● BOSSの音が好きだけど、KATANA-AIRではスピーカー音に満足できなかった。
● YAMAHA THR30II Wirelessはどっちが良い?
という方に、元楽器屋店員のYosh(@yoshguitarblog)が、KATANA-AIR EXのメリット・デメリットをレビューします。通常版KATANA-AIRの違いとYAMAHA THR30II Wirelessと比較します。
KATANA-AIR EXは、BOSSのデスクトップアンプKATANA-AIRの上位モデル。
BOSS直系エフェクトや高品質なワイヤレスはそのままに、音質を向上。
木製のキャビネットとデスクトップアンプとしては大きめの5インチスピーカーを2発搭載することで、KATANAアンプ同等のギターアンプらしい、豊かでダイナミックなサウンドを実現しています。
ワイヤレスは本体に接続しておけば充電されるので、思い立ったらすぐに演奏できます。これにより、練習の頻度が上がり、上達にもつながるでしょう。
さらにワイヤレスでフットスイッチやエクスプレッションペダルが接続できたり、充電式バッテリーのオプションもあります。全て揃えると10万円超えてしまいます。
YAMAHA THRの方が手軽にサクッとクリアな音が出せます。KATANA-AIR EXはBOSSらしさとエフェクターでじっくり音作りを試したい人には良いでしょう。
KATANA-AIR EXのメリット
- 35W出力・木製筐体・5インチスピーカーによるギターアンプらしいサウンド
- 全ジャンルに対応する5種類のアンプタイプ
- 60種類以上のBOSSエフェクト
- 充電の手間が無い、ギターワイヤレス内蔵
- 操作・自動音色切替などBluetoothアプリ
- どこでも使える3種類の電源
- ワイヤレススイッチで音色切替可能
35W出力・木製筐体・5インチスピーカーによるギターアンプらしいサウンド
KATANA-AIR EXはデスクトップ・アンプながら、真のギターアンプのサウンドを実現しています。
専用の木製キャビネットに5インチ(12cm)のカスタムスピーカーを2つ搭載。プレイヤーのタッチにダイナミックに反応し、ステージアンプのような豊かなキャビネットの響きを体験することができます。
ミニアンプにありがちな、奥行きが少なく低音域が乏しい、スピーカーとキャビネットに余裕がなく音が割れたように感じる、といった心配がありません。
全ジャンルに対応する5種類のアンプタイプ
KATANA AMPシリーズから受け継いだ高い評価を持つ5つのアンプ・タイプを搭載しています。
キャビネットやスピーカーとの相性を考慮して特別にチューニングされており、BOSSが提供する理想的なハイゲイン・サウンドであるBROWNや、クリアで透明感のあるCLEANなど、さまざまな音楽スタイルに対応する音色を提供します。
さらに、ACOUSTIC/BASSタイプでは、エレクトリック・アコースティック・ギターやベースのためのフラットな特性を持つサウンドを提供します。これにより、プレイヤーはジャンルを問わず、幅広い表現力を持つトーンを手に入れることができます。
60種類以上のBOSSエフェクト
BOSSの長年のエフェクト技術を凝縮し、60種類以上のエフェクトを内蔵しています。
歪みサウンドの幅を広げるオーバードライブやブースターから、ステレオ・スピーカーを活かした広がりのあるモジュレーション、ディレイ、リバーブまで、あらゆるエフェクトが豊富に用意されています。
ジャンルやプレイスタイルに合わせて、独自の音色を作り出すことができます。さらに、アンプとエフェクトの設定は、最大6つまで本体に保存できるため、お気に入りのセッティングをすぐに呼び出して演奏することができます。
TYPE | EFFECT | 説明 |
---|---|---|
BOOSTER | MID BOOST | ミッドブースター |
CLEAN BOOST | クリーンブースター | |
TREBLE BOOST | トレブルブースター | |
CRUNCH OD | 艶のあるクランチサウンド | |
NATURAL OD | 真空管のようなナチュラルなオーバードライブ | |
WARM OD | 暖かみのあるオーバードライブ | |
FAT DS | 太い歪みが得られるディストーション | |
METAL DS | メタル向けディストーション | |
OCT FUZZ | オクターブファズ | |
BLUES DRIVE | BOSS BD-2 Blues Driver風クランチ | |
OVERDRIVE | BOSS OD-1 Over Drive風クランチ | |
T-SCREAM | Ibanez TS-808風オーバードライブ | |
TURBO OD | BOSS DS-2 Turbo Ditortion風ディストーション | |
DISTORTION | BOSS DS-1 Distortion風ディストーション | |
RAT | ProCo RAT風ディストーション | |
GUV DS | Marshall Guv’Nor風ディストーション | |
DST+ | MXR Distorion+風ディストーション | |
METAL ZONE | BOSS MT-2 Metal Zone風ディストーション | |
‘60s FUZZ | Fuzz Face風ファズ | |
MUFF FUZZ | Electro-Harmonix Big Muff風ファズ | |
HM-2 | BOSS HM-2 Heavy Metal風ディストーション | |
METAL CORE | BOSS ML-2 Metal Core風ディストーション | |
CENTA OD | Klon Centaur風オーバードライブ | |
MOD | T.WAH | 高周波数帯域にかかるオートワウ |
AUTO WAH | オートワフ | |
PEDAL WAH | 外部エクスプレッション・ペダル用ワウ | |
COMP | コンプレッサー | |
LIMITER | リミッター | |
GRAPHIC EQ | グラフィックイコライザー | |
PARAMETRIC EQ | パラメトリックイコライザー | |
GUITAR SIM | ピックアップ(シングル-ハム)やセミアコ風サウンドを再現 | |
SLOW GEAR | ボリューム奏法風効果 | |
WAVE SYNTH | 短形波・ノコギリ波シンセ | |
OCTAVE | オクターバー | |
PITCH SHIFTER | ピッチシフター | |
HARMONIST | 単音を弾くとハモリの音が出る | |
AC.PROCESSOR | エレアコで使う、アコギの響きを再現 | |
PHASER | フェイザー | |
FLANGER | フランジャー | |
TREMOLO | トレモロ | |
ROTARY | ロータリースピーカー | |
UNI-V | ユニヴァイブ | |
SLICER | スライサー | |
VIBRATO | ビブラート | |
RING MOD | リングモジュレーター | |
HUMANIZER | ボコーダー風効果 | |
CHORUS | コーラス | |
AC.GUITAR SIM | エレキをアコギ風の音に変化 | |
PHASER 90E | MXR Phase 90風フェイザー | |
FLANGER117E | MXR Flanger風フランジャー | |
DELAY | DIGITAL | クリアなデジタルディレイ |
ANALOG | 温かみのあるアナログディレイ | |
TAPE ECHO | テープエコー | |
REVERSE | リバースディレイ | |
MODULATE | ゆらぎのあるディレイ | |
SDE-3000 | Roland SDE-3000風ディレイ | |
PAN | ステレオのパンディレイ | |
REVERB | ROOM | ルーム・リバーブ |
HALL | ホール・リバーブ | |
PLATE | プレート・リバーブ | |
SPRING | スプリング・リバーブ | |
MODULATE | モジュレート・リバーブ | |
NS | NS | ノイズサプレッサー |
充電の手間が無い、ギターワイヤレス内蔵
自宅での練習でも、ワイヤレスがあるだけで上達につながります。
ギターを弾く準備の手間がなくなり、ケーブルが無いだけで部屋が片付き集中力が増します。
付属のトランスミッター(送信機)をギターに接続するだけで、すぐにワイヤレスでの演奏が可能です。このワイヤレス・テクノロジーはBOSS独自のもので、低レイテンシーと高音質のギター・サウンドを実現
トランスミッターはアンプ本体に接続するだけで充電でき、一回の充電で最大12時間の使用が可能です。
つまり、弾かないときに自動的に充電が完了しています。別売りのワイヤレスは充電の手間があるので、KATANA-AIRはとても便利。
ペアリングは自動的に最も安定した回線を選択するため、特別な設定や手間は不要です。また、演奏を一時停止した際には、アンプはスタンバイモードに移行し、再度ギターを持ち上げると、トランスミッターの振動を検知して自動的に電源がONになります。
煩わしいケーブルや充電の手間を気にせず、すぐに演奏を楽しむことができます。
操作・自動音色切替などBluetoothアプリ
iOS/Android端末とBluetooth接続を行うことで、専用アプリBOSS TONE STUDIO for KATANA-AIRを使用して、詳細な音作りや効率的な練習が可能です。
このアプリを使用すると、音色のエディットだけでなく、YouTubeコンテンツのソング・リスト作成やリピート再生ポイントの配置など、練習に役立つ多彩な機能を利用できます。
特に、YouTube動画に合わせてジャム・セッションを行う際には、マーカーへのギター・トーンとタイミングの設定により、曲の進行に合わせて音色が自動で切り替わる機能があり、プレイヤーは演奏に集中できます。
どこでも使える3種類の電源
電源は、ACアダプター、単三電池8本、充電式バッテリーのいずれかで駆動します。
同梱されているアダプターを使用して、家庭の電源からアンプを駆動することができます。
外出先や電源の取れない場所での使用に便利な単三電池8本を使用しての駆動も可能です。さらに、別売りの充電式バッテリー(Roland BTY-NIMH/A)を使用することで、長時間の連続使用や繰り返しの使用が可能となります。
これらの多様な電源オプションにより、屋内外を問わず、様々なシチュエーションでの演奏や練習が可能となります。
ワイヤレススイッチで音色切替可能
オプションのEV-1-WL MIDI Expression PedalやFS-1-WL Wireless FootswitchをBluetooth接続することで、専用アプリBOSS TONE STUDIO for KATANA-AIRでの設定をワイヤレスでコントロールすることができます。
ボリュームやワウ・ペダルの操作、パッチのアップ/ダウン、エフェクトのON/OFF、アプリの練習機能など、足元での操作が可能となります。
市場のデスクトップアンプでは、外部コントロールできるものが少ないですが、KATANA-AIR EXはスイッチまでワイヤレスです。
KATANA-AIR EXのデメリット
- 他社に比べてアンプ種類が少ない
- 別売品が多く、全ての機能を使うと高価格になる
他社に比べてアンプ種類が少ない
クリーンからハイゲインまで歪みの幅は広いですが、アンプの種類は5種類のみ。
他社のデジタルアンプでは、クリーンだけでも複数種類あるものも珍しくありません。
好みのアンプキャラクターでなかった場合は、音作りをじっくり行う必要があります。
別売品が多く、全ての機能を使うと高価格になる
KATANA-AIR EXは、その基本機能だけでも非常に魅力的なギターアンプとしての性能を持っていますが、その全ての機能や拡張性を最大限に活用するためには、別売のフットスイッチや充電バッテリーが必要です。
具体的な価格は以下の通りです。
機種 | 価格 |
---|---|
KATANA-AIR EX 本体 | 70,400円 |
FS-1-WL フットスイッチ | 14,300円 |
EV-1-WL エクスプレッション・ペダル | 16,500円 |
BTY-NIMH/A 充電バッテリー | 13,200円 |
KATANA-AIRとの違い
項目 | KATANA-AIR EX | KATANA-AIR |
---|---|---|
市場相場価格 | 70,400円 | 44,000円 |
出力 | ACアダプター: 35W (17.5W+17.5W)<br>電池: 20W (10W+10W) | ACアダプター: 30W (15W+15W)<br>電池: 20W (10W+10W) |
スピーカー | 12cm (5インチ) x 2 | 7.5cm (3インチ) x 2 |
筐体素材 | 木製 | 樹脂製 |
充電バッテリー | 別売り | なし |
外部スイッチ | 別売りワイヤレス | なし |
アンプ種類 | 5種類 | 5種類 |
エフェクト種類 | 60種類以上 | 50種類以上 |
コントロール | POWER, Bluetooth, MASTER, AMPLIFIER (AMP TYPE, GAIN, VOLUME), EQUALIZER (BASS, MIDDLE, TREBLE), MULTI EFFECT (BST/MOD, DELAY/FX, TAP, REVERB), TONE SETTING (CH A, CH B, PANEL) | POWER, Bluetooth, MASTER, AMPLIFIER (AMP TYPE, GAIN, VOLUME), EQUALIZER (BASS, MIDDLE, TREBLE), MULTI EFFECT (BST/MOD, DELAY/FX, TAP, REVERB), TONE SETTING (CH A, CH B, PANEL) |
インジケーター | POWER, Bluetooth, Guitar Wireless, PANEL, CH A, CH B, BST/MOD, DELAY/FX, REVERB, TAP | POWER, Bluetooth, Guitar Wireless, PANEL, CH A, CH B, BST/MOD, DELAY/FX, REVERB, TAP |
接続端子 | INPUT, AUX IN, PHONES, TRANSMITTER IN, LINE OUT (L/MONO, R), USB | INPUT, AUX IN, PHONES/REC OUT, TRANSMITTER IN, USB |
電源 | ACアダプター, 単三電池 x 8本, 充電式バッテリー・パック (別売) | ACアダプター, 単三電池 x 8本 |
連続使用時の電池の寿命 | アルカリ電池: 約7時間<br>ニッケル水素電池: 約10時間<br>充電式バッテリー・パック: 約16時間 | アルカリ電池: 約7時間<br>充電式ニッケル水素電池: 約10時間 |
サイズ | 414 x 192 x 236 mm | 350 x 144 x 236 mm |
質量 | 5.6kg | 2.2kg |
主な違いは以下の通り
- 価格差 約26,000円
- 筐体素材
- スピーカーサイズ
- バッテリー・スイッチのオプション
- サイズと重量
つまり、「音質」と「外部コントロール」がどちらにするかの判断基準です。
特に、筐体の素材とスピーカーサイズは、音質の良さに直結します。
KATANA-AIR EXの方が、ギターアンプらしい挙動をしてくれるので、非常にナチュラルなサウンドです。
こちらの動画でも、低音域の豊かさや、解像度の違いがよくわかります。
● ワイヤレス内蔵アンプがほしいけど、EXやYAMAHAは予算オーバー
YAMAHA THR30II Wirelessとの比較
項目 | KATANA-AIR EX | YAMAHA THR30II Wireless |
---|---|---|
市場相場価格 | 70,400円 | 64,900円 |
ワイヤレス | 付属 | 18,700円 |
定格出力 | ACアダプター: 35W (17.5W+17.5W)<br>電池: 20W (10W+10W) | 30W(15W+15W)<br>バッテリー駆動時 15W(7.5W+7.5W) |
スピーカー | 12cm (5インチ) x 2 | 9cm x 2 |
アンプタイプ | 5種類 | 15種類 Guitar Amp モデル, 3種類 Acoustic モデル, 3種類 Bass Models, 3種類 Flat ボイシング |
搭載エフェクト | 60種類 | 10種類 |
Bluetooth | 内蔵 | 内蔵 |
ギターワイヤレス | 内蔵 | 内蔵・別売り |
外部コントロール | 別売り | サードパーティ |
クロマチックチューナー | アプリ機能 | 本体内蔵 |
接続端子 | INPUT, AUX IN, PHONES, TRANSMITTER IN, LINE OUT (L/MONO, R), USB, DC IN | INPUT, PHONES, AUX IN, USB, LINE OUT |
電源 | ACアダプター (DC13V), アルカリ電池 (単3形) x 8, ニッケル水素電池 (単3形) x 8, 充電式バッテリー・パック (別売) | ACアダプター、充電式バッテリー |
サイズ | 414 x 192 x 236 mm | 420 x 195 x 155 mm |
質量 | 5.6kg | 4.3kg |
主な違いは
- 音色の特徴
- ギター以外でも使うか
- エフェクターの種類
- 外部コントロールの有無
まず機能面においては、ほとんど違いがありません。外部コントロールは他社製のものを使えばYAMAHA THRでも操作可能です。YouTubeの再生中に自動で音色切替ができるのは、BOSSのアプリだけです。
次に音色数についてです。
アンプの数はYAMAHAの方が豊富で、ベース用が3種類、アコースティック用が3種類あります。
KATANA-AIR EXでは、ベースとアコースティックはフラットモードのみなので、YAMAHAに比べると味気なく感じます。
その分、エフェクトの種類はKATANA-AIR EXが豊富です。ボスのブルースドライバーやケンタ、ビッグマフなど、人気の名機を多数収録。アコギの音色も「AC.PROCESSOR」やイコライザーを駆使すれば、改善はできそうです。
● ギター・ベース・アコギで使いたい。
● エフェクターは基本的なものがあれば良い。
● アンプの歪みは複数から選びたい。
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● 多数のエフェクターを使いたい。
● ギターのみで使う。ベースやエレアコでは使わない。
● 家ではエフェクトボードを使うのが面倒だが、フットスイッチで音色を切り替えたい。
● 全てワイヤレスで、無駄なストレスを感じたくない。
● 練習を習慣化しやすくするために、すぐに音が出せる環境を作りたい。