現役楽器屋店員のyosh(@yoshguitarblog)です。
・YAMAHAのパシフィカの評判は良いけど、他の選択肢を探している
・安いギターの品質の低さでギターが弾きづらい、挫折してしまいそう
そんな人たちに紹介したいギターがIbanez AZESシリーズです。
初心者のために開発されたといっても過言ではない、意外とこれまでになかったコンセプトとその条件をしっかり満たしたエレキギターです。
Ibanez AZESシリーズとは
Ibanezは日本が世界に誇るギターブランドとして、ギターミュージックの隆起とともにジャンルの垣根を越えて、長年世界中のトップアーティスト達に愛されています。
Ibanez AZシリーズは、現代のプレイヤーに求められる音と演奏性を実現するために、Ibanezがこれまで蓄積してきたギター作りのノウハウを詰め込み新しいスタンダードとして開発され、発売当初より世界中のプロも愛用している人気シリーズ。
そのAZを初心者にも最適なモデルに仕上げたのが、AZES (AZ Essentials)です。開発にはバークリー音楽大学教授のトモ藤田氏も協力しています。
一般的に初心者向けギターとして販売されているものの多くは、価格先行で商品開発されており、必ずしも”初心者に最適”なギターであるケースは少ないです。
残念ながら弾きやすさを考慮すると職人の人件費がかかってしまったり、パーツや設計の観点から弾きやすいと言われる仕様が採用されないことも珍しくありません。
アコースティックギターでは大手ブランドのTaylorが送るAcademyシリーズが、品質を最優先にした弾きやすい初心者向けギターを開発しており大変好評です。
今回ご紹介しているIbanez AZESも、弾きやすい・様々な音が出せる、まさに”初心者に最適な”エレキギターとしておすすめできる、待望の製品です。
Ibanez AZESの特徴
②:右手が痛くならないサドル
③:オリジナルピックアップによる多彩なサウンド
④:弦交換しやすいペグ
⑤:不良を起こしづらいモノユニットアウトプットジャック
特徴①:弦が押さえやすいネック、スケールと指板R
スケールとは弦長のことを指します。一般的なギターのスケールは648mm(25.5インチ)です。AZESのスケールはそれより少し短い635mm(25インチ)。
スケールは短い方が弦の張力は弱くなるため、左手で弦を押さえる際の力は少なくなります。
少し専門的になりますが指板R(ラディアス)とは、ネックの弦が張られている側の面がどれくらい丸くなっているかを数値で表しています。数字が大きいほど平らになります。
まぁ難しいことは抜きにしてAZESは250mmRと程良い曲面を描いていることで、弦の押さえやすさとチョーキングのしやすさを両立させています。
ミディアムサイズのフレットを採用していることも、同様のメリットが得られています。
ネックは少し薄めです。ナット幅も狭めの42mmなので初心者も無理なく握ることができます。
これらをまとめると左手に優しいギターであると言えます
特徴②:右手が痛くならないサドル
よくある昔ながらのサドルはネジが飛び出ているため、右手を置くと少し痛く感じることがあります。
AZESに採用されているのはComfort Round Saddles。直訳すると快適な丸形のサドル。
その名の通り右手を置いても痛みや違和感がない形です。
先ほどの左手に加えて、右手にも優しいギターというわけです。
特徴③:オリジナルピックアップによる多彩なサウンド
エレキギターはピックアップと呼ばれるマイクから弦の振動を拾い、その信号をアンプで増幅したサウンドが聞こえる構造です。
3つのピックアップを組み合わせることで多彩なサウンドを生み出します。
AZESは従来のギターよりもさらに多彩なスイッチを備えることで、どんなジャンルにも対応できるサウンドバリエーションを持っています。
初心者の方には自分の好きなジャンルが定まっていなかったり、いろいろな曲に挑戦したいという方も少なくありません。弾きやすさに加え、どんな方も気に入るサウンドが出せます。
特徴④:弦交換しやすいペグ
弦は消耗品なので1.2か月くらいの頻度で交換したいもので、その作業は自分でやる必要ががあります。(楽器店でも有料で弦交換はしてもらえます。)
AZESの弦を巻き上げるペグはスプリットシャフト構造。弦を切ってからペグに差し込み巻き上げるタイプなので、比較的かんたんに弦交換ができます。
特徴⑤:不良を起こしづらいモノユニットアウトプットジャック
ケーブルを接続するジャックはAZES独自機構のモノユニットアウトプットジャック。
従来のジャックは使用するにつれてナットが緩んでしまいます。
特に初心者の方の場合は知らず知らずのうちに緩んでしまい、ナットが外れることで
ナット自体を紛失したり、ジャックがギターの中に入ってしまったり、ナットの締め直し方を誤ると断線して音が出なくなる恐れがあります。
そこでナット自体を廃した独自構造のジャックを採用することで、これらのリスクがなくなりました。
ギターの不調が原因で挫折してしまう、、、という事も防いでくれます。
デメリット
・ギターには珍しい木材が使われている
デメリット①:スイッチ類が難しい
特徴で挙げた多彩なサウンドを実現するための切替スイッチが、初心者の方には複雑に感じるかもしれません。
同時に選択肢が多くどの設定で演奏するか迷うこともあるでしょう。
そんな時はボリュームとトーンのツマミは全て右に全開に回しておけば、音は出るのでスイッチはどれでも良いです(笑)
どのピックアップで音を出すか=スイッチをどの設定にするかに正解はありません。ギターは自由なので同じ曲でも弾く人によって、設定が変わります。つまり好みで良いのです。
スイッチを切り替えて音の違いがわかるならなんとなく好きな方を、違いがわからなければどれでも良いです。
最初はとにかく楽しんで演奏して、諦めずに続ける事が一番大事です。
このサウンドバリエーションは中~上級者にとっては、サブギターとして潰しが効く仕様です。
デメリット②:ギターには珍しい木材が使われている
ギターの価格は製造にどれだけ手間ひまをかけたかと、木材やパーツの価格で決まります。
AZESは初心者に最適な構造を最優先していますが、できる限り価格を下げるために木材でコストカットをしています。
そのため高級ギターでは馴染みのない珍しい≒価格が安い木材が使用されているのです。
だからと言ってギターでの使用に全く問題のない耐久性や音ではあるので、木材マニア以外は気にしなくてよいポイントです。
モデル/カラーバリエーション
AZESシリーズは2モデル、色違いで全5機種が発売されています。
AZES31 | AZES40 | |
カラー | VM(Vermilion) IV(Ivory) | BK(Black) MGR(Mint Green) PRB(Purist Blue) |
ピックアップレイアウト | 3シングルコイル | 2シングルコイル+1ハムバッカー |
ブリッジ | ノントレモロブリッジ | トレモロブリッジ |
市場相場価格(税込) | 37,600円 | 39,600円 |
カラーバリエーション
AZES31
AZES40
ピックアップレイアウト
SSS配列のAZES31とSSH配列のAZES40、ブリッジ側のリアピックアップがシングルコイルかハムバッカーかの違いです。
ハムバッカーの方が太い音が出せるので、がっつり歪ませるロックやメロコア、ハードロックやメタルなどにも使いたいという人はSSH配列のAZES40がおすすめです。
フェンダーのギターは、リアピックアップがシングルコイルピックアップのものが多いです。ストラトキャスター、テレキャスターなどが好きだけど弾きやすさを有線させたいという人はSSS配列のAZES31がおすすめです。
ブリッジ
テレキャスターに代表されるのがノントレモロブリッジ、ストラトキャスターに代表されるのがトレモロブリッジです。その違いは以下の通り。
AZES31(ノントレモロブリッジ)
・チューニングが安定する
・締まった(タイトな)サウンド
AZES40(トレモロブリッジ)
・アーミングできる
・広がりのある(オープンな)サウンド
YAMAHA PAC112Vとの比較
これまで最高品質の初心者ギターとして売れている、ヤマハパシフィカシリーズのエントリーモデルPAC112Vとの違いを比べてみます。
Ibanez AZES31 | Ibanez AZES40 | YAMAHA PAC112V | |
ボディ | ポプラ | ポプラ | アルダー |
ネック | メイプル | メイプル | メイプル |
指板 | ジャトバ | ジャトバ | ローズウッドorメイプル |
指板ラディアス | 250mmR | 250mmR | 350mmR |
フレット | 22 | 22 | 22 |
フレットサイズ | ミディアム | ミディアム | ミディアム |
スケール | 635mm | 635mm | 648mm |
ナット幅 | 42mm | 42mm | 41mm |
弦間ピッチ | 10.5mm | 10.5mm | 10.5mm |
ブリッジ | ノントレモロ | トレモロ | トレモロ |
ピックアップ | 3シングル | 2シングル+1ハムバッカー | 2シングル+1ハムバッカー |
サウンドバリエーション | 8通り | 9通り | 7通り |
市場相場価格(税込) | 37,600円 | 39,600円 | 33,660円 |
木材の違いはさほど気にするほどではないでしょう。サウンドはどちらも普通の初心者ギターよりもクオリティが高いです。
特に初心者なら、スケールの短さによる弦の押さえやすさがメリットのIbanez AZESがおすすめです。
ブリッジでの弦の間隔は10.5mmでIbanezもYAMAHAも同じですが、YAMAHAの方はナット幅が41mmでかなり狭いためローコードでは指を開く必要性は少し減ります。この点においてはYAMAHAが魅力的に映るかもしれません。
サウンドバリエーションの幅広さはIbanez AZESに軍配が上がります。あらゆるジャンルに対応できるため、ほかのギターを持っていても使える出番があるでしょう。
YAMAHA PAC112Vの詳細レビューについてはこちらの記事もご覧ください。
おすすめの初心者向けエレキギターは?パシフィカってネットで評判良いけど実際どうなの?はじめてのエレキギター、高価なものだから失敗したくないという方に現役楽器屋店員のYosh(@yoshguitarblog)が[…]
まとめ
Ibanez AZESより安いギターも市場に存在はします。
しかしこれほど初心者に最適な、弦の押さえやすさ、抱え心地といった弾きやすさをこの価格で実現しているギターは皆無と言って良いでしょう。
これならエレキギターを始めたい方には弾きづらさ原因で挫折してしまう恐れのある格安ギターをよりも、ちよっとがんばってでもこの価格のIbanez AZESが圧倒的におすすめです。
ピックアップの違いはありますがどちらもメリット/デメリットで挙げた特殊配線により、AZES31でもハムバッカー風、AZES40でもリアシングル風サウンドが出せるので、アームの有無やカラーで選んでも良いでしょう。
スペックでの判断が難しいなら全部入りのAZES40を選んでおけば間違いないです。