・Acoustasonic Playerのメリットとデメリットは?
・メキシコ製のAcoustasonicが欲しいけど、テレキャスとジャズマスのどっちがいい?
両機種共通スペック
両機種共通の基本的なスペックは以下の通りです。
生産工場 | メキシコ エンセナダ工場 |
ボディトップ | スプルース |
ボディ | マホガニー |
ネック | マホガニー |
ネックシェイプ | モダンディープC |
指板 | ローズウッド |
指板ラディアス | 12″ (305mm) |
スケール | 25.5″ (648mm) |
フレット | 22ナロートール |
ナット | Graph Tech TUSQ |
ナット幅 | 1.6875”(42.86mm) |
アンダーサドルピックアップ | Fishman Piezo |
コントロール | ・ボリューム ・ブレンドノブ ・3-wayスイッチ |
バッテリー | 9V電池:約20時間駆動 |
弦 | フォスファーブロンズ11-52 |
付属ケース | ギグバッグ |
Acoustasonic Player のメリット
①:エレキの弾きやすさでアコギのサウンド
②:アコギ+エレキの新しいサウンドが作れる
③:アコギの宅録用にも最適
メリット①:エレキの弾きやすさでアコギのサウンド
アコギ+エレキを1本で叶えるハイブリッドギター「Acoustasonic(アコースタソニック)」。メキシコ工場で生産することで、USA製よりも約10万円安いです。
ネックの太さや、高いフレット、ボディの薄さと体にフィットするコンター加工で、エレキギターのような弾き心地を実現。
ジョイント部分はヒールレスカットされておりボディ厚も薄いので、普通のアコギよりもはるかにハイフレットの演奏が快適です。
しかしサウンドはアコギそのもの。Martin純正ピックアップメーカーのFishmanと共同開発したアコースティックエンジンにより、ライン出力でも奥行きのあるアコギサウンドをアウトプットします。
メリット②:アコギ+エレキの新しいサウンドが作れる
ピエゾピックアップに加えて、エレキギター同様マグネティックピックアップも搭載。アコギ弦でありながらエレキギターのサウンドも出力できます。
楽曲に合わせてアコギとエレキの音を1本で使い分けることができます。
曲中でアコギとエレキの音を切り替えることもできますし、アコギとエレキの音をミックスした、これまでに無い新しいサウンドを作り出すことも可能です。
メリット③:アコギの宅録用にも最適
普通のエレアコの様にブリッジ下にあるピエゾピックアップから拾った音を増幅させるだけでなく、アコースティックギターの胴鳴りや空気感を再現したモデリング音を加えることで、ライン出力の音でもアコギに近いサウンドが得られます。
TakamineやOvationなど従来の10万円台エレアコは、そのままオーディオインターフェイスに接続して録音すると、少し硬く平坦な音になってしまいます。
リアルな音を求めてIRやエフェクトを駆使するのも時間がかかります。アコースティックギターをマイクで録音するのも、マイク自体の質や設置場所、環境音・生活音のノイズなど良い音での録音は苦労します。
しかしアコースタソニックであれば、ライン録音でも豊かなアコギサウンドが手軽に得られます。
Acoustasonic Player のデメリット
①:ボディヒットに不向き
②:使用するアンプが重要
③:電池の消耗が激しい
デメリット①:ボディヒットに不向き
スラム奏法を多用する、ボディヒットも駆使したルーパーでのパフォーマンスに使いたい、という方はUSA製のAmerican Acoustasonicがおすすめ。メキシコ製には搭載されていないボディ内部センサーマイクで、ヒット音を拾ってくれます。
デメリット②:使用するアンプが重要
エレアコをエレキギターのアンプに接続すると良い音がしない場合がありますが、アコースタソニックも同様です。
音作り次第ではありますが、Marshallなどのスタックアンプだとギャンギャンで耳障りなアコギサウンドになりがちなので、Fender系の真空管コンボアンプがおすすめです。
デメリット③:電池の消耗が激しい
エフェクターでも使われる9V電池が必要です。
駆動時間は約20時間。毎日1時間の演奏だと1ヶ月持たないです。演奏しない時は必ずシールドケーブルを抜くようにしましょう。
生音はしっかりアコギの音がするので、家での練習などは生音で、録音やバンド練習時にプラグインする、という使い方なら神経質にならなくても良いかもしれません。
スペック/違い比較
メキシコ製Acoustasonicのテレキャスターとジャズマスターの違い
①:ボディシェイプによる演奏性と生鳴り
②:エレキピックアップ
③:内蔵音源
Acoustasonic Player Telecaster | Acoustasonic Player Jazzmaster | |
---|---|---|
市場相場価格 | 168,300円 | 187,000円 |
ボディシェイプ | テレキャスター | ジャズマスター |
カラー | ●ブラッシュドブラック ●バタースコッチブロンド ●シャドウバースト ●アーティックホワイト | ●2-カラー・サンバースト ●シェル・ピンク ●アンティーク・オリーブ ●アイス・ブルー |
重量 | 2.0kg〜2.3kg前後 | 2.3kg〜2.6kg前後 |
マグネティックピックアップ | Acoustasonic Noiseless Magnetic Pickup | Acoustasonic Shawbucker |
ポジション1-A | Noiseless Tele Pickup: クリーンなテレキャスタートーン | Fender Electric Shawbucker Clean: Tim Shaw設計ハムバッカーによる、高出力なエレキのクリーントーン |
ポジション1-B | Fat Noiseless Tele Pickup: パワーを上げて少し歪んだテレキャスタートーン | Fender Electric Shawbucker High Gain: クランチのリズムや鋭いリードに最適な歪みトーン |
ポジション2-A | Lo-Fi Clean: 純粋なアンダーサドルピエゾピックアップ | Piezo Clean: ピエゾピックアップとジャズマスターボディの響きによる、アコギトーン |
ポジション2-B | Lo-Fi Crunch: ピエゾPUサウンドに歪みを加え、エレキとアコギを同時に鳴らしたようなサウンド | Lo-Fi Piezo: ピエゾに歪みを加え、アコギとエレキを同時に鳴らしたトーンを再現 |
ポジション3-A | Mahogany Small Body Short Scale: 戦前のGibson LG-2風。ショートスケールマホガニーボディの、タイトかつウォームなアコギサウンド。 | Rosewood Concert Body with Slotted Headstock: スロッテッドヘッドのMartin 00-28風。フィンガースタイルに最適なサウンド |
ポジション3-B | Rosewood Dreadnought: Martin D-28風。煌びやかな高域から豊かな低域まで出る、クラシックなアメリカンアコギサウンド。 | Mahogany Dreadnought: Martin D-18風。深い低域とアーティキュレーションを融合したアコギサウンド |
違い①:ボディシェイプによる演奏性と生鳴り
ボディシェイプの違いは当然ルックスが一番のポイントです。
抱え心地による演奏性も若干異なります。右腕が当たる部分は両機種ともにエルボーコンターが施されていますが、ボディバックコンターがあるのはジャズマスターのみです。
重量も個体差はありますが、テレキャスで2.0kg〜2.3kg前後、ジャズマスで2.3kg〜2.6kg前後。テレキャスターの方が若干軽量な傾向にあります。
ジャズマスターの方が重くボディの容積が大きいこともあってか、生鳴りはジャズマスターの方が低音域を豊かに感じます。
違い②:エレキピックアップ
エレキ用ピックアップはテレキャスがシングルコイル、ジャズマスターがハムバッカーです。前述のボディシェイプによるサウンド傾向ともマッチしている点に、Fenderさんの製品開発の思慮深さが垣間見えます。
どちらも本体ブレンドノブでクリーンと歪みを選択できます。
シャープなカッティングやリズムギター、繊細で歌うようなリードには、シングルコイルのテレキャスターが良いでしょう。
8ビート主体だったり、エフェクターを使ってオーバードライブ/ディストーションまで歪ませるならジャズマスターの方が向いていると言えます。
違い③:内蔵音源
ポジション3のアコースティックギターサウンドのモデリング元音源が大きな違いです。
テレキャスの方は、スモールサイズ・マホボディの中音域が突出ブルージーなサウンドと、ドレッドサイズ・ローズボディの低音域から高音域までレンジの広い王道アコギサウンド。
ブルースのフィンガーピッキングなら、スモールサイズの泥臭いギブソンスタイルのサウンドに必要なら、ローズの高音域を足していく音作りができます。バンドのストロークならドレッド・ローズをメインに、弾き語りのストロークならそこに中音域をミックスして歌を支えてくれるような音作り、というイメージです。
ジャズマスは、スモールサイズ・ローズボディで中高音域が際立つサウンドと、ドレッドサイズ・マホボディの豊かな低音域から中音域の迫力あるアコギサウンドを内蔵。
スモールサイズのサウンドはメロディが際立つのでソロギターに最適。そこから足りない低音域を加えていく音作りができます。ドレッドサイズのサウンドはエレキのハムバッカー同様、力強いビートやバンドで扱いやすいどっしりしたサウンドで使いやすいです。音抜けが欲しい時にスモールサイズの音を足していくことができます。
まとめ・選び方
両機種ともにアコギとエレキのサウンドを1本のギターで、個別にあるいは同時に出力できる唯一無二のハイブリッドギターであるアコースタソニック。
エレキの弾きやすさでアコギのサウンド、アコギの宅録用にも最適というメリットは両機種ともに堪能できます。その上で選ぶ基準としては見た目とサウンドが鍵になります。
サウンドなど選び方に関してはそれぞれ下記を参考ください。とは言え両機種ともサウンドバリエーションが豊かなので、最後迷ったら好みの見た目で選んでしまって良いでしょう。
●とにかく軽量なギターが好き
●16分でのカッティングに合うシャープな音像が欲しい
●ブルースのソロやフィンガースタイルで使いたい
●アコギらしい豊かな低音域が欲しい
●バンドや弾き語りのギターボーカルで8分ビートのストロークで使いたい
●太い音に抜けの良さを足した音が欲しい