● 最小限のサイズでボードを組みたい
● 数秒しか使わないエフェクターにボードが圧迫されている
という方に、元楽器屋店員のYosh(@yoshguitarblog)がZOOM MS-50G+のメリットとデメリットのレビューから、 旧機種MS-50Gとの違い比較、おすすめな人と買うと後悔するかもしれない人まで徹底解説します。
旧機種MS-50G発売から10年以上、ついにMS-50G+が発表されました。
二世代新しいエフェクトにより、音質は大幅に向上。
さらに足でエフェクトが選択できるカーソル型フットスイッチを採用し、旧機種で不満があった操作性も改善しています。
ただし、要望があったMIDI端子や、トゥルーバイパスは採用されていません。
とは言え、価格もほとんど変わらない1万円代前半のまま、完全上位互換といえるので、旧機種の愛用者が買い替えもおすすめできます。
MS-50G+のメリット
- ボードへの導入に最適な最小マルチエフェクター
- ZOOM最新エフェクトを100以上搭載
- ステージ上でもわかりやすいカラーバックライトディスプレイ
- TAPテンポや特殊操作も可能なフットスイッチ
- 足で操作できるカーソル型フットスイッチ
- スイッチとツマミで操作性は良い
- さらに直感操作可能なiOSアプリ対応
- パワーサプライ、電池、モバイルバッテリーで駆動可能
ボードへの導入に最適な最小マルチエフェクター
MS-50G+には、歪み、ディレイ、リバーブ、飛び道具など多くのエフェクトを一つのペダルに凝縮しています。
飛び道具的なエフェクターや、極端なセッティングのエフェクトなど、特定の曲でしか使わないエフェクトがいくつかあっても、これ1台にまとめられるのが良いですね。
エフェクトボードのスペースが限られていたり、シンプルなセットアップを求めるギタリストにとって、非常に役立ります。
ZOOM最新エフェクトを100以上搭載
エフェクトは、ZOOMの最新機種G2 FOURのエフェクトをそのまま搭載。
最新のオリジナルアンプモデリングをはじめ、ドライブ、モジュレーション、ディレイ、リバーブ、コンプレッサ、フィルター、SFXなど、多彩なエフェクトを搭載しています。
本物は高級な有名ブティックペダルから、ZOOM独自のオリジナルエフェクトまで、幅広いサウンドを1台で作れます。
しかも、最大6エフェクトを同時に使用することができます。
オリジナルサウンドを作成し、最大100の内蔵パッチメモリーに保存可能です。
ステージ上でもわかりやすいカラーバックライトディスプレイ
エフェクトの種類に応じて液晶画面のバックライトが7色に変わる機能を持っています。
例えば、ドライブは赤、ディレイは青、フィルターはオレンジといった具体的な色分けがされており、ステージ上でも現在選択されているエフェクトの種類を一目で識別することができます。
演奏中でもわかりやすいので、失敗せずにエフェクトの切り替えが行えます。
TAPテンポや特殊操作も可能なフットスイッチ
フットスイッチは、単なるエフェクトのON/OFFだけでなく、TAPテンポの設定や特定のエフェクトの特殊操作など、多機能な操作が可能です。
演奏中に手を使わずにテンポの調整やエフェクトの微調整が行えるため、パフォーマンスの幅が広がります。
足で操作できるカーソル型フットスイッチ
カーソル型のフットスイッチを採用しています。
ギターを演奏しながらも、パッチメモリーやエフェクトの選択を足先の操作で行えます。
ステージ上でわざわざしゃがみ込むことなく、演奏中にエフェクトやメモリーを切り替えられるので、極めればエフェクターはZOOM MS-50G+だけでいけるかもしれません。
スイッチとツマミで操作性は良い
音色調整が直感的に行える4つのエンコーダーノブが搭載されています。
慣れれば、一般的なストンプボックスと同じ感覚で、簡単かつ迅速に音作りが行えます。
今までマルチエフェクターを触ったことがあれば、ほぼマニュアル無しで操作できるはずです。
さらに直感操作可能なiOSアプリ対応
専用のiOSアプリ「Handy Guitar Lab for MS-50G+」を使って、エフェクトの追加やプリセットパッチの入手、パッチメモリーの編集などが行えます。
USBケーブルでスマートフォンと接続します。
パワーサプライ、電池、モバイルバッテリーで駆動可能
電源は供給の方法は3つあります。
単3アルカリ電池2本では、最大7時間の連続駆動が可能です。
別売のACアダプター(AD-16)でも駆動します。これは500mAのセンターマイナスなので、多くのパワーサプライも使えます。
また市販のUSBモバイルバッテリーによる電源供給も可能となっており、様々な環境やシチュエーションでの使用に柔軟に対応します。
MS-50G+のデメリット
- バッファードバイパスのみ
- MIDI端子なし
- カーソル型フットスイッチは足で押しづらい
- 一部エフェクトでは同時使用数が少なくなる
バッファードバイパスのみ
エフェクトOFF時は、バッファードバイパスです。
しかし、バッファードバイパスは長いケーブルを使用する際のトーンロスを防ぐメリットもありますが、
空間系などで、エフェクトの最後に接続するシチュエーションも多そうですから、トゥルーバイパスへの切り替えができると最高でした。
音質の変化が気にならなければ良いのですが、こだわりたいときは、ラインセレクターやスイッチャーの導入が必須でしょう。
MIDI端子なし
MIDI端子が搭載されていません。外部のMIDI制御スイッチャーによるエフェクトの切り替えなどができません。
こればっかりは、サイズや価格との兼ね合いで、つけられなかったんでしょう。
カーソル型フットスイッチは足で押しづらい
カーソル型のフットスイッチは、足での操作が少し難しく感じるかもしれません。
特に、ステージ上での迅速な操作が求められる場面では、誤操作のリスクが考えられます。
リハーサルでは、フットスイッチの位置や操作感に慣れる練習が重要です。
一部エフェクトでは同時使用数が少なくなる
最大同時使用エフェクトは6エフェクトで、十分に感じます。
しかし、高音質なアンプモデリングや一部空間系エフェクトは、処理容量を多く使用するので、6エフェクト使えないケースがあります。
どうしても複数エフェクトを使いたい場合は、多少のエフェクトの妥協が必要になるでしょう。
エフェクトリスト一覧
DYNAMICS(ダイナミクス)8種類
エフェクト名 | 説明 |
---|---|
Compressor | MXR Dyna Compモデリング |
Rack Compressor | 細かい調節の可能なコンプ |
Gray Compressor | ROSS Compressorモデリング |
Black Optical Compressor | Demeter COMP-1 Compulatorモデリング |
1176 Limiter | UREI 1176LNモデリング |
Zoom Noise Reduction | ノイズリダクション |
Nois eGate | ノイズゲート |
SlowATTCK | バイオリンのように1音1音の立ち上がりを緩やかに |
FILTER(フィルター)7種類
エフェクト名 | 説明 |
---|---|
Auto Wah | ピッキングの強弱によるワウ |
Low-Pass Filter | ピッキングの強弱によるローパスフィルター |
Envelope Generator Filter | フットスイッチ操作によるフィルター |
Sequence Filter | Z.Vex Seek Wah モデリング |
Step Filter | 音色が階段状に変化 |
Guitar Graphic EQ7 | モノラル7バンドEQ |
Parametric EQ | モノラルパライコ |
DRIVE(歪み)19種類
エフェクト名 | 説明 |
---|---|
EP Drive | Maestro Echoplex プリアンプのモデリング |
RC Drive | Xotic RC Booster モデリング |
TS Drive | Ibanez TS808 モデリング |
GoldDrive | Klon Centur モデリング |
Sweet Drive | Mad Professor Sweet Honey Over Drive モデリング |
Zen O.DRV | Hermida Audio Zendrive モデリング |
Dynamic Drive | 真空管風ドライブ |
Plus Distortion | MXR Distortion+ モデリング |
Distiortion One | BOSS DS-1 モデリング |
Squeak Distorion | ProCo RAT モデリング |
Red Crunch Drive | MI AUDIO Super Crunch Box モデリング |
Violet Distortion | Suhr Riot Reloaded モデリング |
TB Mk1.5 FUZZ | Tone Bender Mk1.5 モデリング |
Octave Fuzz | アッパーオクターブを加えたファズ |
New York Muff Fuzz | Electro-Harmonix Big Muff Pi モデリング |
Wave Shaper Drive | 新開発のアルゴリズムで入力音の波形を加工し、大量の倍音を発生させるエフェクト |
Razor Drive | レゾナンスピークの各帯域で歪みが発生するエフェクト |
HG Throttle Drive | Mesa Boogie THROTTLE BOX モデリング |
Acoustic Simulator | アコギシミュレータ |
AMP(アンプモデリング)23種類
エフェクト名 | モデリング機種 |
---|---|
MS45OS DRIVE | Marshall JTM45 Offset |
MS 1959 DRIVE | Marshall 1959 SUPER LEAD 100 |
MS 800 DRIVE | Marshall JCM800 2203 |
FD B-MAN DRIVE | Fender Bassman ’59 |
FD TWIN-R DRIVE | Fender Twin Reverb ’65 |
FD DELUXE-R DRIVE | Fender Deluxe Reverb ’65 |
FD MASTER DRIVE | Fender Tone Master B Channel |
UK 30A DRIVE | VOX AC30 |
BG MK1 DRIVE | Mesa Boogie Mark I Combo |
BG MK3 DIRVE | Mesa Boogie Mark III Combo |
REVTI DUAL DRIVE | Mesa Boogie Dual Rectifier Orange Channel |
XTASYBLUE DRIVE | Bogner Ecstasy Blue Channel |
HW 100 DRIVE | Hiwatt Custom 100 |
ORG120 DRIVE | Orange Graphic 120 |
DZ DRIVE | Diezel Herbert Channel2 |
MATCH30 DRIVE | Matchless DC-30 |
KRAMPUS DRIVE | 80年代ブリティッシュアンプのブライトなトーンに、モダンハイゲインアンプの引き締まったローエンドを組み合わせたトーン。 |
REDLOOM DRIVE | 初期ギターアンプのシンプルなトーンに60年代チューブアンプの豊かな倍音をミックス。リズムギターに最適です。 |
VELVET DRIVE | クリーンとリードトーンのダイナミクスのバランスを取ったスムーズなキャラクターのトーン。アンプのチャンネルを切り替えることなくリードとリズムギターの両方をプレイできます。 |
MUDDY DRIVE | ビンテージアンプのサウンドを再現。ザラッとしたブルーズに最適です。 |
7 HEAVEN DRIVE | 極めてタイトなローエンドで、ダイナミックレンジの広いトーン。7弦や8弦ギターに最適です。 |
POLLEX DRIVE | 激しくダウンチューニングしたギターに適したトーン。Djentのようなスラップスタイルやヘヴィメタル向きのアンプモデルです。 |
MODULATION(モジュレーション)22種類
エフェクト名 | 説明 |
---|---|
CloneCho | Electro-Harmonix Small Clone モデリング |
Chorus One | BOSS CH-1 モデリング |
Tri Chorus | tc electronic Corona Tri-Chorus モデリング |
Analog Chorus | アナログコーラス風 |
Stereo Chorus | ステレオコーラス |
Detune | デチューン |
Orange Tremolo | トレモロ |
Phaser | フェイザー |
Stone Phaser | Electro-Harmonix Small Stoneモデリング |
Warp Phaser | 一方向に効果がかかるフェイザー |
The Vibe | ヴァイブサウンド |
Vintage Flanger | MXR M-117R モデリング |
Kick FLNG | フットスイッチで制御するフランジャー |
Vibrato | ビブラート |
Swell Vibrato | ピッキング後に揺らすエフェクト |
Octave | オクターバー |
Polyphonic Octaver | 和音対応オクターバー |
Harmony Pitch Shifter | ピッチシフター |
Polyphonic Pitch Shifter | 和音対応ピッチシフター |
Geminos Doubler | ダブリング効果が得られるエフェクト |
Ring Modulator | リングモジュレーション |
Slicer | スライサー |
DELAY(ディレイ)13種類
エフェクト名 | 説明 |
---|---|
Delay | 最長4000msのロングディレイ |
Analog Delay | アナログディレイ風 |
Tape Echo | テープエコー風 |
TapeEcho3 | MAESTRO ECHOPLEX EP-3 モデリング |
Dual Delay | 2つの独立したディレイ |
Soft Echo | ソフトな音質のエコー。 |
Slapback Delay | スラップバックディレイ |
Ping-Pong Delay | ディレイ音がL/R交互に出力 |
Reverse Delay | リバースディレイ |
Modulation Delay | ディレイ音にモジュレーションがかかる |
Filter Delay | ディレイ音にフィルターがかかる |
Pitch DLY | ディレイ音にピッチシフターがかかる |
HoldDLY | コントロールスイッチを使うホールドディレイ |
REVERB(リバーブ)7種類
エフェクト | 説明 |
---|---|
Room Reverb | ルームリバーブ |
Bright Room Reverb | 明るいルームリバーブ |
Spring Reverb | スプリングリバーブ |
Hall Reverb | ホールリバーブ |
Bright Room Reverb | 明るいホールリバーブ |
Air Reverb | 部屋鳴りの空気感を再現するリバーブ |
Early Reflection Reverb | リバーブの初期反射音のみを取り出す |
SFX(特殊効果)5種類
エフェクト | 説明 |
---|---|
Autopan | 音像が左右に移動する |
Loop Roll | フットスイッチでサウンドをホールド |
Sitar Simulator | シタールのシミュレート |
Bomber | 爆発音を発生 |
Line Selector | 複数エフェクトをon/offできます |
旧機種MS-50Gとの違い比較
仕様 | MS-50G+ | MS-50G |
---|---|---|
発売日 | 2023年11月 | 2012年7月 |
市場相場価格 | 12,900円 | 11,500円 |
エフェクト数 | 100 | 100 + 72 (MS-50G Effect Managerから追加可能) |
同時エフェクト数 | 6 | 6 |
フットスイッチ | 1+カーソル4 | 1 |
サンプリング周波数 | 44.1kHz | 44.1kHz |
A/D・D/A変換 | 24-bit 128倍オーバーサンプリング | 24-bit 128倍オーバーサンプリング |
シグナル処理 | 32bit | 32bit |
周波数特性 | 20 Hz 〜 20 kHz ( + 0.5 dB - 0.5 dB)(10 kΩ負荷時) | 20Hz ~ 20kHz (+1dB – 3dB)(10kΩ負荷時) |
ディスプレイ | ドットマトリクスLCD(160 x 128 dot) | LCD |
入力 | 標準フォーン | 標準フォーン |
出力 | 2 x 標準モノラルフォーンジャック | 2 x 標準モノラルフォーンジャック |
パッチメモリーユーザーエリア | 100 | 80 |
マスターボリューム | あり | なし |
電池 | 単3電池 × 2 連続駆動時間: 7時間 (アルカリ電池使用時 | 単3電池 × 2 連続駆動時間: 7時間 (アルカリ電池使用時 |
電源 | DC9V, 500mA | DC9V, 500mA |
外形寸法 | 133 x 79 x 61 mm | 130.3 x 77.5 x 58.5 mm |
重量 | 353g | 350g |
音質
MGS-50Gは、2011年発売のG3世代のエフェクトを搭載しています。
その後2016年にG5nが発売されましたが、この世代のマルチストンプは発売されませんでした。
MS-50G+は2020年に発売したG11の世代のエフェクトを搭載しており、二世代分進化してるので、音質はかなり向上しています。
周波数特性は、MS-50Gは最大-3dB現象とあるので、音圧が半分も現象する場合があるということです。
このことからも、MG-50+の方が、全てのエフェクトにおいて優れいていると言って良いでしょう。
マスターボリューム
MS-50G+には、マスターボリュームが追加されました。
パッチメモリーを切り替えても変わらない、全体の音量が決められます。
接続するアンプやエフェクターを変えるときに、かなり便利です。
フットスイッチ
MS-50ではパッチの切り替えが足でできませんでした。
そのため、個人制作などでスクロールボタンを足で押せるキットも存在していました。
それを受けてか、MS-50G+ではカーソル型フットスイッチを採用し、足でエフェクトやパッチ切り替えができるように進化しています。
旧機種からの買い替えもアリ
音質面、操作面など全てにおいてパワーアップしたMS-50G+。
特に音質の向上が素晴らしいことと、価格もそれほど変わらないので、旧MS-50Gを愛用している人も買い替える価値はあるでしょう。
もちろん、これから購入する場合は新しいMS-50Gの方が断然おすすめです。
HX Oneとの比較
同時期に発売となった、Line6のHX Oneとの比較はこちらの記事でまとめました。
要約すると、
HX One
- 20万円クラスのLine6音質
- MIDIスイッチャーで操作
- 外部コントロールを使う
- 268の豊富なエフェクト
- ルーパー機能あり
- バッファー/トゥルーバイパスの切替
- アンプモデリング無し
- 同時エフェクト数1個のみ
なので、
音質にこだわりたい、MIDIで切り替えたい、トゥルーバイパスが欲しいならHX Oneの方がおすすめです。
ただし、価格が55,000円で、MS-50G+(12,900円)に比べるとかなり差があります。今のZOOMの音質もかなり良くなってきているので、めちゃくちゃこだわる人じゃなければMS-50G+で良いかもしれません。
● 最小限のサイズでボードを組みたい ● 数秒しか使わないエフェクターにボードが圧迫されている ● HX OneはZOOMマルチストンプの代わりになる?という方に、元楽器屋店員のYosh(@yoshguitarbl[…]
買ったら後悔するかもしれない人とおすすめな人
旧機種発売から10年以上経過し、待望の発売となったMS-50G+。
全ての面においてパワーアップしているにも関わらず、価格は1万円台前半とリーズナブルなのも嬉しいポイント。
●カーソル型スイッチで、押し間違いが怖い
●アンプモデリングや空間系など多くのエフェクトを使いたい
MS-50G+の弱点は、足での操作性とエフェクト複数使用の制限です。
むしろここが不満な場合は、もっと大きいマルチエフェクター、例えばZOOMならG2 FOUR以上を選んだ方が良いでしょう。
楽器屋店員のyosh(@yoshguitarblog)です。ZOOM G2 FOURのメリットとデメリットを含めたレビュー記事です。・2万円台でZOOM最上位クラスのアンプモデリングが使えるマルチエフェクター・最大6エフェクト同時使[…]
●できる限りコンパクトなエフェクトボードを組みたい
●HX Oneだと同時にエフェクトが使えないので困る
●MIDIや外部コントロールは必要ない
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