YAMAHA THR10II Wirelessレビュー【3モデル・KATANA-AIR比較】

 
●ギターワイヤレスが搭載されたデスクトップアンプを探している
●ヤマハTHR-IIの音って実際どうなの?
●エレキギターもベースもアコギも、アンプは1台でまかないたい

という方に、元楽器屋店員のYoshがヤマハTHR-IIシリーズのメリット・デメリット、BOSS KATANA-AIRの比較まで、徹底解説します。

ヤマハTHR-IIシリーズは、ワイヤレス機能、多彩なサウンドバリエーション、充電池内蔵の多機能デスクトップアンプ。BOSSのKATANA-AIRと比較されるが、KATANA-AIRもワイヤレス機能を備えているものの、トーンやエフェクトのオプションは少ない。THR-IIシリーズはやや高価だが、デザイン、音質、機能性で際立っている。

THR(thrdの頭3文字)はステージ、スタジオの次、家庭用アンプを念頭に置いた第三のアンプとして、2011年に登場。

大ヒット商品としてデスクトップアンプという新しいジャンルを生み出し、各ブランドがこぞって対抗製品を開発しました。

VOX ADIO-AIRにはBluetooth機能を、BOSS KATANA-AIRはギターワイヤレスを搭載し、先駆けのYAMAHA THRは機能面において劣勢でしたが、

2019年にTHRの第二世代、THR-IIを発表し、追従してきた類似モデルの機能をも網羅し、再びデスクトップアンプの王座に君臨しました。

THR-II 特徴・メリット

jp.yamaha.comより引用

Bluetoothオーディオ

モバイル、PCエディタアプリ対応

ギターワイヤレス受信機内蔵

充電式バッテリー

幅広いサウンドバリエーション

オーディオインターフェイス

デザイン

メリット①:Bluetoothオーディオ

THR-IIには4つのワイヤレス機能が搭載されています。

ワイヤレスその1、Bluetoothオーディオ。

スマートフォンなどとBluetooth接続することで、音楽を流せます。

練習している曲と一緒にギターを弾くのはもちろん、

最近はYouTubeなどでアドリブ用のバッキングトラックも大量にあるので、練習素材に事欠きません。

また一般的なギターアンプと異なり、低域から高域までクリアに再生されるフルレンジスピーカーなので

純粋な音楽リスニング用としても優秀。

家族からギターの理解があまり得られていない方は、これを理由に購入許可をしてもらいましょう(笑)

メリット②:モバイル、PCエディタアプリ対応

ワイヤレスその2、専用エディターアプリ「THR Remote」。

iOS/Androidに対応しており、スマホやタブレットをBluetooth接続することで、席を立たずにアンプの調整ができます。

また、アプリのみで設定できる機能が

コンプレッサーの設定

ノイズゲートの設定

16種類のキャビネットシミュレータの選択

そして、本体では最大5つのプリセットをアプリならさらに保存可能。

メリット③;ギターワイヤレス受信機内蔵

digimart.netより引用

ワイヤレスその3、ギターワイヤレス機能。

本体にワイヤレス受信機を内蔵。

子会社LINE6の簡易ワイヤレス送信機 RelayG10T を使うことでギターもワイヤレスにできます。

家でワイヤレスって必要?と思う方も多いと思いますが、実際使ってみると非常に便利ですよ。

演奏時のストレスも減りますし、部屋も片付きます。

そして使わない際にはTHR-IIのインプットにワイヤレス送信機を挿しておけば充電されるという利便性も、格安ワイヤレスには無い大きなメリット。

メリット④:充電式バッテリー

ワイヤレスその4、充電式バッテリー。

初代THRでは単3電池駆動8本アルカリ電池で 約6時間駆動というランニングコストの悪さがありましたが、

THR-IIでは充電式のバッテリーを内蔵。連続駆動時間は約5時間。

野外での演奏やアウトドアでのBGM用スピーカーとしても使えます。

アンプとギター、スマホを無線でつなぎ、バッテリー駆動させれば、すべてのケーブルが不要になります。

メリット⑤:幅広いサウンドバリエーション

初代以上に向上した音質に加え、全24音色ものサウンドバリエーションを有します。

「CLEAN」、「CRUNCH」、「LEAD」、「HI GAIN」、「SPECIAL」の5段階で歪み量が多くなります。

それらに「CLASSIC」、「BOUTIQUE」、「MODERN」の3タイプ切替が可能な合計15音色を搭載。

EQ以上にかなりの変化があるため、どのタイプでも好みの音色が見つかります。対応できないジャンルは無いでしょう。

またギター以外にもベース用の「BASS」、エレアコなどアコースティック楽器用の「ACO」、キーボードなどライン出力用の「FLAT」もそれぞれ3タイプの切替が可能。

様々な楽器に高音質で対応できるのもフルレンジスピーカーを搭載しているためで、この多彩さは小型アンプで唯一無二。

エフェクターはCHORUS, FLANGER, PHASER, TREMOLO, ECHO, ECHO/REV, SPRING REVERB,HALL REVERB, *COMPRESSOR, *NOISE GATE の全8+2種類を内蔵。

メリット⑥:オーディオインターフェイス

USB ケーブルでPCと接続すれば、THRの高音質なサウンドをそのままレコーディングできます。

アイデアやデモ録音、配信や動画用にも最適。

DAWソフトCubase AI/LEも内蔵しており、これからDTMを始めたいという方にも嬉しいポイント。

メリット⑦:デザイン

THRのヒットの理由のひとつに、ギターアンプらしさの薄いデザイン性の高さがあります。

THR-IIもそのデザインを踏襲しており、また真空管をオマージュしたライトがギタリストも気に入るデザインです。

ディスプレイはチューナーとしても機能します。

THR10II デメリット

家庭用アンプとしては高価

中音域にややクセがある

デメリット①: 家庭用アンプとしては高価

市場販売価格はおおむね以下のとおり

THR10II 35,200円

THR10II Wireless 52,800円

THR30II Wireless 59,400円

さらに別売のワイヤレス LINE6 Relay G10Tは 13,750円。

ワイヤレス付きの対抗馬BOSS KATANA-AIR の44,000円と比較すると割高感は否めません。

後ほど仕様比較をご紹介しますのでご参考ください。

デメリット②:中音域にややクセがある

これは私の感覚ですが、多くのアンプタイプでムチっとしたミッドが気になりました。

真空管を意識したサウンドの結果とも言えそうですが、

ブティックやモダンのタイプ切替でその癖が激減するものがあるのでそれを使いEQで調整すれば、満足できるセッティングにはできます。

また、THR10IIとTHR30IIではスピーカーや出力が異なるのですが、

THR10IIの方がややクリアな出音でこの癖は軽減されます。

THR-II 3機種比較

THR10II Wireless コントロール部
THR30II Wireless コントロール部
THR10II THR10II WirelessTHR30II Wireless
市場相場価格35,200円52,800円64,900円
定格出力 20W(10W+10W) 20W(10W+10W)
バッテリー駆動時15W(7.5W+7.5W)
30W(15W+15W)
バッテリー駆動時15W(7.5W+7.5W)
スピーカー 8cm x 2 8cm x 2 9cm x 2
Relay G10Tワイヤレス ×
バッテリー駆動 ×
アンプモード切替 アプリでのみ可 アプリでのみ可 本体スイッチ及びアプリで可
ラインアウト端子 × ×
サイズ 368 x 183 x 140 mm 368 x 183 x 140 mm 420 x 195 x 155 mm
重量 3.0kg 3.2kg 4.3kg

Bluetooth接続やアンプモデリング数などに機能の差異はありません。

主な違いは上記の通りで、THR-IIシリーズのメリットを最大限生かすならWirelessのいずれかがおすすめ。

私が現在使っているアンプを買い替えるならTHR10II Wirelessですね。

音質面においてはデメリット②の通りですし、自宅で20Wは十分すぎる音量、アンプモードの切替が本体できなくても、5つのプリセットに入れてしまえば問題なく、家に置くときもこのサイズの小ささがベスト。

しいて言うなら野外でのストリートライブ、カフェバーでのドラムレスでのライブで使うことを想定した音量が必要であればTHR30 Wireless ですかね。

BOSS KATANA-AIR比較

boss-katana-air

THR-IIに肉薄する機能があるBOSSKATANA-AIR。

ギターワイヤレス、本体収納でワイヤレス送信機充電、Bluetoothオーディオとエディターアプリなど主要な機能はおおむね同じです。

THR10 II WirelessKATANA-AIR
出力 20W(10W+10W)
バッテリー駆動時15W(7.5W+7.5W)
30W (15W+15W)
電池駆動時20W(10W+10W)
スピーカー 8cm x 2 7.5cm x 2
音色数 24種類 5種類
エフェクト数 10種類 50種類以上
チューナー アプリのみ
電源 内蔵バッテリー 単三電池 8本
駆動時間 バッテリー5時間 アルカリ7時間
ラインアウト ×
サイズ 368 x 183 x 140 mm 350 x 181 x 144 mm
重量 3.2kg 2.2kg
市場価格  52,800円 44,000円

となれば、やはり見た目とサウンドが一番気になるところでしょう。

個人的にはサウンド面では初代THRのハイゲインよりもKATANA-AIRの方が勝っているイメージでした。

しかし、THR-IIではHI GAINのバリエーションやさらに歪むSPECIALの登場で、ハイゲインのリフもソロもTHRが完全にクオリティを上回っています。KATANA-AIRは良く言えばタイト、悪く言えば低音域や奥行きに欠ける印象です。

またKATANAのクリーンはPeavey6505に通ずるクリアですが硬いサウンドで、THRのようなフェンダーなどコンボのような温かいクリーンが苦手でした。

クリーンに関しても従来からTHRの方が良かったのがさらにバリエーションも増えてクリアにもできます。

このクリーンで不満な人なんているんでしょうか?笑👇

KATANA-AIRを選ぶ理由はワイヤレス付きでこの販売価格ということだけのような気がします。

まとめ

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専用ケースはTHR10II Wireless、THR30II Wirelessいずれも収納可能です。

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