・中学生の子どもがギターを始めたがっているけど、始めるなら挫折させたくない
・昔ギターに挑戦しFコードの壁に破れたけど、もう一度チャレンジしたい
・お気に入りのギターは既に持っていて、家でもっと手軽に弾けるセカンドギターを探している
・長身ギタリストの運指フォームに挑戦したい
という人たちにおすすめのギターFender Made in Japan Junior Collectionを現役楽器屋店員のyosh(@yoshguitarblog) が徹底解説します。
使用目的によっては初心者、中級者から上級者とあらゆる人におすすめできる今までになかった製品です。
Fender Made in Japan Junior Collection メリット
①:エレキギターの演奏のストレスが軽減されている
②:レギュラーサイズに勝るとも劣らない音程感とサウンド
③:数少ないショートスケールギターの選択肢が増えた
メリット①:エレキギターの演奏のストレスが軽減されている
もともとは欧米人の体格に合わせて設計されているFenderのギター/ベース。この度登場したMade in Japan Junior Collection(メイド・イン・ジャパン ジュニアコレクション)は、日本人の体格や特徴を調査した縮小サイズに新設計したシリーズです。
ボディとスケールはレギュラーサイズから約94%にスケールダウン。さらにボディはキャビティ(パーツを収める部分)も専用設計したことで軽量化にも成功しています。ストラト、テレキャス、ジャズマスいずれも同じ木材構成のMade in Japan Traditional シリーズでおおよそ3.3kg前後が多いですが、こちらのJunior Collectionは3.0kg弱の個体が多いです。
つまり演奏する際の抱えやすさは、多くの人にとって心地良いと言えるでしょう。
同じく通常のロングスケール25.5インチ(約648mm)より、短い24インチ(約610mm)スケールを採用。ミニギターや同じFenderの中でもムスタングに代表されるいわゆるショートスケールです。
演奏面での利点は弦の張りが弱くなるので、少ない力で弦を押さえられるという点です。
加えてフレットには背の高いナロートールサイズを使っているため、弦とフレットの距離が近く、これもまた押弦時の力を和らげてくれます。
しかしナット幅は通常サイズ同様42mmを採用しているため、コードを押さえる時に他の指と干渉してしまう、という恐れはありません。
極めつけはこれぞ日本製と言える、ギターの弾きやすさを決定づけるナット溝やフレットの仕上げの品質の高さ。ストレスの無い弾き心地はこういった細部の丁寧な仕上げが必要不可欠です。
メリット②:レギュラーサイズに勝るとも劣らない音程感とサウンド
ミニギターをはじめとするショートスケールギターの多くは音程(ピッチ)感が不安定なケースも少なくありません。これは大半のミニギターが安価な工場で製造されていることも少なからず影響がありますが、スケールが短いことも起因します。
しかしMade in Japan Junior Collectionは設計段階、そして精度の高い日本製であることから、音痴ということもありませんでした。
またショートスケールとボディが軽量であることでサウンドもコシが無くなるのではと懸念していましたが、実際に弾いてみると杞憂でした。
新開発の専用ピックアップJunior Collection Modified Single Coilにより、程良くパワー感もあるモダンなフェンダーサウンドを出力します。今風なロックやポップスに良く合うでしょう。
メリット③:数少ないショートスケールギターの選択肢が増えた
ロングスケールは弦に張りがあるから弱い力で押さえられるショートスケールのギターを探している、という人の選択肢は今まで限られていました。
前述の通りミニギターでは安価なためそもそもの品質が満足できなかったり、そうでなければムスタングかジャガーなど魅力はあるもののスタンダードと呼べるものではありません。
Juniorコレクションはまさしく王道のストラトキャスターとテレキャスター、そして近年ではそれらと同等の地位を築いたと言っても過言では無いジャズマスターをラインナップ。
こういった王道フェンダーサウンドでありながら、ロングスケールで感じていた演奏性のストレスをグッと軽減できる新たな選択肢が嬉しい人も少なく無いでしょう。
著名長身ギタリストから考える94%サイズ
そもそものフェンダーのコンセプトとして「いつまでも弾いていたい」ということと、学生や小柄な女性、一度ギターを挫折した方をターゲットに据えていますが、
今まで体格差で諦めていたプレイを実現したい一般的なプレイヤーにもフィットするのではという考察です。
長身ギタリストが構えたギターは小さく見えたりしますよね。
例えば布袋寅泰氏の身長は187cm。94%だと約176cm。ジョンメイヤー氏の身長は190cm。94%は178.6cmにあたります。
Junior Collectionを使えばこれら長身ギタリストのバランスには近づけそうです。ナット幅は通常ギターと変わらないものの、親指を使うフォームでの押弦も手が届く範囲になるかもしれませんね。同様にストレッチフレーズもこれなら届くこともあるでしょう。
Fender Made in Japan Junior Collection デメリット
②:往年のフェンダーファン好みではないカラーとサウンド
デメリット①:初めての1本目にしては高い
こちらのMade in Japan Junior Collection、フェンダーオンラインストアではストラトとテレキャスが119,000円、JazzmasterとJazz Bassは130,900円。初めての1本としてはやや高価に感じる人は多いでしょう。
しかし日本製の弾きやすい高品質で絶妙なサイズの唯一無二のシリーズですのでその価値は十分にあります。
またフェンダーの調査ではギターを初めて1年目に挫折してしまう割合は9割という調査もありますが、弾きやすいギターで始めればその確率はグッと下がります。一生楽しめる趣味が身に付くならば必ずしも高いコストとは言い切れないのではないでしょうか。
とは言え初めての1本で予算オーバーの方はこちらをどうぞ。
楽器屋店員のYosh(@yoshguitarblog)です。ギターの違いや選び方、よくある質問、さらに私が挫折せずに続けられた練習の方法までご紹介します。詳細に書きすぎてかなりのボリュームになってしまったので、目次を見て必[…]
初めての1本目のギターとして必要な条件、最適な機種と選び方を無駄なくまとめました。 ・初めてのエレキギターはどれが良い?・安すぎるギターがダメな理由は?・おすすめ入門ギターを調べたが種類があり過ぎて選べな[…]
デメリット②:往年のフェンダーファン好みではないサウンド
昔ながらのフェンダーが好きな人にとっては魅力的に映らないかもしれません。
カラーに関しては艶なしのパステルカラーがメインですが、スタンダードな艶ありサンバーストやブラックもラインナップされています。
サウンドはモダン傾向なので、ヴィンテージ系サウンドが欲しい人にはやや不満でしょう。その分多くのポピュラーミュージックには扱いやすいサウンドなので、トラッドなジャンルしか弾かない!という人以外には問題無いでしょう。
各モデルのサウンドはこちらの動画で聞けます。
ミニギターSquer Miniとの違い
フェンダーのセカンドブランドスクワイヤーのミニシリーズと比べてみます。
Made in Japan Junior Collection | Squier Mini | |
---|---|---|
ボディ | バスウッド | ポプラ |
メイプル | メイプル | メイプル |
指板 | ローズウッド | インディアンローレル |
スケール | 24インチ(610mm) | 22.75インチ (578 mm) |
指板ラディアス | 9.5インチ (241 mm) | 9.5インチ (241 mm) |
ナット幅 | 1.650インチ(42 mm) | 1.6” (40.6 mm) |
フレット数 | 22 | 20 |
トレモロユニット | あり | なし |
バリエーション | ・ストラトキャスター ・テレキャスター ・ジャズマスター ・ジャズベース | ・ストラトキャスター ・ジャズマスター ・プレシジョンベース |
生産国 | 日本 | インドネシア |
Fenderショップ価格 | 119,900円 | 32,890円 |
ボディサイズやスケール、ナット幅も全てが小さいのがミニギターです。
ミニギターのデメリットとしては短いスケールのため、音程が安定しない傾向にあります。さらに安価なインドネシア製の品質がその傾向に拍車をかけています。
重ねてになりますがMade in Japan Junior Collectionはそういった大半のミニギターの弱点を克服したシリーズです。日本製&ショートスケールで押さえやすく他には無い仕様です。
子ども用にも検討されているのであれば小学校低学年くらいならサイズ的にはSquier Miniシリーズの方がフィットするでしょう。しかし中学生以上で「弾きやすさ」を求めて小さいサイズを探しているのであれば、Junior Collectionが圧倒的におすすめです。
バリエーション
Made in Japan Junior Collection Stratocaster
アーム操作も可能なトレモロユニットは2点支持で操作性はもちろんのこと、チューニングの安定性も図っています。スプリングの響きも加わった適度に広がりのあるストラトサウンドです。
▼カラーバリエーション
・3-カラーサンバースト
・サテンダフネブルー
・サテンヴィンテージホワイト
・サテンサーフグリーン
・ブラック
・サテンシェルピンク
・アークティックホワイト
Made in Japan Junior Collection Telecaster
6連サドルを採用することでコードの響きが綺麗になるよう配慮されています。またボディの裏側をコンターを入れることで抱え心地を向上させるなど、現代のテレキャスの仕様を踏襲しています。タイトで明るいテレキャスサウンドです。
▼カラーバリエーション
・3-カラーサンバースト
・サテンダフネブルー
・ブラック
・サテンヴィンテージホワイト
・サテンサーフグリーン
・バタースコッチブロンド
・サテンシェルピンク
・アークティックホワイト
Made in Japan Junior Collection Jazzmaster
Squier Miniと違って伝統的なジャズマスターのトレモロブリッジを搭載しており、近年人気の正統派ジャズマスサウンドが楽しめます。サドルにはバレル型を採用することでジャズマスターの弱点と言える弦落ちを回避します。
▼カラーバリエーション
・3-カラーサンバースト
・サテンダフネブルー
・サテンヴィンテージホワイト
・サテンサーフグリーン
・ブラック
・サテンシェルピンク
Made in Japan Junior Collection Jazz Bass
完成度の高い正統派ジャズベースそのままにダウンサイズ化。30インチ(762mm)スケールは通常のロングスケール34インチ(864mm)よりも102mm短く、ギターよりも弦が太いベースではさらに押さえる力の少なさを感じることができます。
しかしサウンドに不満を感じることはありません。
また中高生くらいだと通常サイズのベースではヘッドが遠すぎて、チューニングするのも一苦労しそうな光景を見かけます。ネックが短いことでペグに手が届きやすくチューニングも快適に行えます。
▼カラーバリエーション
・3-カラーサンバースト
・サテンダフネブルー
・ブラック
・サテンヴィンテージホワイト
・サテンサーフグリーン
・サテンシェルピンク