Fender パワーサプライ Engine Room LVLレビュー【比較】

 
・良質なパワーサプライが欲しい

・9台以上の大型エフェクターボード用のパワーサプライを探している

・スイッチング電源のパワーサプライは嫌だ

という方のための記事です。

フェンダーブランド初のパワーサプライEngine Room(エンジンルーム)全3機種それぞれの違いと、

他社製品と比較検証しています。

メリット/特徴

・アイソレート出力


・電源ケーブル直挿し

・大型ボードにも対応

メリット①:アイソレート出力

全ての出力はアイソレート(独立)されています。

これによりアナログエフェクターとデジタルエフェクターをEngine Roomから同時に電源供給しても、ノイズが乗らなくなります。

各出力は最大500mAの電流量があるため、コンパクトエフェクターに関してはほぼ全て対応できます。

またLVL8と12はUSB type-Aとtype-Cの出力も備えています。

スマホやタブレットの充電や、USB接続のLEDライトでボード内を照らし、暗所でもセッティングしやすくするといった使い方もできます。

メリット②:電源ケーブル直挿し

Fenderのパワーサプライ本体への電源供給は、電源ケーブルを採用。

グローバル電源(100-240V AC、50/60Hz)のため、海外でも使用可能。

国外に持って行って使う人の方が少ないでしょうが、世界中どこでも使えるということは、国ごとに製品の仕様を変更する必要が無いため、製造コストが下げられる=商品の販売価格が下げられるということです。

もう1点大きなポイントは多くのパワーサプライはスイッチングAC電源アダプターを使用しており、品質の低い安価なものだとスイッチングノイズが入る可能性や音抜けが悪くなる場合もあります。

Fender Engine Roomは全3機種ともAC電源ケーブルを直挿しな構造のため、この不安要素も解消されておりサウンド面においてもかなり期待できます。使用する電源ケーブルのグレードをアップして音質の変化も期待できます。

メリット③:大型ボードにも対応

出力ポート数毎に3バリエーションあります。

特に一番大きいLVL12は本体のみで最大12個のエフェクターへ電源供給可能。

さらにIECポートを装備し、ほかのEngineRoom LVL5/LVL8/LVL12を連結させて使用させることもできます。

24台の供給でも足りないエフェクターボードは運搬も困難なほどのサイズと重量になるはずです(笑)。

VOODOO LAB Pedal Power 3 Plusやstrymon Zumaなど世界的に有名かつ高品質な大型パワーサプライは日本では正規販売されていません。

そういった意味でもFenderがその最初の製品になりそうです。

まだEngine Roomの実際の品質は不明ですがスペックを見た限りでは、ということですが。

デメリット:サイズが少し大きい

アダプターを使用しない電源ケーブル直挿し仕様とのトレードオフになりますが、他社の同出力ポート数の製品と比べるとサイズは少し大きくなっており、ボードへの配置に注意が必要かもしれません。

ただアダプターではなくケーブルなので、持ち運ぶという意味ではメリットだと思います。

3機種スペック比較

LVL5LVL8LVL12
出力口数 5個 8個 12個
電圧 9V x 5個 9V x 6個+9/12/18V切替x2個 9V x 10個+9/12/18V切替x2個
各出力 500mA 500mA 500mA
USB出力 なし 5V USB-A + USB-C 5V USB-A + USB-C
サイズ 85 x 130 x 42 mm 214 x 90 x 42 mm 282 x 90 x 42 mm
価格 13,200円 22,000円 27,500円

3機種の中で選ぶポイントとしては

・何個までエフェクターへ電源供給できるかの出力数

・12Vまたは18Vでの供給が必要か

が判断基準になるでしょう。

他社製品との比較

それぞれの機種で出力数が同じ他社製品と比べてみます。

LVL5 vs strymon Ojai

LVL5Ojai
出力口数 5個 5個
電圧 9V 9V
各出力 500mA 500mA
USB出力 なし なし
サイズ 85 x 130 x 42 mm  81 x 58 x 33mm
価格 13,200円 18,370円

電源供給周りのスペックは同じですが、サイズと製造国に違いがあります。

サイズについてはojaiが圧倒的に小さいですが、本体以上に大きい電源アダプター(107 x 55 x 32mm)で駆動させます。

ボードの配置によって選択肢が分かれるところでしょう。

またMADE IN USAのOjaiに対し、LVL5はMADE IN CHINA。

音質にどれほどの差があるかは非検証ですが、

・ボード配置時のサイズを重視するならstrymon Ojai

・本体への電源ケーブル直挿し重視ならFender LVL5

が良いと思います。

※ちなみにPedaltrain Nanoの裏に仕込むなら相変わらず厚さ33mmの strymon Zuma R300が最適解だと思います。

もっと大型のスノコ型なら厚さはあまり関係ないのでLVL5の安さも魅力です。

LVL8 vs VITAL AUDIO POWER CARRIER VA-8 Mk-II

vital-audio-va08mk2
LVL8VA-8Mk-II
出力口数 8個 8個
電圧 9V x 6個+9/12/18V切替x2個 9V x 6個+9/12/18V切替x2個
各出力 500mA x 8個 500mA x 6個 + 800mA x 2個(最大合計2,000mA)
USB出力 5V USB-A + USB-C なし
サイズ 214 x 90 x 42 mm  140 x 70 x 30 mm
価格 22,000円 10,000円前後~

両機種ともに全ポートがアイソレート仕様のため、アナログとでデジタルエフェクターを同時使用してもノイズの干渉は少ないです。

サイズの小ささ、価格もスペック上はVA-8 Mk-IIが上回っています。

ただしVital Audio製品は公式ページで「内部回路はドイツの専門メーカーで設計された安心の設計」(製造は中国)とありますが、外観だけ異なる中華ブランドで安く流通していた事実もあり、やや懐疑的です。

事実、高品質なパワーサプライに比べるとサウンドやノイズ面ではやや劣ります。

Fenderも同じく中国製ですが、南カリフォルニアの専門チームによって設計されたとある通り、オリジナル回路と思われます。

おおもとの電源はAC入力であることも考慮すると、価格重視ならVital Audio、音質重視ならFenderが良いと思います。

LVL12 vs strymon Zuma(日本未発売)

LVL12Zuma
出力口数 12個 9個
電圧 9V x 10個+9/12/18V切替x2個 9V 7個+9/12/18V切替x2個
各出力 500mA 500mA
USB出力 5V USB-A + USB-C なし
サイズ 282 x 90 x 42 mm 173 x 84 x 46mm
価格 27,500円 約26,000円(249USドル)

日本発売の要望が叫ばれて久しいstrymon Zuma。(PSEなど法律面により日本での発売は無さそうです。)

両機種ともに同社製品を接続して電源供給数を増やすことができますが、スペックだけ見るとFender LVL12が上位互換っぽいです。

Vital AudioからもVA-12という出力12個の製品もあり、15,000円前後と安いですが、品質はVA-08と同等ということを考えると、9台以上のエフェクターに電源供給したいならLVL12は最良の選択肢になるでしょう。

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