ギターに使えるワイヤレスヘッドフォン3選【ドラム/ピアノも対応】

 
●ヘッドフォンもワイヤレスで使いたい
●AirPodsとかBluetoothイヤフォンを、楽器演奏にも使いたい
●楽器演奏にも使えるワイヤレスヘッドフォンあるの?

という人のために、現役楽器屋店員のYosh(@yoshguitarblog)が、ギターなど楽器演奏に使えるワイヤレスヘッドフォンについて徹底解説します。

・AirPodsなど普通のBluetoothイヤフォンは、音が遅れてギター演奏には使えません。 
・ヘッドフォンのケーブルが無いと、演奏の邪魔にならず練習に集中できるのでワイヤレスヘッドフォンはおすすめ。
・迷ったらaudio-technica ATH-EP1000IRが価格と品質のバランスが良くおすすめ
・開放型のつけ心地を重視するならYAMAHA YH-WL500がおすすめ
・ギターやベースで手軽に使えるのはBOSS WAZA-AIRがおすすめ

普通のBluetoothヘッドフォンは楽器演奏に使えない

一般的なBluetoothヘッドフォンは、楽器演奏に適していません。

その理由は、以下の3点です。

  1. 別途トランスミッターが無いと接続できない
  2. 音が聞こえるまでに遅延がある
  3. 音質が変化する

問題①:別途トランスミッターが必要

ワイヤレスヘッドフォンを楽器演奏に使用する際には、別途トランスミッターが必要となります。

一般的なBluetoothヘッドフォンはスマートフォンやパソコンなどのデバイスとペアリングすることを前提に設計います。

多くの楽器やギターアンプはBluetooth機能を持っていません。そのため、楽器からの音をワイヤレスヘッドフォンに送信するためには、トランスミッター(送信機)が別途必要となります。

例えば、ギターを演奏しながらワイヤレスヘッドフォンで音を聞く場合、ギターアンプのヘッドフォン端子にトランスミッターを接続し、トランスミッターとヘッドフォンをBluetoothでペアリングします。

これにより、ギターの音がワイヤレスでワイヤレスヘッドフォンで聞くことができますが、遅延するという致命的な問題があります。

問題②:遅延がある

Bluetoothヘッドフォンが楽器演奏には適していない一番の理由は、音の遅延が生じるためです。

Bluetoothヘッドフォンは、音源から音を受け取り、それをヘッドフォンに送信するまでに一定の時間がかかります。これは、Bluetoothの技術的な制約によるもので、この遅延は通常、数ミリ秒から数十ミリ秒の範囲です。

しかし、楽器演奏においては、このわずかな遅延でも演奏のタイミングを大きく狂わせます。

ギターの弦を弾いてから実際に音が鳴るまで、タイムラグがあるのです。

自分が弾いた音と自分が聞いている音との間にズレを感じ、まともに演奏できません。

したがって、Bluetoothヘッドフォンは、音楽鑑賞や通話などの用途には適していますが、楽器演奏には向いていないと言えます。

問題③:aptX LLでも音質が変化するからおすすめしません

aptX LLは、低遅延を実現するためのBluetoothコーデックの一つです。

aptX LLが採用されているヘッドフォンの使用用途は、主にゲームや音楽・映画鑑賞用のため、音色に脚色があります。

例えば、低音が強調されていたり、中音域が削られてドンシャリになっているという具合です。

プレイヤーが意図しない音質の変化があると、悪いクセがついてしまい、上達どころか下手になってしまう可能性があります。

低音が強調されるヘッドフォンでピアノを弾くと、左手の打鍵が弱くなる可能性が高いですし、ギターでもピッキングの位置が変わってキレイな音が鳴らせなくなるかもしれません。

以上から、遅延以外にも音質の変化も、楽器演奏にはいい影響をもたらしません。モニターヘッドフォンなど、脚色が少ないフラットなヘッドフォンを使うことをおすすめします。

ワイヤレスヘッドフォンのメリットとデメリット

ワイヤレスヘッドフォンのメリット

ケーブルのストレスから開放される

一般的なヘッドフォンでは演奏中にケーブルが楽器や奏者に当たることで、不意のミスや集中力の低下を起こしてしまいます。

ワイヤレスならケーブルがないため、このようなストレスから開放されるため、夜間など音が出せない環境でも効率的な練習が可能になります。

ギターワイヤレスと併用すれば、家中どこでも弾けちゃいます。

整理整頓が容易

ケーブルが絡まる心配がなく、収納や持ち運びが容易です。

ワイヤレスヘッドフォンのデメリット

有線ヘッドフォンより高価

有線のモニターヘッドフォンよりも、価格が高い傾向があります。

楽器演奏に使えるワイヤレスヘッドフォン3選

送受信機がセットであり、遅延が無く、音質に脚色が無い、全ての条件を満たした、ギターやピアノなど楽器演奏に最適なワイヤレスヘッドフォンは、現状この3機種に絞られます。

audio-technica ATH-EP1000IR

迷ったらコレ!

市場相場価格は2万円台で、楽器用ワイヤレスヘッドフォンとしてはおそらく最安のモデルです。

音質も高く、赤外線通信を採用しているためBluetoothのような遅延がありません。

ヘッドフォンは密閉型(クローズド)。

周囲の環境音が聞こえづらく集中でき、音漏れが少ないですが、長時間の使用による蒸れや圧迫感を感じるかもしれません。

音楽練習に加えて、弾いてみた動画やレコーディング、作曲に集中したい方には非常におすすめのヘッドフォンと言えます。

【メリット】

  • 楽器用ワイヤレスヘッドフォンの中では、最も安い
  • 遅延が0.001秒以下と非常に低いため、レコーディングにおいて遅延の影響をほとんど感じません。
  • 赤外線通信を採用しているため、Bluetoothのような遅延が発生しません。
  • 置くだけで充電が可能な専用スタンドが付属しています。
  • 最大通信距離が7mと広範囲で使用可能です。

【デメリット】

  • 使用時間が5時間とやや短めで、長時間の使用には向かない可能性があります。
  • 長時間の使用による蒸れがあるため、長時間の使用には注意が必要です。

YAMAHA YH-WL500

2023年6月発売。市場相場価格49,500円

ワイヤレス技術に長けた傘下のLine6の技術と、PA・オーディオでも信頼の厚いヤマハのコラボレーションにより設計された、楽器用ワイヤレスヘッドフォンです。

ヤマハはギター、電子ピアノ、電子ドラムといった多岐にわたる楽器も開発しており、それらすべてでの使用も考慮されているため、特に脚色の無いリアルな音色が期待できます。

Bluetooth機能が付いており、楽曲とのセッションも可能です。

ヘッドフォンはセミオープンバック。心地良い装着感の長時間の練習にも最適です。

音楽練習に加えて、弾いてみた動画やレコーディング、作曲に集中したい方には非常におすすめのヘッドフォンと言えます。

【メリット】

  • 遅延が0.004秒以下と非常に低いため、レコーディングにおいて遅延の影響をほとんど感じません。
  • Bluetooth機能付きで楽曲とのセッションも可能です。
  • 心地良い装着感のセミオープンバックデザインで、長時間の練習にも最適です。
  • 9時間連続再生可能で、長時間の使用に対応しています。
  • 40mmの大口径ドライバーにより、豊かな低音と明瞭な高音を再現します。

【デメリット】

  • 価格が49,500円とやや高価。
¥49,500(2023/07/12 15:36時点 | 楽天市場調べ)

BOSS WAZA-AIR

市場相場価格44,000円。

他の2機種とは違い、こちらはギターでの使用に特化したワイヤレスヘッドフォンです。

送信機はギターのジャックに直接接続し、ヘッドフォンにはモデリングアンプが内蔵されているため、これ以外に必要な機材はありません。

Bluetooth接続により、スマホやタブレットの音源を流しながら演奏でき、ジャイロセンサーにより、スタジオやステージでアンプを弾いているような感覚も楽しめます。

ベース向けのアンプとエフェクターを内蔵した、WAZA-AIR BASSもラインナップ。

他の2機種のようにレコーディング等では使えません。

他のアンプやエフェクターの出力に接続すれば、ワイヤレスヘッドフォン環境ができます。

【メリット】

  • ギターに挿すだけで、すぐに使えます。
  • BOSSの高品質なアンプやエフェクターを内蔵しています。
  • 遅延が0.004秒以下と非常に低いため、レコーディングにおいて遅延の影響をほとんど感じません。
  • Bluetooth接続により、スマホやタブレットの音源を流しながら演奏できます。
  • ジャイロセンサーにより、スタジオやステージでアンプを弾いているような感覚を楽しめます。
  • 9時間連続再生可能で、長時間の使用に対応しています。

【デメリット】

  • 価格が44,000円とやや高価。
  • 送受信機それぞれにUSBケーブルで充電が必要で、面倒。
chuya-online
¥47,300(2023/07/03 19:00時点 | 楽天市場調べ)
関連記事

以前レビュー記事も書きましたが、改めて5か月使ってみたBOSS WAZA-AIR 感想を書いてみました。購入を迷っている方の参考になれば幸いです。ちなみに主な特徴はレビュー記事からご覧ください。https://y[…]

【3機種比較】ワイヤレスヘッドフォンの選び方

audio-technica
ATH-EP1000IR
YAMAHA
YH-WL500
BOSS
WAZA-AIR
市場相場価格約27,280円約49,500円約44,000円
仕様・特徴遅延0.001秒以下、赤外線通信、専用充電スタンド付き、最大通信距離7m遅延0.004秒以下、Bluetooth機能付き、セミオープンバックデザイン、9時間連続再生可能、40mmの大口径ドライバー遅延0.004秒以下、Bluetooth機能付き、ジャイロセンサーによる選べる演奏環境、9時間連続再生可能、BOSS TONE CENTRALで様々なジャンルのプリセットの音色がダウンロード可能
メリット● 遅延が非常に低い
● 音質が高い
● 専用スタンド付きで充電が容易
● 遅延が非常に低い
● Bluetooth機能付きで楽曲とのセッションが可能
● 心地良い装着感
● 遅延が非常に低い
● Bluetooth機能付きで楽曲とのセッションが可能
● ジャイロセンサーによる選べる演奏環境がある
デメリット● 使用時間が5時間とやや短め
● 密閉型のため長時間の使用による蒸れがある
● 価格がやや高価
●開放型のためやや音漏れがある
● 価格がやや高価
● 密閉型のため長時間の使用による蒸れがある
audio-technica ATH-EP1000IRはこんな人におすすめ
  • どれが良いか迷っている
  • 練習や、レコーディングなど作業に集中したい
  • ドラムや電子ピアノ等でも使用したい
  • 遅延の少ないヘッドフォンを求めている方
  • 長時間の使用ではなく、短時間で集中して作業したい方
YAMAHA YH-WL500はこんなひとにおすすめ
  • 練習や、レコーディングなど作業に集中したい
  • ドラムや電子ピアノ等でも使用したい
  • 長時間の使用が可能なバッテリーが必要
  • Bluetooth機能を活用して楽曲とのセッションを楽しみたい方
  • 長時間使用可能な心地良い装着感がほしい
¥49,500(2023/07/12 15:36時点 | 楽天市場調べ)
BOSS WAZA-AIRこんな人におすすめ
  • ギターもしくはベースで使う
  • 手軽にフルワイヤレス環境を実現したい
  • 最小限の機材で完結させたい
  • 録音や楽曲制作では使用しない
  • 練習に没頭したい
chuya-online
¥47,300(2023/07/03 19:00時点 | 楽天市場調べ)

WAZA-AIRで無くても、ギターからアンプまでにもギターワイヤレスを導入すれば、フルワイヤレス環境が実現します。

Twitterで気軽に交流しましょう!