・子どもがエレキギターを弾きたがっている
・アウトドアでもエレキギターが弾きたい
・家でも気軽にギターを弾きたい時がある
・初めての1本だけどアンプ内蔵ギターでも良い?
という人たちに現役楽器屋店員のyosh(@yoshguitarblog) が徹底解説します。
・これからエレキギターを始めたい小学生にもおすすめ
・大人なら初めての1本にはおすすめしません
・既にギターが弾ける人のお遊び用やコレクションとしておすすめ
最後に現在販売されている機種とその違い、選び方をご紹介します。
アンプ内蔵ギターとは
アンプ内蔵ギターはエレキギター本体に
・ピックアップで拾った音を増幅するアンプ
・その音を出すスピーカー
を内蔵したエレキギターです。
そして通常のギターより小さい、ミニギターです。
おおむねスケール(ナットからサドルまでの距離)は610mm(24インチ)です。
これはFenderのジャガーやムスタングなどと同じショートスケールにあたります。
ただしボディの大きさはアンプ内蔵ギターの方が小さいため、演奏感は近いですが、抱え心地にはけっこう違いがあります。
モデルによってはヘッドフォン端子も装備しているものもあります。
普通のギターアンプとケーブルで接続すれば、通常のエレキギターのように使用することも可能です。
アンプ内蔵ギターのメリット/デメリット
アンプ内蔵ギターのメリット
②:持ち運びに便利、野外でも演奏できる
アンプがなくてもエレキの音が出せるので、手軽に弾けるというのがメリットです。宴会やキャンプで使っている方もいらっしゃいます。
アンプ内蔵ギターのデメリット
②:音程が不安定
便利な一方、ドラムがいるようなバンドで使える音量までは単体では出ません。あくまでも一人で楽しむ用です。
また音質自体も残念ながら、いい音とは言い難いところ。初心者セットについてくるような1万円以下の小さいアンプのような音質です。
シールドで普通のアンプに接続すれば、しっかりした音を出すことはできます。
またミニギターはスケールが短く、細い弦を張ると振動が大きくなり音程が安定しないため、普段通常のギターを弾いている人であれば、10-46よりももっと太い11-52というような弦を使うのがおすすめです。
プロが弾いてもこんな音です。
アンプに繋ぐと本格的な音色です。
子ども用ギターとしてもおすすめ
前述の通りミニギターなので子どもでも扱えるサイズです。
エレキギターに興味を持った小学校4年生から6年生くらいまでのお子さんが最適ですが、低学年の子で弾いている子もいます。
中学生になれば通常サイズのギターでも弾けますので、初めての1本ではおすすめしません。理由は次の項目で。
子供でも弾けるおすすめギターと選び方
大人は初心者向きではなくサブギターとして使うもの
・既にギターを持っているけど持ち運びしやすいサイズが欲しい
・家で手軽に弾ける小さいギターを1本持っておきたい
・ギターコレクションを増やしたい
中学生以上の方がこれからギターを始めたいという場合は、アンプ内蔵ミニギターはあまりおすすめではありません。
ギター上達に一番重要なことは”楽しむこと”です。デメリットにもありますが、内蔵スピーカーの音がショボいためノイジーに聞こえたり迫力がないためテンションが上がらず=”楽しめない”ためです。
しかし、例えばミニギターZO-3の見た目好きなんや!とテンションが上がるならこれで始めるのもアリです。ZO-3はアーティストやコラボレーションモデルなんかをよく限定発売しており、魅力に感じるものが多いかもしれません。
その場合は内蔵スピーカーはあまり使用せず、別途ギターアンプを用意してそれを使うのが良いでしょう。
ミニギターなので弦の張力が弱いので、弦を押さえる力も少なくて済む面がある一方で、アンプ内蔵ギターは安価なアジア工場製なので実際のところは演奏がとても快適というほどではありません。
過去ギターを挫折してしまったという人や、絶対に挫折したくないという人で、予算10万円出せるならFender Made in Japan Junior Collectionが普通よりも小さく日本製で弾きやすいのでおすすめです。
おすすめアンプ内蔵ギター
アンプ内蔵ギター自体は種類はそんなに多くありません。現在アンプ内蔵ギターを発売しているブランドはFERNANDES、Pignose、GrassRoorsの3ブランド。
FERNANDES ZO-3
FERNANDES(フェルナンデス)は90年代には布袋寅泰、hideをはじめ多数の国内有名ギタリストも愛用していたことから人気のブランドです。
ZO-3はぞーさんと読み、その名の通りネックを鼻に見立てた像のような見た目が印象的です。楽器店オリジナルモデルや、アーティストモデル、キャラクターものなどカラーバリエーションは、今も限定で発売することもあります。
海外ではNomadという名前で流通しています。
1990年発売当初から人気で累計35万台を突破したようですが現在では昔ほど売れていないようで、生産本数も少ないのかメーカーは常に在庫切れです。
欲しい色があれば在庫があるお店から買うか、予約注文を入れるのが良いでしょう。
個人的には座って引くときヘッド落ちしてしまいバランスが悪く感じます。
アンプ内蔵ギターの中では最も高価です。通常モデルで4万円弱。アーム付きのものZO-3芸達者とZO-3STは5万円弱。
Pignose PGG-200
Pignose(ピグノーズ)は1970年代にこれまでになかった革新的なミニサイズのアンプを開発したことで、エリッククラプトンやレッドツェッペリンらも愛用した伝説的なブランド。現在は日本の楽器商社である荒井貿易がPignoseブランドの権利を有しており、このアンプ内蔵ギターも日本で企画開発されました。
現在、ブランドの権利は日本の荒井貿易が保有しており、そのポータブルアンプのノウハウを生かしたアンプ内蔵ギターを開発・販売しています。
その名の通りの豚の鼻を模したつまみを採用するなど、その伝説的なミニアンプをギターに搭載してしまった海外マニアも羨む製品です。
スピーカーの裏側を塞がない、ギターアンプと同じオープンバック構造を採用し、演奏者本人も気持ちよく聞けます。610mmのショートスケールサイズは大人が遊びで演奏するにもストレスのないサイズです。価格は3万円弱とお手頃。
GrassRoots MINIシリーズ
ESPのエントリーブランドGrassRootsのミニシリーズ。レスポール直系の形をはじめ従来のエレキギターの形に近いデザインをラインナップ。
通常のギターのスケール648mmに対し4フレット分よりも短い521mmスケールを採用。それは他2ブランドに比べても短く大きさも小さめなので、特に小学校低学年のお子さんにはこれが一番良いですね。
ピックアップを模したオリジナルのスピーカーも小さいので、上記2ブランドよりもサウンドがさらに迫力がありません。またヘッドフォン端子が内蔵されていないのが残念。ヘッドフォンで聴きたい時は別途アンプに接続する必要があります。価格は3万円半ば。
3ブランドの違い比較と選び方
FERNANDES ZO-3 | Pignose PGG-200 | GrassRoots G-LPS-MINI | |
---|---|---|---|
ボディ | アルダー | バスウッド | メイプルベニア+マホガニー |
ネック | メイプル | メイプル | マホガニー |
指板 | ローレル | テックウッド | ローズウッド |
スケール | 609mm | 610mm | 521mm |
ピックアップ | ハムバッカー | ハムバッカー | ハムバッカー |
電源 | 9V電池 | 9V電池 | 9V電池 |
ヘッドフォン端子 | あり | あり | なし |
相場価格 | 4万円前後 | 2万5千円前後 | 3万5千円前後 |
マニア向けに(笑)一応記載はしましたがミニギターなので木材の違いを気にして選ぶ必要はないです。
選ぶ基準は次の3つ
・デザイン
・スケールと大きさ
・ヘッドフォンの有無
ZO-3には派生モデルのZO-3芸達者とZO-3STというモデルがあり、こちらは唯一アーム付きです。また歪むディストーションモードを備えています。
Pignoseにはディストーションスイッチはないものの、ボディ裏側から調整可能なボリューム調整トリマーを内蔵。これをあげるとしっかり歪んだ音も出せます。
GrassRootsミニシリーズはスピーカーもサイズも小さいため、他の2ブランドより軽量なのはメリットです。しかしヘッドフォン端子がついていません。
・ZO-3のデザイン、ルックスが好き
・アーム付きのミニギターが欲しい(芸達者、ZO-3ST)
・ヘッドフォンで練習したい
・一番安いアンプ内蔵ギターが欲しい
・ヘッドフォンで練習したい
・一般的なエレキギターのルックスが良い
・小学校低学年のキッズが使う