多機能デジタルアンプ4選Spark 40/THR30II/KATANA-AIR/Mighty Air違い選び方
・良い音で練習したい
・家でエフェクターを繋ぐのは面倒
・効果的な練習がしたい
・音源と一緒に弾いて楽しみたい
・多機能アンプがあり過ぎてどれを選べば良いかわからない
という人にのために現役楽器屋店員のyosh(@yoshguitarblog) が便利な多機能デジタルアンプの魅力と、使用用途別におすすめのある厳選4機種と選び方をガチレビューします。
多機能デジタルアンプは数あれどこの中のシリーズから選べば間違いありません。Marshall CODEシリーズやFender Mustang GTシリーズ、VOX Adio Airも悪くはありませんが、今回紹介する4機種と比べて突出した性能はありません。ブランドのファン以外は手放しでおすすめできないので、今回の比較では外しました。
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【結論】多機能デジタルアンプの選び方
●録音音源のようなステレオで広がりあるサウンドが欲しいorデザイン重視ならYAMAHA THR30II Wireless
●スピーカーの音はそれなりでワイヤレス内蔵が欲しいならBOSS KATANA-AIR
●極小サイズが良い、安ければ良いならNuX Mighty Air
それでは詳しく解説していきます。
多機能デジタルアンプの特徴
代表的なブランドでセールスも好調なこの多機能アンプ4機種で、共通の特徴はこちら
①:アンプモデリング+エフェクター内蔵
②:ステレオスピーカー
③:Bluetoothオーディオ
④:Bluetooth接続アプリ
⑤:USBオーディオインターフェイス
⑥:ヘッドフォンアウト/ラインアウト/Aux in
特徴①:アンプモデリング+エフェクター内蔵
数の違いはあれど(後述)、どの機種もクリーン~クランチ~ヘヴィディストーションまでカバーでき、基本的なエフェクターは揃っているので、対応できないジャンルは無いと言って良いでしょう。
そんなに必要ないという意見もありますがその通りで、どんなジャンルも弾いてくださいというよりは、自分の好きなジャンル/曲に対応できますよ~、というニュアンスで使っている人の方が多いです。
特徴②:ステレオスピーカー
一般的な家庭用ギターアンプのスピーカーは1発ですが、これら多機能アンプは2発ついておりステレオ再生できます。ディレイやリバーブなど空間系エフェクトの広がりが聞いていて気持ち良いです。
特徴③:Bluetoothオーディオ
スマホなどとBluetooth接続すれば、SpotifyやYouTubeなどの音楽を流すことができます。家での作業や家事をしながらのBGMとしても、スマホのスピーカーよりも圧倒的に良い音で楽しめます。ここもステレオスピーカーの良さが発揮されます。
また曲を流しながらもギターが弾けるのでコピーを気持ちよく弾けたり、YouTubeによくあるバッキングトラックを流してアドリブの練習もできます。
特徴④:Bluetooth接続アプリ
それぞれ専用アプリを無料でダウンロード可能。iOS/Androidいずれにも対応します。
アプリの機能は様々ですが主要なのは、アンプやエフェクターの設定と保存が行えることです。無線接続なので離れた場所でも音作りができます。
特徴⑤:USBオーディオインターフェイス
USBケーブルでパソコンと接続すれば、アンプで作りこんだサウンドをそのままデジタル録音できます。
特徴⑥:ヘッドフォンアウト/ラインアウト/Aux in
夜間の練習でスピーカーを鳴らせない時もヘッドフォンを挿すことができます。Bluetooth接続ができるので使う人は少ないでしょうが、Bluetooth非対応機器でも有線接続でスピーカーとして使えるAux in端子があります。
4機種の仕様比較
それではそれぞれの違いを見ていきましょう。
Positive Grid Spark 40 | YAMAHA THR30II Wireless | BOSS KATANA-AIR | NUX Mighty Air | |
---|---|---|---|---|
出力 | 40W | 30W(アダプター使用時) 15W(バッテリー駆動時 ) | 30W(ACアダプター使用時) 20W(アルカリ乾電池使用時) | 8W(4W+4W) |
スピーカー | 4インチ(10cm) x2 | 3.5インチ(9cm) x2 | 3インチ(7.5cm)x2 | 2インチ(5cm)x2 |
ワイヤレス | なし | 別売: Line6 Relay G10T 相場価格13,750円 | 付属 | 付属 |
付属DAWソフト | PreSonus Studio One Prime付属 | Cubase AI付属 | なし | なし |
電源 | ACアダプター | ACアダプター | ACアダプター | USB Type-C |
バッテリー駆動 | なし | 充電式バッテリー内蔵(約5時間) | 単3電池8本(アルカリ約7時間) | 充電式バッテリー内蔵(約3時間) |
アンプ数 | 33種 (エレキ25+ベース4+アコ4) | 24種 (エレキ15+ベース3+アコ3+フラット3) | 5種 (エレキ4+アコ1) | 13種 (エレキ9+ベース3+アコ1) |
エフェクト数 | 43 種 | 12種 | 50種以上 | 29種 |
入出力端子 | ・インプット ・1/8″ Aux in ・1/8″ ヘッドフォン/ラインアウト | ・インプット ・1/4ヘッドフォン ・1/8″ Aux in ・ラインアウト | ・インプット ・1/8″ Aux in ・1/8″ ヘッドフォン/ラインアウト | ・インプット ・1/8″ Aux in ・1/8″ ヘッドフォン |
サイズ | 350 x 180 x 190 mm | 420×195×155 mm | 350 x 181 x 144 mm | 186 x 98 x 91 mm |
重量 | 5.2kg | 4.3kg | 2.2kg | 0.78kg |
市場相場価格 | 37,400円 | 59,400円 | 44,000円 | 24,200円 |
サウンドクオリティ
独断で言うとサウンドの質は
Spark 40(リアルアンプサウンド)≧THR(わかりやすい良い音)>KATANA AIR(BOSSサウンド)≒Mighty Air(明るめ)というイメージです。
スピーカーと筐体サイズがある程度大きいほど、バランスが整ったクリアで迫力のあるサウンドが得られます。これはBluetoothスピーカーとして音楽を流した時も顕著です。
●NUX Mighty Air
この点と筐体が薄い樹脂製であることから他3機種に比べ、レンジが狭く中音域が詰まった感じです。アンプモデリングのサウンドは全体的に明るめ(軽め)な印象。
●BOSS KATANA AIR
アンプの種類が少ないため、好みに合わないと満足できないです。個人的にハイゲインサウンドが硬くジューシーさが足りない感じて駄目でした。ただエフェクターの種類が一番多いので、メタル系より最近のロックやポップス、オルタナ系の人なら不満はないかと。また唯一ベースアンプモデル非搭載です。
●YAMAHA THRII
初代より音質もグレードアップ。ステレオを最大限に生かした広がりのある音像が楽しめます。ベースも満足にならせるサイズは、ギターでも迫力のあるサウンドに貢献します。アンプの種類も必要十分、好みのサウンド・歪みが見つかるでしょう。
●Positive Grid Spark 40
重量が重い分その筐体によるギターアンプ本来の鳴りが得られ、リアルなアンプサウンドが得られます。Kemperなどと比較されるBIASアンプのサウンドエンジンを踏襲していることも含め、ニュアンスを大事にしたいという人も満足できるでしょう。アンプの種類が最も多いです。
NUX vs Spark40
Spark40 vs KATANA-AIR
Mighty Air vs THR30 vs Spark 40
本体操作性
どの機種も作った音をプリセットできるので、毎回細かく調整したい、ギター毎に調整したい、という人でなければ気にならないポイントではあります。
●NUX Mighty Air
こちらも大きさとのトレードオフ、本体についているつまみが少ないので音作りは基本的にアプリで行う必要があります。本体chボタンでプリセットの切替ができるので頻繁に微調整をする必要がない人なら問題ないでしょう。
●BOSS KATANA-AIR
エフェクターの細かな設定以外は本体のつまみで行えます。
●YAMAHA THRII30 Wireless
エフェクターの細かな設定以外は本体のつまみで行えます。ただしTHR30IIはアンプバリエーションの切替ができますが、THR10IIはアンプバリエーションはアプリ操作必須です。
●Positive Grid Spark 40
アンプのEQやエフェクトなどおおむねのパラメータ変更はできますが、全てのアンプやエフェクターを使うにはアプリ必須です。また本体のつまみ自体が本体上面の少し奥にあるので、手前にあるTHRやKATANAより使いづらいと感じる人もいます。
アプリ
各社専用のアプリがあり全て音色の設定が行えますが、それ以外の機能に違いがあります。多機能なものは魅力ですが、実際に日常的に全ての機能を使う方が少ないでしょう。アプリ機能の豊富さでどれにするか選ぶのではなく、必要な機能が入っているかを判断しましょう。
●NUX Mighty Air
リズムマシン、バッキングトラック機能があります。メトロノームは有用ですが、リズムパターンはバッキング音源の種類は乏しく、YouTube上に無数にあるので特筆すべきメリットでは無いです。
●BOSS KATANA-AIR
チューナーとTONE CENTRALがあります。後者はBOSSが用意したプリセット音色をジャンルごとにダウンロードできます。音作りが苦手な人には嬉しい機能です。有名曲を模した音色などもありますが後述のSpark 40のような種類は無いです。
●YAMAHA THR-II
アプリは音作り以外の機能はありません。逆にほぼ本体だけで完結できると言って良いでしょう。弾くことだけで満足できる、他の機能は必要ないという人であれば気にしなくて良いです。
●Positive Grid Spark 40
最も多機能。
発売時には無く今までのレビュー記事で紹介されていない機能として、ビデオ撮影時にBluetooth経由で演奏が録音できる機能があります。つまりパソコンに別録する手間なくライン録音できます。自分のプレイを客観視して上達につなげたりSNS活動に便利な唯一無二の機能。
また1万以上のプリセット音色がダウンロード可能。BOSSのTONE CENTRALとの大きな違いはバンドやギタリスト、曲名で探せるのでどのエフェクターをどうやって使うとあの音に近づけるか、という音色の研究にも使えます。
加えて自分の演奏スタイルを分析しベースとドラムでバッキングを自動生成できます。好みのコード進行で作れるので、アドリブの練習に大変便利です。
さらにYouTube上の100万以上の楽曲からコードを自動表示してくれます。また一部を繰り返し再生したり、テンポを落とすなど曲の練習をサポート。チューナー、メトロノーム機能まで網羅しています。
その他機能
▼バッテリー
YAMAHA THR30IIとNUX Mighty Airには充電式バッテリー内蔵。NUXはUSB充電なのでかなり手軽です。BOSS KATANA-AIRは単三電池8本も必要です。Positive Grid Spark 40に至ってはコンセント必須で持ち運びには不向き。
▼ワイヤレス
NUX Mighty AirとBOSS KATANA-AIRはワイヤレスが付属します。YAMAHAは別売のLINE6 Relay G10Tがあれば受信機は内蔵されています。さらにBOSSとYAMAHAなら送信機をアンプ本体に挿しておくだけで充電してくれるのは嬉しい要素。Positive Grid Spark 40にワイヤレス機能はないため、別途用意する必要があります。
▼チューナー
YAMAHA THR30IIとPositive Grid Spark 40は本体にチューナーの表示があり。音名表示など視認性はYAMAHAに軍配があがります。BOSS KATANA-AIRはアプリ内で使えますが、いちいちアプリを開くのは煩わしいでしょう。NUX Mighty Airには本体、アプリいずれもチューナーはありません。なのでYAMAHA以外の3機種は結局クリップチューナーなどを使うことになるでしょう。
▼USBオーディオインターフェイス
PCと接続してギターの音を録音し、PCの音をアンプで鳴らせるUSBオーディオインターフェイスは4機種とも機能します。これからDTMを始めたい人には嬉しいDAW(音楽制作)ソフトが付属するのはYAMAHA THR-IIとPositive Grid Spark 40。Sonarなど無料DAWソフトもありますが、付属の方が設定などを簡単に行えるでしょう。
▼サイズ重量
ネット上でもあまり議論されませんが上記解説の通りサイズと重量もまた、サウンドにも大きく影響を及ぼします。音を優先するか、大きさや軽さを優先するかで検討してください。NUX Mighty Airはとにかく小さく大変魅力的。4機種の中で一番重いPositive Grid Spark 40も、卓上に置けるほどなので従来のギターアンプから考えれば十分コンパクトです。
▼価格
NUX Mighty Airはワイヤレスも付いて一番安い2万円台というのは価格破壊もいいとこ。YAMAHA THR30IIはワイヤレスも含めると7万円になってしまいます。最も多機能なPositive Grid Spark 40が3万円台、BOSS KATANA-AIRはワイヤレスがついて4万円台なのでアンプだけの性能で考えるとSpark 40の価格は驚異的と言えるでしょう。
【まとめ】多機能アンプの選び方
Positive Grid Spark 40 | YAMAHA THR30II Wireless | BOSS KATANA-AIR | NUX Mighty Air | |
---|---|---|---|---|
サウンド | ◎ | ◎ | 〇 | △ |
アンプ数 | ◎ | 〇 | × | △ |
エフェクト数 | ◎ | △ | ◎ | ○ |
本体操作性 | ○ | ◎ | ◎ | △ |
アプリ | ◎ | △ | ○ | ○ |
軽さ・小ささ | △ | △ | ○ | ◎ |
市場相場価格 | 37,400円 | 59,400円 | 44,000円 | 24,200円 |
メリット/デメリットから考える選び方
○:メリット
×:デメリット
△:使用用途による
○ワイヤレス付属
○エフェクターが多彩
△好みが分かれるBOSSサウンド
△単3電池駆動
×アンプの種類が少ない
※もう少し高くはなりますがYAMAHA THR-IIの音の方が断然おすすめです。
○ステレオによるCD的でわかりやすい良い音
○充電バッテリー内蔵
○DAWソフト付属
×やや大きい
×ワイヤレス別売
×一番高価で専用ワイヤレスを含めると7万円台
※THR10II、THR10II Wirelessとの違いはこちらの記事をご覧ください。
○最高級クラスBIAS直系サウンドなのに安い
○ノイズを気にせず弾いてみた動画が撮れる
○好きなコード進行でアドリブ練習できる
○DAWソフト付属
○カフェライブ程度に使える40W出力※自宅で使うだけなら、小さくて充電できるSpark MINIもおすすめ。
×ワイヤレスシステム非搭載