VOX MINI GO比較レビューと選び方
・家でも使えるとなお良い
・ルーパー搭載の家庭用アンプがほしい
アップデートされたVOXのMINIシリーズはそんな人におすすめです。
VOX MINI GOの特徴/メリット
・VOX Cambridge50継承アンプモデリング+エフェクト
・リズムマシン+ルーパー搭載
特徴①:ストリートに最適な3つの機能
①モバイルバッテリー駆動
これまでのギターアンプ業界には無かったVOX MINI GO独自機能。
付属の電源アダプターに加え、スマホの充電などに使う市販のモバイルバッテリーがアンプの電源になります。
名前のとおり電源が無い野外での使用が可能です。
モバイルバッテリーは出力1.5A以上のものを、端子はUSBType-Cを使う必要があります。
また市販のUSB ACアダプターも使えますが、ノイズが発生する場合もあるようです。
②楽器+マイク入力可能
ギターなど楽器の入力端子に加え、マイク入力端子を装備。
アコギの弾き語りに使用したり、内蔵のボコーダーでトーキングモジュレーションに使えます。
ストリートパフォーマンスもこれ1台で完結。
③スラント機構
MINI GO10および50には本体側面に、収納可能な脚がついており、
地面に置いても本体を傾けて設置することができます。
スピーカーが少し上を向くことで聞こえやすくなります。
特徴②:VOX Cambridge50継承アンプモデリング+エフェクト
前作VOX MINIシリーズが2013年の発売、年々モデリングアンプの性能は上がっていますから、
2021年にアップデートされたこのMINIGO シリーズの音色は2019年発売の VOX Cambridge 50を継承したものに変わりました。
全11種類のモデリングは以下の通り。
BOUTIQUE CL・・・Dumble Overdrive Special クリーンチャンネルのモデリング。ワイドレンジなクリーン。
BOUTIQUE OD・・・Dumble Overdrive Special ドライブチャンネルのモデリング。ピッキングニュアンスを生かせるオーバードライブ。
VOX AC30・・・VOX AC30ノーマルチャンネルのモデリング。ややトレブリーなクリーン。
VOX AC30TB・・・VOX AC30トップブーストのモデリング。AC30をパワフルにした感じ。
BRIT 800・・・Marshall JCM800のモデリング。80s HR/HMに最適。
BRIT VM・・・Marhall JVM410HのOverdrive2チャンネルモデリング。タイトなハイゲインサウンド。
SL-OD・・・Soldano SLO-100のモデリング。パワフルなハイゲインサウンド。
DOUBLE REC・・・Mesa Boogie Dual Rectifierのモデリング。SL-ODよりもローが強いドンシャリハイゲイン。
VOCODER・・・接続したマイクでトーキングモジュレータ高価が得られます。歪ませることもできるのでBON JOVIごっこも可能。マイク無しでもピッキングに反応しオートワウ的に使えます。
LINE・・・エレアコやウクレレ、キーボードなど歪みのないピュアなトーンで出力。
エフェクトはコーラス、フェイザー、トレモロ、オクターバー、アナログ風ディレイ、デジタルディレイ、スプリングリバーブ、ホールリバーブの全8種類。
特徴③:リズムマシン+ルーパー搭載
メトロノームを含む、全11のジャンルとそれぞれにバリエーションが3つ搭載。
練習時にメトロノームとして使ったりセッションの練習にも効果的。
ルーパー機能はVOX MINI GO 10及び50のみ搭載。
意外と他社の多機能ミニアンプにはルーパーが搭載されていないので、ここもMINI GOのメリット。
本体のスイッチを押す必要があるのはやや難点ですが、
リズムマシンと同時に使うことで、小節を自動で合わせてくれるクオンタイズを行ってくれます。
ルーパー初心者にもやさしいですし、アドリブ練習には十分使えますね。
別売りの専用フットスイッチVFS3(売価6,600円税込)を接続すれば
ルーパー、リズムマシンの操作、エフェクトの切替も可能。
VOX MINI GOのデメリット
チューナーがEのみ
マイク入力がフォーン端子
デメリット①:EQがTONEのみ
MINI GO 3と10はEQがTONEつまみ1つのみ。50でもBASSとTREBLEのみで、
一般的なギターアンプのような音色調整ができません。
ギターの音作りにシビアで妥協できない人は満足できる音を出すのは難しいかもしれません。
それなりの音でokな人は逆にサクッと音作りが完了するかも。
デメリット②:チューナーがEのみ
チューナー機能がありますが、Eの音が合っているかどうかしか表示できません。
6弦と1弦の開放をチューニングしてあとはハーモニクスで合わせるか、
5弦7フレット、4弦2フレット、3弦9フレット、2弦5フレットで合わせる必要があり、ちょっと面倒ですね。
ディスプレイやインジケーター分のコストを削減した弊害でしょう。
だからこそこの低価格が実現できたとも言える、開発者の苦悩が伺えます。
デメリット③:マイク入力がフォーン端子
ストリートパフォーマンスを前提としたアンプと言えそうですが、
その割にマイクの入力端子はキャノンでは無く、フォーン端子です。
ノイズなど音質面に少し不安が残りますが、これもチューナー同様コスト削減の一環でしょう。
VOX MINI GO バリエーションと選び方
VOX MINI GO 3 | VOX MINI GO 10 | VOX MINI 50 | |
サイズ(mm) | 256 x 180 x 249 | 296 x 210 x 294 | 390 x 250 x 358 |
重量 | 3.5kg | 4.5kg | 7.3kg |
最大出力 | 3W | 10W | 50W |
スピーカー | 5インチ | 6.5インチ | 8インチ |
ルーパー機能 | なし | あり | あり |
フットスイッチ接続 | 不可 | 可 | 可 |
パワーアンプワッテージ切替 | 不可 | 3段階 | 3段階 |
スラント機構 | なし | あり | あり |
アンプつまみ | GAIN, TONE, VOLUME | GAIN, TONE, VOLUME | GAIN, TREBLE, BASS, VOLUME |
パッチ保存 | 不可 | 可 | 可 |
10,000mAhモバイルバッテリー使用時駆動時間 | 約12時間 | 約6時間 | 約3時間 |
市場相場価格(税込) | 16,280円 | 22,000円 | 30,800円 |
アンプのモデリング数、エフェクトの種類とコントロール、リズムパターンのジャンル数などは3機種とも同じです。
マイク入力、外部音源用のAUX IN、ヘッドフォンなど接続端子も同様。
一番安いMINI GO 3にはルーパー機能が搭載されていない点が大きな違いです。
サイズの違いは単純な音量の違いだけではなく、
アンプモデリングの中身は同じですが、スピーカーのサイズが違うので聞こえる音も明らかに違います。
当然サイズが大きい方がレンジが広く良い音になりますし、一番大きいMINI GO 50 になれば2バンドEQになるので音作りの自由度が広がります。
とは言え、物理的なサイズが大きくなるので、部屋に置いた時や持ち運びのしやすさが選ぶポイントになります。
他社製品との比較
各機種価格帯的にも近い製品と性能を比較してみます。
VOX MINI GO 3 vs NUX Mighty Lite BT比較
個人的にはこの3Wモデルが現在の市場においては一番中途半端なモデルだと思います。
モデリングアンプでリズムマシン機能は家で使うにはまぁ良いですが、もっと多機能で安価な製品は他にもありますし、
モバイルバッテリーを使って外でやるにしても音量が心もとないかなと。
家での練習用アンプとして16,280円でこれを買うなら、
モデリングアンプ、リズムマシンどころか、Bluetooth接続対応でもっと小さいうえに10,780円と安いNUX Mighty Lite BTをおすすめします。
野外で使う想定もあるならもう少し頑張ってMINI GO 10の方が良いでしょう。
VOX MINI GO 10 vs VOX ADIO-AIR GT比較
MINI GO 10 | ADIO-AIR GT | |
出力 | 10W | 50W(25W x 2発) 電池使用時 2.5W x 2 |
スピーカー | 6.5″ | 3″ x 2発 |
入出力 | ギター, マイク(フォーン), AUX IN, ヘッドフォン, フットスイッチ | ギター, AUX IN, ヘッドフォン, USB |
電源 | ACアダプタ or モバイルバッテリー | ACアダプタ or 単三電池 x 8本 |
バッテリー駆動時間 | 6時間(10,000mAhモバイルバッテリー使用時) | 最大8時間 |
ルーパー/リズムマシン | あり | なし |
Bluetooth | なし | あり |
USBオーディオインターフェイス | なし | あり |
モデリングアンプ数 | 11種類 | 11種類(アプリ使用時23種類) |
サイズ(mm) | 296 x 210 x 294 | 360 x 165 x 163 |
重量 | 4.5kg | 2.9kg |
市場相場価格(税込) | 22,000円 | 20,000円から25,000円前後 |
2万円台前半でバッテリー駆動かつ2chアンプって市場に無かったです。
つまりそれだけでMINI GO 10の価値がありますが、一応同社の家庭用特化型アンプADIO-AIR GTと比較してみます。
一応バッテリー駆動も可能なADIO-AIRですが、バッテリー駆動時は出力が下がりますし、
スピーカーの口径も小さいので音量音圧はMINI GO 10に軍配が上がります。
しかしBluetoothやUSBオーディオインターフェイスなど家で使う機能が充実しています。というか家用のアンプです。
そしてMINI GO 10は前述の通り、(大音量では無いですが)それなりに使える野外用アンプとしての音量、マイク同時使用可、家でも遊べるルーパー機能を備え
家でも野外でも両方で使いたいというニーズを2万円台前半で叶える唯一のアンプと言えます。
・家と野外両方で使いたい
・ルーパーでアドリブの練習もしたい
VOX ADIO-AIR GTはこんな人におすすめ。
・家専用の小型アンプ
・ステレオで外部音源もいい音で鳴らしたい
・Bluetooth、インターフェイスなどオールインワンが良い
ただしもっと金額が出せるならYAMAHA THR10IIの方が音質は良いです。
VOX MINI GO 50 vs Roland Cube Street 比較
MINI GO 50 | Cube Street | |
出力 | 50W | 5W (2.5W x2発) |
スピーカー | 8″ x 1発 | 6.5″ x 2発 |
入出力 | ギター, マイク(フォーン), AUX IN, ヘッドフォン, フットスイッチ | ギター, マイク(XLR/フォーン), AUX IN, ヘッドフォン, フットスイッチ |
電源 | ACアダプタ or モバイルバッテリー | ACアダプタ or 単三電池6本 |
バッテリー駆動時間 | 3時間(10,000mAhモバイルバッテリー使用時) | 最大15時間 |
ルーパー | あり | なし |
サイズ(mm) | 390 x 250 x 358 | 415 x 295 x 250 |
重量 | 7.3kg | 5.2kg |
市場相場価格(税込) | 30,800円 | 34,650円 |
ストリートライブなどバッテリー駆動で使えるギターアンプとして両機種を比較。
2007年から10年以上販売されているストリートアンプの元祖にしてベストセラーモデル、Roland CubeStreet。
マイクがキャノン接続対応なのはノイズ面なども安心ですが、
音については10年以上前ということもありローランド感特有のちょっと硬めのあの感じがします。
エレキギターのモデリングアンプの音に関してはVOX MINI GO 50の方が今風で弾きやすいと思います。
バッテリー駆動時間はCube Streetの方が長いですが、乾電池を消費するのも処分やランニングコストも気になるところ。
Ankerなど20,000mAのモバイルバッテリーなら4千円弱で買えるので、それ込みでも価格差はほぼ無いです。
20,000mAあれば6時間ほど持ちそうですし、ストリートライブ1本分には事足りるでしょう。
・Cube Streetよりも大きい音を出したい
・繰り返し使えるモバイルバッテリーが経済的で良い
・ルーパーやリズムマシンを使ったパフォーマンスもしたい
Roland Cube Streetはこんな人におすすめ。
・ステレオスピーカーによる広がりのあるバッキング音源を生かしたい
・持ち運びに軽量なものが良い
VOX MINI GOシリーズまとめ
旧VOX MINIシリーズが発売された当初は初代YAMAHA THRも存在しておらず、
コンパクトサイズのアンプに、モデリングやエフェクト、リズムマシンまで内蔵した稀有な多機能小型アンプとして大ヒットしましたが、
昨今の家庭用多機能アンプから見ると機能面でかなり劣っていました。
そして今回、新しくなったMINI GOではただの多機能アンプでは無く、
屋外でも使えるアンプかつ従来通り安いという、他社製品にはない隙間のニーズを狙ったアンプとして再定義されたように感じました。
そして家で使うにしてもルーパーが内蔵されているのは嬉しいところですね。