SAITO GUTATRS S-622 レビュー【齋藤楽器工房】

SNSの口コミなどでも話題のSAITOGUITARS(サイトーギター)を、

楽器屋店員がガチレビューします。

火付け役はYouTubeでも活動されている西尾知矢さんでしょうね。

新しいブランドでありながら、もはや大喜利状態wのカスタムカラーがtwitterでの拡散もあり爆発的に認知度が上がりました。

とは言え、品質が良いというのは事実です。

齋藤楽器工房とは

1991年創業当初はギター製作を行わずリペアを生業とし、

2011年に製造を開始したハンドワイヤリングピックアップ”SAYTONE”が

ミュージックランドKEYのオリジナルブランド CrewsManiac Sound に採用されたことから徐々に知名度が上がってきました。

2014年にはSAITO GUITARSブランドとしてフルアコースティックギター”M-Series”を製造開始。

そして翌2015年に今回ご紹介する”S-Series”を発表。

コストパフォーマンス

リペアショップ時代にヴィンテージを含むあらゆる楽器に触れた事で、

楽器の構造を深く理解した経験がギター製作にも生かされています。

その卓越した技術がありながら、すべての工程を手作業にこだわっていません。

齋藤楽器工房の従業員は2020年時点でたったの6名。

その人数で工房が経営できる十分な本数を製造するために、

機械でできる工程はできる限り機械に頼り、

一方でボディとネックのマッチングや、ナット・フレットといった繊細な作業は卓越した手作業で行うことで、

ギター自体のクオリティを下げることはしていません。

この機械での工程もかなり緻密に設計させれており、

例えばボディに関してはボディになる木材をブロックのままNCに入れると

ピックアップやコントロールのキャビティはもちろん、ボディの綺麗なアーチまでも完成します。

しかし、ピックアップに至ってはハンドワイヤリングをすることでしか、

求めるサウンドを得ることができなかったため、自社での製造にこだわっていません。

その結果がいたずらに製品の価格を上げることなく、国産ギターの中でもトップクラスのクオリティを実現しているのです。

20万円台の価格は決して安くはありませんが、

国産大手工場の大量生産品のクオリティとは一線を画し、

具体的にはT’s GuitarやKino、Sonicと言った30、40万円は下らない国内工房に勝るとも劣りません。

※発売当初はオプションをつけなければ20万円切ってましたが、現在すこし値上がりしており20万円台となっています。

耐久性

シンプルで美しい道具というコンセプトのもと、

道具として長く使える楽器として耐久性の高さもポイント。

フレット打ち込み

まず指板にフレットを打ち込むための溝は端まで切っていません。

加えて打ち込むフレットタング(脚)の端も落としています。

そしてフレットサイドの仕上げも手作業で丁寧に丸められており、

ネックを握ったままポジション移動してもストレスは感じないようになっています。

これらにより、乾燥によってネック材が収縮してしまっても

金属であるフレットが縮まないためエッジが立ってしまう、ということを防いでいます。

ジョイントアンカー

ネックジョイントはボルトオンですが、

ネック側のネジ穴は、一般的なネックのように木部に直接ネジが切ってあるわけではなく、

金属のアンカーが仕込まれており、

ネジ穴が潰れてネックがしっかり固定できないということを防ぎます。

ヘッド部指板

指板の接着は普通ですが、指板材が6弦側ヘッド部分にまできています。

これはデザイン性だけではなく、

ヘッド部の強度を高め長い経年変化でのねじれを防ぐ狙いもあります。

ピックアップ

ピックアップはオリジナルのバンドワイヤリングであるSAYTONEを搭載。

シングル、ハムバッカーそれぞれに、ローゲインタイプとハイゲインタイプがあります。

ピックアップ配列は3シングル、SSH、2ハムバッカー、HSHから選択できます。

ピックアップの特性はこちら

プレイアビリティ

国産ハイエンドギターの最重要事項と言える”弾きやすさ、演奏性の高さ”にも余念がありません。

ネック

ナット・フレットワーク

ジョイント落とし込み

ネック

ネック裏はサテン仕上げでサラサラとした手触り。

シェイプは太過ぎず、薄すぎず、誰でも弾きづらいと感じない標準的なCシェイプです。

ナット・フレットワーク

特に工場生産のものは熟練のリペアマンにお願いすると、

ナットやフレットをグレードアップして弾きやすさが格段に向上します。

SAITO GUITARSは新品でその状態になっているという感じです。

フレットの端は1本1本丁寧に丸めてあり、綺麗に丸めてある指板の端とあわせて、握りこんでも違和感が出ないように仕上げてあります。

ナットの溝も幅・深さ・角度をコンマmm単位で調整する職人技。

これらが相まって、弦高を低くすることはもちろん、その状態でもビビりがなく

低い弦高のデメリットともなる弦だけがバチバチ鳴ることもなく、

ギターの生鳴りがしっかり感じられます。

調整次第でどんな奏法でもベストなセッティングにできる守備範囲の広いギターと言えます。

ジョイント落とし込み

ネックはボルトオン構造ですが、ジョイント部に角はなく、

ジョイントプレートもボディに落とし込んで取り付けられているため、

ハイフレットでの演奏にも配慮されています。

ハードウェア

ペグはゴトーのMG-T。

ロック式でチューニングが安定しやすく、弦交換も楽です。

ブリッジも同じくゴトー製。

2点支持で滑らかなアーミングが可能。

サウンド

S-622にはバリエーションがあります。

●ボディ
アルダー or アッシュ

●指板
ローズウッド or メイプル

●ピックアップ
ローゲインタイプ or ハイゲインタイプ

これらの組み合わせで、サウンドは異なってきます。

何本か弾かせてもらったことがあるのですが、個人的には

アッシュ/メイプル/ハイゲインタイプ

の組み合わせが一番SAITOのキャラクターのおいしいところが感じられる組み合わせだと思いました。

(西尾さんと完全に真逆のスペックですが・・・)

具体的には、クリアで立ち上がりが早く、スーッと伸びてくれる、

メイプル指板のおかげか、設計のおかげか、パキパキな音にもなっておらず、

芯と滑らかさが共存している感じ。

ハイゲインタイプのピックアップはクリーンでも程良いコンプ感があり弾きやすいです。

ここを起点に、粘りや温かみが欲しければローズ指板に、

しなやかさが欲しければアルダーボディをチョイスする

というイメージで選ぶと良いでしょう。

上記SAITO GUITARSの特徴をそのままに、ピックガードの採用したことでルックスはもちろん、サウンドもトラディショナルなスタイルを取り入れたS-622CSはこちらの記事をご覧ください。

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