【3万円アコギ最適解】YAMAHA FS800レビュー【初心者おすすめ】
・初心者に人気のアコギが知りたい
・ネットで評判の良いFS800実際どうなの?
・FG800とFS800はどっちが良い?
という方向けに、現役楽器屋店員のyosh(@yoshguitarblog)が解説します!
YAMAHA FS800 メリット
①:3万円以下でもYAMAHAクオリティ
②:抱えやすいボディサイズ
③:弦長(スケール)が少し短い634mm
④:バランスの良いサウンド
⑤:音程が狂いにくい
特徴①:3万円以下でもYAMAHAクオリティ
数十年前と違い現在、日本製ヤマハは10万円を下りませんのでFS820も海外(アジア)製です。
アジア製は当然価格を安くするための手段ですが、ヤマハのアジア製が他ブランドのアジア製品と大きく異なる点は、自社工場であることです。
現地にあるギター工場にブランドだけつけてもらう、いわゆるOEM生産のブランドも少なくありません。
一方ヤマハはアジアにあることで人件費を落としながら、自社工場のため50年以上築いてきたギター作りの構造、ノウハウを惜しみなく導入している事で、高品質で低価格なギターを実現しています。
ギターは写真やカタログの仕様だけではわからない品質差が確かにあり、1万円台の安いギターと何が違うかを解説します。
特徴②:抱えやすいボディサイズ
ヤマハオリジナルのFS(フォークタイプ)ボディは、大きさ・厚さが絶妙にコンパクトで抱えやすいサイズです。
中学、高校生の学生から女性、シニアもちろん男性まであらゆる人に無理なく持てる大きさがメリットです。
特徴③:弦長(スケール)が少し短い634mm
スケールとはナット(上駒)とサドル(下駒)までの弦の長さです。
FG800のスケール長650mmに対し、FS800は634mmで16mm短くなっています。
わずか1.6cmの違いですが人間の手の感覚は本当に繊細なので、初心者でもその違いがわかります。そしてその違いには嬉しいメリットが2つあります。
①弦の張力が弱くなる
スケールが短いと弦の張力が弱くなるため、左手で弦を押さえる時の力も少なくなります。
②フレットの間隔が狭くなる
フレットとフレットの距離も短くなるため、特に複数の弦を押さえるコードなんかも指を開く距離が少し狭くなり負担が軽減されます。
スケールが短いと弦を押さえやすくなるメリットがあると言う事です。
とは言え、スケールが短過ぎると音程が不安定になったり、音色に迫力がなくなるなどのデメリットも出てくるのでFS820は良いとこ取りのスケール長であると言えます。
スケールについての詳細はこちらの記事で解説しています(https://yoshblog.com/ag-scale/)
特徴④:バランスの良いサウンド
スプルース単板+スキャロップドブレイシング+FSボディサイズによる、ビギナーギターの中でも群の抜いたサウンドの良さ。
ギターのサウンドでも重要な要素のトップ材にはスプルースの単板を使用。
トップ材にはアコギで最もポピュラーなスプルース。単板(https://yoshblog.com/solid-laminate/)による弦振動がしっかり響くことに加え、クリアで歯切れの良いサウンドを実現しています。
サウンドと強度の要となるブレイシング。科学的に音を解析し新開発しておりここもヤマハ自社工場ならではのポイント。
ヤマハのギター作りノウハウが活用された構造により、1万円台のギターはもちろん、同じ価格帯のEpiphoneやFenderよりもしっかり響きます。
こちらの動画のサウンドが非常に参考になります。
特徴⑤:音程が狂いにくい
ペグ(糸巻)もある程度しっかりしたグレードのものが使われていますし、演奏中に音が狂いにくくなっています。
またギターを弾く前に毎回必要な作業であるチューニングもスムーズにできます。
ペグは1万円前後の安ギターではコスト削減により品質が下げられがちで、音が狂ったりチューニングも大変だったりします。ここもカタログや写真だけではわからない大事なポイントです。
FS800 デメリット
①:弦高が少し高い
②:木材が安価材
③:人気から品薄になりがち
デメリット①:弦高が少し高い
ここがYAMAHA FS800の最も残念ポイント。
フレット(≒指板)と弦の距離が長い、つまり弦高が少しだけ高いです。
これは音色に迫力が出るというメリットがある一方で、初心者には弾きづらいと感じてしまうポイントです。
ナットの溝を削ることで解消できますが、ギターの構造など理解していないと難しい作業なうえ、失敗するとナット交換というだいたい1万円前後の修理が必要になってしまいます。
頼めば購入時にご厚意で調整してくれるお店もありますが、もしできなかった場合の一番かんたんな対処法は、弦の太さ(ゲージ)を細くすることで、弦の張力を弱くすることができます。
出荷時はライトゲージ(0.012-0.053)の弦が張ってあるので、これをカスタムライト(0.011-0.052)、自信がない人はエクストラライト(0.010-0.047)に張り替えるだけで押さえやすがが改善できます。
デメリット②:木材が安価材
サイドとバック材はナトーもしくはオクメ材。これは生産時期によって入手しやすい方が使われるようです。ちなみに表記がないためサイド・バック材は合板です。
指板材とブリッジ材はウォルナット材。これらは安価なギターに使われる木材で音色などというよりは、コスト面から採用されています。
しかしギターに使われる木材の中でもトップ材こそが音色に影響を与える大部分なので、それ以外の木材で価格を下げていると言えます。
パッと見でいかにも安っぽいというわけではないですし、ギターとして欠陥がある訳でもないのでご心配なく。
デメリット③:人気から品薄になりがち
海外生産ということもあり安定供給がされておらず、そこに完成度・人気の高さが拍車をかけ、メーカー在庫は常に品薄で、各楽器店もバックオーダーを入れ続けている状態です。
そのため最寄りの楽器店に置いていなくて、取り寄せにも時間がかかる状況が続いています。ネットで探せばどこかしらにはあります。
入手できなくてギターを手にするまでが遅くなることこそ機会損失なので、もっと金額高くても良い(10万円弱)ならTaylor Academyなどより良い選択肢も検討してみてください。
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FG800とFS800の違い比較
同じグレードにFG800とFS800がラインナップされており、それぞれの違いを比較してみます。
使われている木材などはどちらも同じで、違いは下記の通りボディの形とスケールです。
FG800 | FS800 | |
---|---|---|
タイプ | トラッドウェスタンタイプ | フォークタイプ |
ボディ長 | 505mm | 497mm |
ボディ幅 | 412mm | 380mm |
ボディ厚 | 100~118mm | 90~110mm |
全長 | 1038mm | 1021mm |
ナット幅 | 43mm | 43mm |
指板幅 (ボディ接合部) | 55mm | 52mm |
弦長(スケール) | 650mm | 634mm |
サイズ | 大きい | 中くらい |
メリット | ・迫力のあるサウンド ・音量が大きい | ・バランスの良いサウンド ・弦を押さえる力は少し弱くて良い ・抱えやすいボディサイズ |
デメリット | ・弦を押さえる力が必要 | ・FGより音圧は弱い |
市場相場価格 | 28,380円~31,790円 | 28,380円~31,790円 |
ボディサイズの違い
FGが大きい、FSが中くらいのサイズ。
抱え心地は中くらいのFSは万人におすすめできるサイズ。FGは体が小さい人や女性には大きすぎるかもしれません。
ボディの大きさはサウンドも変わります。
ボディが大きいと低音が豊かで音量が大きい、小さいと低音域が減り高音域が目立ってきます。
FSはちょうど中くらいのサイズ感なので、程よく低音域もあり、くっきりとした高音域も聞こえるバランスの整ったサウンドです。
FGはストローク向き、FSはフィンガーピッキング向きなんてよく言われますが、FSはジャカジャカと弾き語りにも普通に使えます。
弦長(スケール)の違い
FG800のスケール長650mmに対し、FS800は634mmで16mm短くなっています。
前述のとおりスケールは短い方が、弦を押さえる力が弱くても良く、フレットの間隔も短いので押さえやすいです。
初心者向けということに関して言えば、634mmの方が絶対おすすめです。
まとめ
FS800はこんな人におすすめ
・挫折したくないからちゃんとしたアコギで始めたい
・1本目だけど何年も使えるギターが良い
・音の違いや好きな音がまだわからないけど信頼性が高いものが良い
・3万円前後の中で弦が押さえやすいギターが良い
FG800はこんな人におすすめ
・デカくて迫力のある音色が良い
・ボディが大きい方が抱えやすそう
・左手の力には自信がある