ギターを弾き終わったら弦を緩める?ギターの正しい保管方法

  • 2020年3月5日
  • 2023年7月12日
  • Tips
 
ギターの正しい保管方法を知りたい。
弾き終わったら弦を緩めるべき? 

とお悩みの方へ、現役楽器屋店員のYosh(@yoshguitarblog)からの回答です。

結論:エレキギターの弦は緩めなくて良い

ギターの弦は緩める派の方の意見は

チューニングしたままだと、弦の張力でネックが反ってしまう

というものです。

しかし、エレキギターは弾かない時も弦を緩めない(チューニングしたまま)で大丈夫というのが、私の持論です。

弦の張力が原因の反りは矯正可能

エレキギターのネックにはトラスロッドという鉄心が仕込まれています。

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トラスロッドは、弦をチューニングした状態のテンションと釣り合う状態でネックに負荷をかけています。

弦の張力が原因でネックが反るのは、順反りと呼ばれ、このトラスロッドの調整で矯正が可能です。

むしろ、ネックの反りを恐れて頻繁に弦を締めたり緩めたりする方が、ネックにかかる負荷が短時間で変わるため、木材には好ましくありません。

また、弦を緩め過ぎることにより、ネックが逆反りするかもしれません。これは順反りよりも調整がやっかいになるギターもあります。

以上のことから、ネックに一定のテンションをかけ続ける方がギターに対しては好ましい状態と言えます。

弦が金属疲労で切れやすくなる

弾き終わる度に緩めると、弦が切れやすくなります。

張力をきつくしたり緩めたりを繰り返すと、金属疲労を起こしてしまいます。

チューニングのときに切れたり、演奏中に切れたりするなど、演奏に支障が出てしまいます。

毎回の練習をサボりやすくなってしまう

あまり語られていませんが、私が弦を緩めない一番の理由がコレです。

ギターは毎日少しでも練習する方が、上達につながります。

しかし、毎回の演奏前にイチからチューニングをするのはどうしても時間がかかり、弾きたいと思ったときにすぐに弾けません。

ちょっとでも触っておこう!という前向きなモチベーションを阻害してしまうのです。

例外:弦を緩めた方が良いケース

1ヶ月以上弾かない場合

ひと月以上弾かない場合は少し緩めます。

全てのペグを半〜1回転程度緩めて下さい。

このときも張力が無くなるほど最大限緩めてはいけません。

ある程度テンションをかけておかないと、逆反り方向に動いてしまう可能性があるからです。

アコースティックギター

アコースティックギターはペグ1回転くらいは緩めた方が良いです。

Taylor社は緩めなくても良いという見解(湿度管理を徹底する事が前提)ですが、

アコギの場合はネックよりも、トップ材への影響を懸念すべきです。

特に、良く鳴る様に作られたアコギ、

例えば

・トップ単板
・スキャロップドブレイシング
・フォワードシフテッドブレイシング

などの特徴があるギターは要注意です。

良く鳴るという事は、逆に言えばもろいとも言えます。

弦の張力によって、ブリッジ付近のトップ材が膨らみ弦高が高くなり修理に持ち込まれるケースは少なくありません。

残念ながらこれは、対処療法での修理しかできないため、日頃の管理に十分気をつけてください。

宅配便などで輸送するとき

ケースやダンボールに入れて宅配便で送るときは、2から3音くらいチューニングを下げた状態まで緩めることが多いです。

宅配便では、ネックへ不意の衝撃が加わる可能性があります。

チューニングしたままだと弦の張力(約60kg)を相まって、ネックやヘッドに重大な損傷を起こす恐れがあるからです。

いずれにしろ、ネックに負荷がかからないように梱包することが大前提です。

大事なのは頻繁に弾いて状態を確認すること

わたしは家にあるギターは弦を緩めていません。

価格や生産国も様々なギターですが、それによって重大な問題が生じたこともありません。

粗悪品に当たらなかったラッキーもあるかもしれませんが、頻繁に弾くことでギターの状態を常に確認しているからです。

例えば最近なんだか弾きづらいな、と感じたらたいていネックが少し順反っています。

この程度の状態なら、トラスロッド調整で修正できます。

しかし、この状態を放置しつづけてどんどんネックが反ってしまうと、トラスロッド調整だけでは、直せないほど重篤な状態になる危険性があります。

そうならないためにも、長くても一週間に1回は全てのギターを弾いて症状が軽いうちに修正しておく、これで問題ありません。

あわせて保湿のオイルを使ったり、メンテナンス用品を揃えて、適切な管理をすることをおすすめします。

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ちなみに、以前twitterでディバイザーさんの公式見解をシェアしたところ、けっこう反響がありました。

やはり毎日弾くなら緩めなくても問題ないよ、ということですね。

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