1986年から2017年に渡って生産されたAmerican Standardシリーズの後継機種。
フェンダーは現在、ヴィンテージスペック・ハイブリッドスペック・モダンスペックの3機軸で製品を展開しており、こちらのアメリカン・プロフェッショナルシリーズ(以下アメプロ)はUSA製のハイブリッドスペック。
American Professional Stratocaster 特徴
V-MOD ピックアップ
ピックアップは本機のために開発されたモデル。
80年代にギブソンにてPAF再現の開発をしていたピックアップデザイナーTim Showにより設計された、V-ModシングルとShawBuckerを搭載。
バリエーションは3シングルと、リアのみハムバッカーのHSS(フェンダーの型番ではリアピックアップから表記します。)、そして2ハムバッカーの3バリエーション。
スペックシートには V-Mod Single-Coil としか表記されていませんが、フロント、ミドル、リアそれぞれ使われているマグネットが異なります。
さらにひとつのピックアップの中でも異なるマグネットを使用するこだわりよう。
フロントは低音側:アルニコII、高音側:アルニコIII
ミドルは低音側:アルニコII、高音側:アルニコV
リアは低音側:アルニコV、高音側:アルニコV
サウンドはモダントラッドなシングルサウンド。
シングルらしい強弱のニュアンスは付けられますが、ヴィンテージっぽさは薄くギターのおいしい中音域が豊か。
ハムバッカーのShawbuckerはリア用が「1」、フロント用は「2」という品番。
マグネットはいずれもアルニコIIですが、コイルのターン数などでバランスを整えています。
サウンドはまさにGibson PAFを踏襲したキャラクターで、ハイパワーではなくマイルドで少し透明感を加えたようなサウンド。
ちなみに2ハム仕様は5wayセレクターにより、コイルタップした外側同士を使うテレキャスター風センターポジション、内側同士を使うストラト風ハーフトーンといったバリエーションも魅力です。
TREBLE-BLEED CIRCUIT(トレブル・ブリード・サーキット)
仰々しい名前ですが、早い話がボリュームにテレキャスのハイパスのようなものです。
一般的なギターはボリュームを絞ると同時にトレブルも削れて行きます。
しかしアメプロはボリュームを絞ってもトレブルが残ります。
特にドライブさせたアンプを、ギターのボリューム操作でクリーンから歪みをコントロールするには最適と言えます。
“DEEP C” NECK PROFILE
ネックシェイプも本モデルのために新開発されたModern Deep “C” ネックシェイプ。
Uシェイプよりも薄く、Cシェイプよりは厚いのが特徴。
Cシェイプのようにコードもリードにも適したオールラウンドな演奏性をそのままに、
ネックの質量をアップさせネックのバイブレーションの向上を図っています。
ネック裏は艶のないサラッとしたサテン仕上げでスムーズな運指ができます。
NARROW-TALL FRETS
その名の通り、ミディアムジャンボよりも幅が狭く(=Narrow)、背が高い(=Tall)サイズ。
軽いタッチで押弦でき、チョーキングビブラートもスムーズな演奏性です。
指板ラディアスはモダンフェンダーの標準9.5″(241mm)。
2-Point Synchronized Tremolo with Pop-In Tremolo Arm
アームの固定は穴にカチッと押し込むことで装着します。
この状態はトルクがないブラブラした状態、もう一度カチッと押し込むとトルクがかかり好きな位置にアームを固定できます。
これのメリットは好みの固定ができる以外にも、従来のねじ式ではできなかったシールドプラグを挿したままアームの着脱が可能な点です。
2点支持のブリッジはアーミングもスムーズでチューニングの狂いを抑えます。
サドルはプレスでトラディショナルなルックスが良いですが、ブリッジミュートが少し痛く感じることがあります。
そのほかの特徴
トラスロッドはヘッド側よりアジャストします。
ネックジョイント部には70sストラトの特徴であるマイクロティルト機構があり、ネックの仕込み角度が調整可能。
こんなプレイヤーにおすすめ
プロフェッショナルという名前の通り、現場で使える品質です。
ブルースの中でもモダンな感じや、ポップス、ロックなど、
出力は高ささほど必要なく、現代的なジャンルのプレイヤーにおすすめです。
フェンダー系の中では演奏性も高め。
ウレタン塗装とフェンダーならではの作りにより堅牢性が高さにより状態が変化しづらいのも〇。