドという、大枠では近しいキャラクターです。

Hybrid II Telecaster がおすすめな人は

・扱いやすさがありつつも、Fenderの繊細さが欲しい

Player Plus vs Modern

ピックアップはシングルはUSA製American Eliteにも搭載された第4世代ノイズレスPU、ハムバッカーはオリジナルのModern Modified Humbuckingを搭載。

従来フェンダーが苦手な、メタルをはじめとするラウドミュージック系のディストーションサウンドをModernは得意としています。

逆にハイゲインが必要なければPlayer Plusの方がバランス良く扱いやすいサウンドと言えます。

またルックス面において、Modernはかなり従来のフェンダーから離れてしまっています。

ボディトップが弧を描いておりボディエッジにはバインディングが巻かれ、滑らかさはありません。2ハムバッカーモデルに関してはピックガードすらありません。この辺りは好き嫌いですがハッキリわかれますね。

個人的に2ハムモデルまで行くと振り切っていて好きですが、HSSは魅力に欠ける印象。

Player Plusに関してはボディのデザインも含め、形は従来のフェンダーから逸脱せず新しいカラーが採用されているだけなのでこちらの方が受け入れられそうな印象です。

演奏性に関してはModernはテクニカルなプレイヤーに人気のコンパウンドネック&ラディアス指板を採用。

Player Plusはコンパウンド指板が採用されていませんが、演奏性においても劇的な差は無く、

Modernシリーズとの比較検討の仕方はルックス面がメイン、次いでサウンド面だけ考慮すれば良いでしょう。

Modern Telecaster はこんな人におすすめ
・ラウドロック、メタル系のジャンルでFenderを使いたい
・日本製の最先端が好き

Player Plus Telecasterレビューまとめ

実機を触ってみて、想像以上に完成度の高い、また競合も少ない絶妙な製品だったというのが正直な感想です。あまり期待していなかった分(失礼)、かなり好印象です。

さすがにハイエンドギターには及びませんが、速弾きなどには十分対応できる快適な演奏性を備え、エフェクターやデジタル機材との相性も良い、バランスの取れた様々なジャンルに対応できる懐が広いギターです。

またPlayer Plus Nashville Telecasterはストラトのハーフトーンが得られる幅広いサウンドバリエーションがありながら、大元はテレキャスターという点はコンポーネント系でも珍しい、美味しい仕様のギターでかなり好印象です。

Player Plus Telecasterはこんな人におすすめ

・シングルコイル用など宅録向きのサブギターを探している

・汎用性の高い便利なギターが欲しいが、モダン過ぎるギターは敬遠してきた

・ベーシストなどギタリスト以外のプレイヤーが、エレキギターを1本持っておきたい

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