●デメリットはないの?
●どのジャンクションボックスしようか迷っている
という方のために、現役楽器屋店員のYosh(@yoshguitarblog)が、ジャンクションボックスについて徹底解説。
ジャンクションボックスの選び方とおすすめ機種もご紹介します。
ジャンクションボックスとは、入出力をまとめる機材
エフェクターボードの、インプットとアウトプットを一箇所にまとめるための機材です。
配線の仕方はこちらの画像がわかりやすいです。
特にスイッチャーを導入している場合は、スイッチャーへのシールドの抜き差しがしづらいため、ジャンクションボックスは必須です。
ちなみに、ジャンクションボックスを普及させたのはFree The Toneさんでしょう。
代表の林さんが著書の書籍で、一般ユーザーへもペダルボードの考え方が浸透しました。
インピーダンスについてなど、ギタリストの必読書です。
ジャンクションボックスのメリット
①:セッティングが簡単になる
②:ケーブルやエフェクタージャックの劣化を防ぐ
③:バッファなどプラスαの機能内蔵のものはボードのスペースを無駄にしない
メリット①:セッティングが簡単になる
入出力の端子が一箇所にまとまるため、セッティングが簡単になります。
スタジオ練習時はもちろん、ライブの転換もスムーズにケーブル接続ができます。
スイッチャーを使っているなら必須ですね。
メリット②:ケーブルやエフェクタージャックの劣化を防ぐ
ジャンクションボックスを設置したエフェクターボードは、全てのエフェクターを接続したもの固定したままにしておきます。
ケーブルの抜き差しはジャンクションボックスだけで行うので、エフェクター側のジャックは劣化しません。
エフェクターボードに使っているそれぞれの機材が壊れるリスクを低減し、機材の寿命が長くなります。
メリット③:バッファなどプラスαの機能内蔵のものはボードのスペースを無駄にしない
後ほど紹介するバッファなどを内蔵したものであれば、機材が増えずボードのスペースの節約にもなります。
ジャンクションボックスのデメリット
②:不具合のチェック箇所が増える
③:プラグ形状や配線に注意が必要
デメリット①:入り口で音質が劣化する
パッシブピックアップのギターであれば、最初のエフェクターに信号が届くまでハイインピーダンスのまま、複数の接点を経由するため、エフェクターに直接入力するときよりもハイ落ちを感じるかもしれません。
改善策としては、音質を優先している機種を選んだり、バッファーを内蔵しているジャンクションボックスを選びましょう。
この点は、アクティブピックアップであれば気にしなくて良いです。
出口に関してはエフェクターを経由し既にローインピーダンスになっているので、ほとんど劣化は感じないでしょう。
デメリット②:不具合のチェック箇所が増える
音が出ないなどのトラブルがあった時に、不具合を探る箇所が単純に増えます。
しかしエフェクターを固定せずボードを持ち運ぶよりも、ケーブルなどへのダメージは少ないので、そもそも接点が理由のトラブルは少ないです。
デメリット③:プラグ形状や配線に注意が必要
ジャンクションボックスに限った話ではありませんが、ノイズを生む原因になりますので注意しましょう。
ジャンクションボックスに接続するケーブルのプラグにL字を使うと、角度によっては隣に挿したプラグと接触する場合がありノイズの原因となる場合があります。
また、ジャンクションボックスからエフェクトボード内に這わせるinとoutのケーブルで、輪っかを作らず並行して這わせるのが正解です。
輪を作るとグランドループになり、これもノイズの原因となります。
ジャンクションボックスの選び方
入出力端子の数と種類
ジャンクションボックスの主な目的は、エフェクターボードのインプットとアウトプットを一箇所にまとめることです。
そのため、必要な入出力端子の数と種類を確認することが重要です。
エフェクトボードの入出力を一箇所にまとめるだけなら、2in/2outのもっともシンプルなもので良いですし、
アンプのセンドリターンでエフェクターをかける4ケーブルメソッドで配線するなら、4in/4out必要です。
アンプのch切り替えもスイッチャーで行いたい場合は、TRSに対応したもう一回線以上多いものが必要です。
同様にMIDI THRU端子を備えたものもあります。
本体のサイズ
エフェクターボードのスペースは限られているため、ジャンクションボックスのサイズも重要な選択基準となります。
入出力のみなら、ミニサイズのコンパクトエフェクター程度の大きさなので、ボードのスペースを圧迫することはないでしょう。
ただし、エフェクターケースの縁とジャンクションボックスの端子が干渉しないか確認しておきましょう。
ジャンクションボックスの端子の方向によっては、置くことができてもケーブルを挿すことができない恐れもあります。
バッファーなど追加機能の有無
一部のジャンクションボックスには、バッファーやチューナーなどの追加機能が内蔵されています。
これらの機能が必要な場合、それを備えたモデルを選ぶと、ボードのスペースを節約することができます。
おすすめジャンクションボックス
使用用途別におすすめのジャンクションボックスを紹介します。
ほとんどの人はこれ:シンプルなジャンクションボックス
ほとんどのユーザーは、インプットとアウトプットが一組ずつ(2in / 2out)あるシンプルなものでOKです。
それだけで、エフェクトボードの入力端子と、アンプへ接続する出力端子が確保できます。
市場相場価格 | サイズ | こんなひとにおすすめ | |
---|---|---|---|
Effects Bakery Curry Bread Junction | 3,740円 | 94 x 38 x 32 mm | 安いものが良い |
Limetone Audio JCB-2S | 8,800円 | 92 x 43 x 31 mm / 123g | コンパクトで音質重視 |
Limetone Audio JCB-2SX | 9,900円 | 112 x 65 x 42 mm / 220g | ベースやエレアコ |
Free The Tone JB-21 | 15,400円 | 100 x 55 x 34mm / 210g | プロ仕様 |
安さで選ぶ:Effects Bakery Curry Bread Junction
2in/2outのみのもっともシンプルなジャンクションボックス。
かなり安く信頼性が低いわけではありませんが、グランドループ対策が弱いデメリットがあります。
入出力端子が上を向いているので、縁があるエフェクターケースの端に設置しても、端子が干渉しないデザインになっています。
●できる限り安いものが良い
シンプルで高音質:Limetone Audio JCB-2S
2in/2outのみのシンプル仕様ですが、音質に徹底的にこだわっています。
音声信号部分など音質に影響する部分はハンドワイヤリングにて結線、配線材の選定、箇所によってハンダを使い分けるなど徹底した工夫を行い、低域から高域までできる限りロスが内容に設計。
グランドループの発生を抑制するなど、ノイズ対策も万全です。
それを生かすために、信号の方向が定められているので、本体表記の「▼」を確認して使用してください。
ベース/エレアコ向き:Limetone Audio JCB-2SX
上記JCB-2Sに、XLR端子を追加した機種。
ベースプリアンプやエレアコなどDIなどからの、バランス出力に対応しています。
プロ品質:Free The Tone JB-21
プロ現場でのシステム構築を重ねる中での要望を満たす製品として生まれジャンクションボックス。
実際に数多のプロのボードに組み込まれるだけあって、音質も耐久性も申し分ありません。
他の機能を必要とせず、音質も追求するならこちらがおすすめです。
4CM/アンプch切替対応ジャンクションボックス
かなり上級者向けですが、回線数が4個以上のジャンクションボックスを紹介します。
エフェクトボードの入手力に加えて、4ケーブルメソッドや、外部コントロールなど、さらに多機能に使えます。
4CM:4ケーブルメソッドは、アンプのセンドリターン端子を使い、プリアンプ部分の後に空間系などのエフェクターがかけられる接続方法です。
足元のエフェクトボードからアンプの裏側まで、ケーブルが一往復する配線のため、煩雑になりがちですが、ジャンクションボックスを用いればセッティングがスムーズにできます。
また、ステレオプラグに対応するジャンクションボックスなら、アンプへラッチ信号を送ることができ、チャンネル切替やエフェクトのon/offなども、スイッチャーなどに一元化できます。
2つめのエフェクトボードを拡張する使い方をする人もいらっしゃいます。
市場相場価格 | サイズ | こんなひとにおすすめ | |
---|---|---|---|
Limetone Audio JC4SM | 12,100円 | 121 x 70 x 46 mm / 275g | 4回線+MIDI |
Free The Tone JB-41S | 19,800円 | 120 x 77 x 56 mm / 370g | 4回線+MIDI |
Free The Tone JB-82S | 27,500円 | 120 x 77 x 56 / 450g | 8回線+MIDI*2 |
Limetone Audio JCB-4SM
音質重視設計のLimetone Audio。
入出力は4回線あり、TRSプラグにも対応しているので、アンプのチャンネル切替や、外部エクスプレッションペダルも接続可能。
MIDI端子も備えています。
Free The Tone JB-41S / JB-82S
JB-41Sは4回線のうち1回線が、JB-82Sは8回線のうち2回線がオーディオラインのバランス信号やステレオプラグを使用したアンプのコントロール信号の接続に対応。
MIDI端子も備えています。
JB-82Sは市販されている既製品としては、最も回線数が多いジャンクションボックスです。
4ケーブルメソッドと外部コントロールなど、すべて同時に行えるフラッグシップモデル。
ボードを省スペース化できる:多機能ジャンクションボックス
ジャンクションボックスに、バッファーやチューナーなど、機能を追加したモデル。
1台2役以上になるので、スペース効率を高めて設置できます。
デメリットは、バッファー等を機能させるために、電源が必要になってしまうことです。
市場相場価格 | サイズ | 追加機能 | |
---|---|---|---|
One Control Minimal Junction Box with BJF Buffer | 4,730円 | 121 x 70 x 46 mm / g | ・バッファー ・位相反転切替 |
Limetone Audio irodori nest | 28,600円 | 111 x 64 x 43 mm / 256g | ・バッファー |
Limetone Audio JCB-4S-Flat | 11,000円 | 70 x120 x 26 mm / 176g | ・重ねて設置可能 |
Providence SYSTEM TUNER STV-1JB | 15,000円 | 115 x 76 x 50 mm / 220g | ・バッファー ・チューナー |
安くて多機能:One Control Minimal Junction Box with BJF Buffer
2in/2outのシンプル設計ですが、バッファーと位相反転スイッチが内蔵されています。
バッファーはOne Control製品で定評がある、BJF Buffer。
音量を変化させずに、ノイズに強い信号に変換してくれます。
同じOne Control の BJF Buffer 単体で、相場価格7,480円するのに、このジャンクションボックスの方は、相場価格4,730円でかなり安く価格がバグってますw
位相反転スイッチは、バンドアンサンブルの中でなぜか音が抜けない、引っ込んで聞こえるといった場合に切り替えると改善されることがあります。
高品質バッファー:Limetone Audio irodori nest
プロの現場でも評価が高いLimetone Audioバッファーirodoriを、ジャンクションボックスに内蔵。
同社のジャンクションボックス同様、音質重視設計でありながら、さらにボード内での音質劣化も防いでくれます。
バッファーのirodoriは、vivid/mellowを内部スイッチで切替可能。ややマイルドになるmellowモードと比べて好みで設定ください。
入出力は4回線あり、TRSプラグにも対応しているので、アンプのチャンネル切替や、外部エクスプレッションペダルも接続可能。
エフェクターを重ねる:Limetone Audio JCB-4S-Flat
こちらは多機能ではないですが、省スペースが図れるので紹介します。
4in/4outの4回線あるジャンクションボックスですが、エフェクターの下に敷くことを想定した平らなデザインが特徴。
強度はそれなりにありそうですが、頻繁に踏んでon/offするエフェクターではなく、チューナーやお気に入りのバッファーなどを上に乗せるのが良いでしょう。
ジャンクションボックス自体のジャックが低い位置になるので、縁に高さがあるエフェクターボードと干渉しない設置ができるよう考慮するか、かさを上げて設置してください。
チューナー内蔵:Providence SYSTEM TUNER STV-1JB
同社の高品質なバッファーである”Vitalizer”と
KORGのペダルチューナー”Pitchblack Advance”、
そしてジャンクションボックスという1台3役の製品。
別々に揃えるよりもかなり安く、またエフェクトボードのスペースを無駄に取らないのもメリット。
バッファーはオン/オフの切り替えができるます。
チューナーにジャンクションボックスの機能もまとめた機種はこれしか発売されていません。