フレットの選び方【種類と特徴の違い】

フレットは材質によってサウンドが、大きさによって主に演奏性が変わります。

フレットレスワンダーってなに?という方やゴールドのフレットなど、

フレットの違いとご自身に合ったフレットの選び方がわかります。

またカタログスペックでも演奏性やサウンドの傾向を想像しやすくなります。

フレットの材質

ニッケルシルバー(Nickel Silver)

フレットに使われる最もポピュラーな材質です。

ニッケルシルバー(洋白、洋銀)は、ナイフやフォークなどにも使われている馴染みのある金属。

銅、亜鉛、ニッケルの合金で、実際にシルバー(銀)は含まれていません。

比較的柔らかく加工性に優れた金属です。

その反面、耐久性にはやや不安があり、摩耗に弱く、長期間使用していると削れて凹んできます。

音詰まりなどが酷い場合はすり合わせやフレット交換が必要です。

それを避けるために1ヶ月に1回の弦交換をおすすめします。

使っていくと色もくすみ始めます。

フレットも半年に一度など定期的なクリーニングをおすすめします。

国産品は三晃製作所、海外製はジムダンロップがポピュラーです。

ステンレス(Stainless Steel)

鉄、クロム、ニッケルの合金。

耐食性が高いため、色がくすまず、弦よりも硬いためほとんど減りません。

一方、そのニッケルシルバーよりも硬いため、高音域が強く出るきらいがあります。

製造時にステンレスフレットを採用しているギターは、木材やピックアップなどトータルバランスでハイがきつ過ぎないよう調整しているものがほとんどです。

また特にダウンチューニング時でも抜けが良くするためにステンレスフレットに交換する、という方法もあります。

また、メーカーによっては弦では減らない耐久性を保ちつつ、硬度を下げることで、トーンを落ち着かせたものもあります。

フレットのサイズ

高さ

高い:押弦が楽、ハンマリング・プリング・チョーキング・ビブラートが容易

低い:スライドが容易

最も演奏性の違いを感じるのがフレットの高さです。

フレットの背が高ければ、フレットの頂点と弦の距離が近くなるため

軽い力で弦を押さえることができます。

ハンマリング・プリングも発音しやすいのもメリット。

逆にフレットが高過ぎると弦を押さえても指板までの距離があるため、強く押さえすぎると音程がシャープしてしまうため、適度な力での押弦が必要です。

また弦高が下げやすいですが、触るだけで実音が出てしまうので、ブラッシングなどカッティング時のミュートがしづらい場合もあります。

低ければその逆ですが、ある程度の高さが無いとチョーキングやビブラートがかけづらいのがデメリット。

広い:スライドが容易、コンプ感が増す

狭い:コンプレッションがかからない

幅が広いとスライドやグリッサンドがスムーズにできます。

接地面が広くなるからかコンプレッションが増す感覚があります。

ベースは弦が太いため幅広なフレットが使われることが多いです。

代表的なフレット

ヴィンテージタイプ

細くほんの少し低めの物です。

ヴィンテージリイシューに良く使われています。

ブルースなどダイナミックな演奏に向いています。

フレットレスワンダー

ヴィンテージレスポールカスタムで使われた幅広く、高さがとても低いフレット。

フレットレスに近づけた演奏感からこの通称がつきました。

チョーキングの頻度が低い当時のジャズギタリストに向けた仕様で、

スライドがしやすいと言えますが、現代の観点から言うと運指のしやすさにはやや疑問が残るため、近年需要はほとんどありません。

ミディアム

現代では最もポピュラーなサイズ。

Jim Dunlopの6105は多くのブランドで使われており、交換用フレットでも定番です。

適度な高さと幅があり、弦の押さえやすさ、あらゆるジャンルに対応できるなどバランスに優れています。

ジャンボ

幅が広く背が高いフレット。

とにかく運指にフォーカスしており、ハンマリング・プリング、スライドがしやすいため

レガートを中心に速弾き向きで、メタル仕様のギターに採用されることが多いです。

Jescar EVO Gold

Jescar(ジャスカー)はドイツのブランド。

ニッケルシルバーやステンレスフレットも製造していますが、このEVO Goldが同社のオリジナル。

EVOは、銅、錫、鉄、チタンの合金。

ニッケルシルバーは含まれておらず、ニッケルアレルギーの方にも安心。

硬度はニッケルシルバーとステンレスの中間(HV250)。

比重はニッケルシルバーとほぼ同じなので、ニッケルフレットから交換してもネック全体の重さが変わりません。

摩耗にも強く、輝きも失いません。

サウンドもややブライトになります。

金は含まれていませんが、見た目が金色でゴールドパーツを搭載したギターにもマッチします。

Freedom Custom Guitar Research Stainless Frests

「HV=ビッカース硬度」…硬さを表す尺度の一つ。
 
・【HV300】従来のステンレスフレット
・【HV210】SPEEDY
・【HV200】硬めなニッケルシルバーフレット
・【HV160~185】一般的なニッケルシルバーフレット
・【HV160】WARM

https://global.fcgrtokyo.com/ja/elements,parts.stainless-fret.html

日本のハイエンドブランドFreedom Custom Guitar Research。

従来のステンレスフレットのピーキーなサウンドを和らげるために、SPEEDYとWARMの2バリエーションのステンレスフレットを展開。

SPEEDYはニッケルシルバーと比較し、輪郭のあるサウンドと2から3倍の寿命を持っています。

WARMはやや立ち上がりが早いながらも音の硬さはありません。寿命もニッケルシルバーよりは長いです。

どちらもくすむことはないステンレスならではのメリットを持っています。

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