【2020年仕様】Schecter SD-2-24-AL レビュー

 
幅広く使えるギターを探している

メインパートは他の楽器だが、扱いやすいギターが欲しい

という方におすすめの日本製シェクターのモデルの中で最も売れている機種SD-2-24-AL。

国産ですがアメリカンシリーズという名前のSD(=South Dakota,サウスダコタ)として登場して以来長年発売されているロングセラーモデルを、

現役楽器屋店員のYosh(@yoshguitarblog)が、メリット、デメリットの評価を交えレビューします。

SD-2-24-AL SD-2-24-AL 特徴

schecter.co.jpより引用

シェクターのフラッグシップモデルEXCEED(EX)の多彩な機能を引き継ぎなら、価格を約3分の1に抑えたコストパフォーマンスモデル。

EXと同じくロングセラーモデルで、ボディ材は初代アッシュ、2011年バスウッド(SD-2-24-BW)を経て、2015年にアルダー(SD-24-2-AL)と変遷しています。

そして2019年にSD-24-2-ALはマイナーアップデートされます。

今までルックスは木目の綺麗なキルトメイプルトップでしたが、これは音響には影響しない薄いべニア(ツキ板)でした。

しかし最新のモデルではアルダー材+メイプル材、そしてその上にキルトの突板を張っています。

メイプル材の特性が加わることで後述するサウンドの弱点を補強した、芯のあるサウンドに近づいています。

今現在00年代後期ほどSD-2は売れていませんが、この最新バージョンに進化したからこそ、

あえて今、SD-2をおすすめしている理由のひとつです。

Schecter SD-2 メリット

国産なのに安い

音色切替が多彩

弾きやすい

メリット①:国産なのに安い

上位モデルよりもコスト減を実現している要因は製造工程の違いがあります。

ざっくり説明すると、上位モデルがESP工場、

10万円台のモデルはEdwards, E-II同様、海外工場にて木工組み込みを行い、日本で仕上げ、セットアップを行います。

詳細はこちらの記事で解説しています。

ペグやブリッジなどハードウェアは信頼のGOTOH(ゴトー)製。

ゴトーは国産のみならず、PRSやXoticなど海外ハイブランドのハードウェアにも採用されています。

メリット②:音色切替が多彩

スイッチ類の操作だけでギター2,3本分もの多彩な音色切り替えが可能で、これ1本で幅広いジャンルに対応できます。

HSH配列のピックアップ

MONSTER TONE J & SUPER ROCK Jというシェクタージャパン企画によるピックアップを搭載。

一般的なピックアップよりもレンジが広く歯切れの良いサウンドが特徴なので、

ポップスや、現代のフェンダーっぽい感じもあるので邦ロックにも合います。

ディストーションではなめらかでクリア、フュージョンやインスト系のリードサウンドとの相性が良く、

加えてエフェクターのノリも非常に良いです。

コイルタップ

ミニスイッチではコイルタップが可能。

コイルタップとはハムバッカーの片方をキャンセルし、疑似的にシングルコイルのサウンドを生み出します。

スイッチを入れればストラトのように3シングルのギターとして使え、5-wayのピックアップセレクターでハーフトーンを生み出すことができます。

コイルタップは本当のシングルコイルのような特有の太さが無く、音量もやや小さくなってしまうのが欠点ではあります。

そのため一般的なHSH配列のギターでコイルタップをすると、センターピックアップの音量のみ大きくなってしまうケースもありますが、

本機のシングルコイルはスタック構造のため、ハムバッカー同様にコイルタップが可能。

タップ時でも各ピックアップの音量差が生まれないのも隠れたこだわりです。

ローカット

通常、ギターのトーンコントロールは高音域を削ります。

SD-2のトーンつまみを引っ張るとローカットとして機能します。

ローカットは普通のトーンとは逆の効果があり、回すことで低音域が削れスッキリしたサウンドに調節可能。(この際高音域はそのまま残ります。)

これによりポップスなど歌もののバックでもギターが主張し過ぎず、バックに馴染むサウンドを創出。

構造的にはパッシブなので電池も不要です。

メリット③:弾きやすい

弾きやすさにも個人差はありますが、特に安いギターには不可能な一般論としての弾きやすさについてです。

弦高を低くできる

ここは国産ならではのメリット。

極論ギターの生鳴り犠牲にして(弦がフレットに当たってペチペチした音になってしまいますが・・・)でもネックをまっすぐにして、ブリッジを下げれば

6弦12フレットで1.5mm、1弦で1.0mmを若干下回ることもできます。

ここまで下げられるもうひとつの理由は指板ラディアスが平気味だからです。

これは個体差もあるのでご自身で調整するか、購入時に楽器店に依頼しましょう。ネット販売でも発送前ならたいていはメールで受け付けてくれます。

同じようにセッティングしようとしても、安く製作精度の低いギターでは音詰まりが発生します。

この弦高調整に必須のネック調整もホイールナットにより、ネックを外したり、ロットカバーを外すことなく工具ひとつで瞬時可能なのもポイント。

ハイフレットでも弾きやすい

普通ボルトオン構造はハイフレット部分が分厚くなるため弾きづらいですが、

SD-2はウルトラアクセス4ボルトジョイントという、ネックプレートを使わないヒールレスジョイントを試採用することで

24フレットまでフルに使っても左手のひらにストレスの無い演奏性を提供します。

24フレット仕様

ギブソンやフェンダーといった伝統的なギターは22や21フレットが基本ですが、

24フレットはより高い音域まで演奏ができます。

わたしもX Japanのコピーをするときに24フレットが無く苦労した記憶があります。

またフレットの端の角が無いように処理されていて、左手を滑らせても引っ掛かりがなくスムーズ。

Schecter SD-2 デメリット

サウンドに個性が少ない

ローズウッド指板がない

ロック式トレモロ

デメリット①:サウンドに個性が少ない

これがシェクターが嫌いな人に聞いたダメな理由1位です。(Yosh調べ)

確かにワイドレンジで歯切れが良く、エフェクターのノリも良い、何者にでもなれそうなサウンドは

伝統的なストラトやレスポールに比べると、深みがない平面的なサウンドと捉えるギタリストもいらっしゃいます。

個人的には様々なジャンルの要素を取り込んだ現代的なプレイヤーには”扱いやすい”、

一方、骨太なロックやブルース系プレイヤーには”無個性”と捉えられている傾向にあります。

また、このキャラクターはピックアップ由来であることが知られているので、ピックアップ交換を前提に購入される方もいらっしゃいます。

デメリット②:ローズウッド指板がない

現在は緩和されましたが、CITESによるローズウッドの取引が制限された影響でローズウッド指板の代わりにパーフェロー材が使われるようになりました。

こちらの記事にもあるように、パーフェローは硬くローズウッドに似ているのは見た目で音はもっと明るいです。

そのためメイプル指板とパーフェロー指板のモデルがありますが、ここはサウンドではなく見た目で選んでしまって良いでしょう。

デメリット③:ロック式トレモロ

チューニングの安定性など構造として欠陥がある訳ではなく、人によってはこれもメリットなのですが、最近の風潮ではロック式が苦手な方が多い印象です。

現交換が面倒、チューニングが即座に変えられないといった点ですね。

一方ギターを歌わせるようなビブラートや激しいアップダウンなどロック式でしか成しえない奏法もあります。

同じシェクターでBH-1というロック式で無いモデルもおすすめ。

Schecter SD-2-24-AL 評価まとめ

以上最新バージョンのSD-2-24-ALのレビューでした。

アルダー+メイプルというハイエンドギターにも使われるボディの組み合わせになったことで、

サウンドは間違いなくグレードアップしています。

そしてネックシェイプも薄過ぎず、厚過ぎず、標準的で、弦高も標準から低めまで、弾きやすく調整もできます。

コントロール類でサウンドバリエーションが幅広い一方、無個性というクセのあるサウンドが賛否両論。

ちなみにメタルなわたしとしては搭載されているピックアップでもザクザクはできるのですが、ズンズンにはやや物足りなさを感じてしまうので、

Seymour DuncanのJBや、さらにモダンなNazgulなどにピックアップ交換したいなとは思います。

つまりヘヴィを求めなけばそのままでも十分使えますよ。

カラーバリエーションもかなり豊富です。

いずれにしろ移り変わりの激しいギターカタログの中でも、定番として残り続けるのはその完成度の高さと人気のほかにありませんので、ぜひお試しください。

schecter-sd224al-aqb
Twitterで気軽に交流しましょう!