日本製シェクターの違い【Schecter Japan Guitars】

本国USAのシェクターとは別法人であるESPグループ傘下にて生産されている日本のみで販売されている、日本製シェクター。

カリフォルニアの黎明期シェクターを支えその後独立した Tom Anderson の血統を色濃く残した、ドロップトップやディンキーシェイプ、ラージポールピースピックアップを搭載したモデルや、

フェンダースタイルをベースとした各モデルなど、現在のUSAシェクターとは異なる初期シェクターの要素が多いモデル、

そしてそれらを元に独自に派生させたモデルを生産しています。

パッと見は同じでも生産場所によって異なるグレードがいくつか存在します。

WikipediaにはESPと東海楽器の表記しかありません(2020年6月現在)が、実は他にも複数生産拠点が存在します。

もちろん、オフィシャルからは一切公開されていない情報ですので悪しからず。

ESP日本工場

https://schecter.co.jp/ より引用

日本製シェクターの最上位グレード。シェクターと言えばコレという方も多いんじゃないでしょうか。

フラッグシップモデルのExceed (EX、エクシード)や、セットネックモデルのRexy(レクシー)など30から40万円以上の定価のモデル群は、ESP工場で製造されています。(※下記参照)

しかし製作者は基本的にESPを作る職人とSchecterを作る職人で分かれており、工場を間借りしているような関係とも言えます。

国産ギターの中でもトップレベルの高品質による最上級の演奏性の高さ、コンポーネント系らしいバーサタイルなサウンドメイク、

極上の木材を用いた高級感あるルックスにより人気を博しましたが、

現在では新興国産ブランドも乱立し、当時ほど人気が無くなってしまったのは事実です。

ESPと同じく00年代後期の大幅な値上げがあったにも関わらず、中古相場は値上げ前と変わらない価格でリセールバリューが低く、割高感が否めないのも要因かもしれません。

カラーはもちろん、材やネックシェイプ等々のカスタムオーダーも受け付けており、ものとしては紛れもなく高品質ですから、理想の1本であれば一生ものとして愛用いただけるはずです。

※EXなどこちらのグレードのモデルは数年前からESPではなく、長野県の某工房製という話を聞きました。

ネット検索しましたが工房名などの記載は見当たりませんでしたので、リークは避けさせていただきます。

ESP海外工場

American Series(アメリカンシリーズ:旧呼称)

従来アメリカンシリーズ(日本製なのにややこしい)と呼ばれていた定価10万円台半ばのモデル群。

ここ数年で公式HPからもアメリカンシリーズの表記は消えてしまいました。ちなみにSD(=South Dakota:サウスダコタ)、NV(=Nevada:ネバダ)、と言ったアメリカの地名に由来する型番です。こちらも長らく公式に表記はされていません。

いずれにしろこのSD-2やBH-1、NV-3が日本製シェクターとして最も馴染みのあるモデルでしょう。

実はこれらのモデル、日本製に間違いないのですが、’純日本製’ではありません。

ESPのセカンドブランド Edwards,E-IIと同じく、中国のESP自社工場にて製造、

一部組み込みや最終セットアップを日本で行いMade in Japanとしています。

ハイエンドモデルと同じく、これらもシェクター専属スタッフにより最終作業を行っています。

グレード的にはEdwardsと同等というところでしょうか。

トップ材のフィギュアドメイプルは化粧板。従来はボディ材に化粧板のみでしたが、後述のDXの生産完了に伴いボディバック+メイプルトップ、その上に化粧板と音響特性も上位機種EX寄りにアップデート。

流石にハイエンドモデルには敵いませんが、韓国製のダイアモンドシリーズ同様、ライブで使う分などには十分なクオリティに感じます。

Progauge Series (プロゲージシリーズ)

型番の頭がPS。公式ページにも掲載されていませんが、定期的に生産されるプロゲージシリーズ。

ストラト、テレキャス、ジャズベ、プレべでモダンフェンダースタイルのスペックに国産パーツを採用しており、

製造方法はアメリカンシリーズと同じで、10万円台前半とさらに低価格で日本製シェクターが入手できます。

木目が見えるオイルフィニッシュのナチュラル、ブラック、ブルーあたりの アッシュボディでモデルや

オールブラックのモデルなどルックスに個性あるものが多いです。

Oriental Line (オリエンタルライン)

schecter

2019年に新しく登場したシリーズ。こちらもカタログ外の限定モデル。

現在ディンキーのストラトやジャズベ、ジャズマスなど、少し変化球的なスペックで2回スポット生産されています。

このシリーズはESPのGrassRootsと同じで、上記と同じくESP中国工場にて製造されたシリーズです。

次回生産は現在のところ未定のようです。

東海楽器

Tokaiブランド、Talboなどで有名な東海楽器製造にてOEMされていました。

最後はN-ST, N-PTといったトラディショナル寄りのシリーズを生産、

純国産モデルとして上記よりもやや高価な20万円台でラインナップされていましたが、現在製造されていません。

寺田楽器

Gretschをはじめ国産フルアコやアコギを大量生産する唯一の国内工場である寺田楽器。

SD-2やNV-3の上位機種、純国産モデルとしてSD-DXやNV-DXを生産していました。

またセミアコモデル Ruler Seriesも製造しており、今のところカタログには残っています。

東海製と同じく20万円台でしたが、2020年にはソリッドギターの方は生産完了。

2020年6月現在、市場には若干数残っており、廃番特価でほぼSD-2と変わらない処分価格にしている楽器店もあり、純国産シェクターを安価で買う最後のチャンスです!

PGM(Moon)

1978年から1983年の期間に生産されていた日本製シェクターが存在します。

平たく言えばPGMはムーンギターズのギター製造部門という関係でしょうか。

当時アメリカ(初代カリフォルニア期)シェクターから、ボディとネックが供給されPGMにて組み上げていました。

ディンキーシェイプのボディや幅広い音作りが可能な仕様など、トラディショナルなフェンダーを進化させたような仕事ギターとして、スタジオミュージシャンを中心に人気を博しました。

今でも、ちょくちょく80年代Moon / PGM製の謳い文句とともに中古市場に出てきますが、無知な楽器店が90年代初期のESP製をそのように勘違いしているケースもあります。

私自身はどこ製だろうと楽器として気に入れば良いと思う派ですが、コレクターの方にはご注意ください。

schecter
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