●初めてのベースエフェクターで、何を買えばよいかわからない
●メインのエフェクターボードよりも、手軽に運べるサブエフェクターがほしい
楽器屋店員のyosh(@yoshguitarblog)です。市場でも数少ないベース専用マルチエフェクターですが、ZOOM B2 FOURはちょうど良い「音質・サイズ・価格」の三拍子揃った機種です。
●ちょうど良い音質:上位機種B6と同等のアルゴリズムに加え、新開発のマルチレイヤーIRを採用したことでヘッドフォンやライン出力でもニュアンスがしっかり生きるサウンドです。
●ちょうど良いサイズ:今後こだわりが出て実機を揃えたとしても、コンパクトで持ち運びやすいサブエフェクターとしてや、ルーパー+リズムマシンとヘッドフォンでの自宅練習用でもずっと使えそうなマルチエフェクターです。
特長・メリット
①:数少ない”ベース専用”マルチエフェクター
②:わかりやすい操作性
③:ピッキングの追従性が高いマルチレイヤーIR
④:100種類以上のエフェクトを最大5個使用可能
⑤:6種類のDIモデリング
⑥:自宅でも使える充実の機能
⑦:アプリで編集、エフェクト追加が可能
数少ない”ベース専用”マルチエフェクター
現在、ベース専用のマルチエフェクターはほとんどありません。
ZOOMはB6, B3, B1シリーズに加えて、今回のB2 FOURがありますが、現在はBOSSでもGT-1Bの1機種しか発売されていません。
一部製品ではギター用マルチエフェクターの中に、ベース用エフェクターが入っているものもあります。
しかし、ベース専用のものの方が、音色の豊富さやベースに最適化された音色になっているので、扱いやすさに安心感があります。
B2 FOURではインピーダンスの切替スイッチも搭載し、エレキベースの他にも、ピエゾピックアップ搭載のアコースティックベースにも対応。
選択肢が無い中で、B2 FOURは最新機種にして上位機種を踏襲した音質と、29,000円という比較的低価格を実現したコストパフォーマンスの高いベース専用マルチエフェクターというわけです。
わかりやすい操作性
日本のブランドらしく、使いやすさも考慮されています。
上下左右の4つのボタンと、4つのつまみ、グラフィックが表示されるディスプレイを装備。
マルチエフェクターの概念を理解しているプレイヤーなら、説明書が無くてもおおむね操作できてしまいます。
ピッキングの追従性が高いマルチレイヤーIR
新開発の「マルチレイヤーIR」は、1つのキャビネットシミュレータに3つのIRを用います。
「LOUD/MEDIUM/SOFT」の異なる音量で取り込まれた3つのIRを、ベースの音量やピッキングの強弱に応じ、ブレンドして出力します。
これにより従来以上に、実機のキャビネットと同様の反応・音色の変化を忠実に再現します。
特にライン録音やヘッドフォンでの演奏において、心地良い響きが体感できます。
100種類以上のエフェクトを最大5個使用可能
ZOOMオリジナル3機種含む11種類のアンプ/キャビネットモデル(マルチレイヤーIR)と、有名ブティックペダルのモデリングを含む、82種類のエフェクトを搭載。
それらを最大5個まで同時使用可能です。接続順も変更可能です。
一番気になるペダルプリアンプのモデリングは、サンズアンプのベースドライバー、MXR BASS D.I.+、ダークグラスのB7Kといった人気機種を網羅。B6にも搭載されている、多弦ベース対応のDjentも搭載。
アンプもAmpeg, Aguilar, SWRなど有名ブランドを含む11機種。
その他のエフェクト一覧はマニュアルからご覧いただけます。https://zoomcorp.com/media/documents/J_B2FOUR_FX-list.pdf
6種類のDIモデリング
TUBE-1 | 豊富な倍音と太い低域が特長の真空管DI特性を再現しています。 |
TUBE-2 | 明瞭なアタックとタイトな低域が特長の真空管DI特性を再現しています。 |
TUBE-3 | クリアで艶やかなサウンドが特徴の真空管DI特性を再現しています。 |
SOLID STATE-1 | 適度なコンプレッションとシャープな音色が特長のソリッドステートDI特性を再現しています。 |
SOLID STATE-2 | 歪みの少ないクリアな音色が特長のソリッドステートDI特性を再現しています。 |
SOLID STATE-3 | モータウンサウンドが特徴のソリッドステートDI特性を再現しています。 |
OFF | DI MODELをOFFします。 |
バランス出力のDIアウトも装備。
真空管3種類とソリッドステート3種類の、計6種類のDIを再現したモデリングを内蔵。
倍音やコンプレッション感を繊細に再現。会場やジャンルによって使い分けることができます。
自宅でも使える充実の機能
最大60秒の録音が可能なルーパー機能。
ルーパーと動機できる68種類ものリズムパターンも搭載。
チューナーはLow-BやHi-Cといった多弦ベースにも対応できます。
パッチを問わず、全体の音質を調整可能なアウトプットEQ機能も備えます。
AUX IN端子で音楽プレイヤーを接続すれば、お気に入りの楽曲と一緒にベースの演奏が可能。
USB(Type-C)端子でPCやスマホと接続すれば、ベース用オーディオインターフェイスとしても機能します。USBバスパワーで駆動。
ヘッドフォン端子も備えており、自宅練習からステージまでこれ1台で対応できます。
アプリで編集、エフェクト追加が可能
iOS用アプリ「Handy Guitar Lab for B2 FOUR」では、音色調整の編集が可能です。
追加のエフェクトやプリセットパッチもダウンロードできようになります。
デメリット
外部IR使用不可
マルチレイヤーIRを採用しているため、外部のIRを読み込むことはできません。
使い慣れたお気に入りのIRをお持ちの人には、残念なポイント。
エクスプレッションペダルが無い
ボリュームペダルやワウの操作に使うエクスプレッションペダルは搭載されていません。
別売りのペダルを接続する必要があります。
使うプレイヤーが少ないことと、コストを下げること、サイズをコンパクトに収めるためだと思えば納得です。
B6との違い比較
B2 FOUR | B6 | |
---|---|---|
発売日 | 2023年2月下旬 | 2021年10月中旬 |
市場相場価格 | 29,000円 | 60,390円 |
サンプリング周波数 | 非公表 | 88.2 kHz |
周波数特性 | 非公表 | 20 Hz ~ 40 Hz |
信号処理 | 32ビット | 32ビット |
IR | 専用マルチレイヤーIR11種類・外部IR使用不可 | 36種類・外部IR使用可 |
最大同時使用エフェクト | 5個 | 6個 |
DI | 6種類 | 4種類 |
ルーパー/リズム | 最長モノラル60秒/68種類 | 最長モノラル90秒/68種類 |
フットスイッチ数 | 4個 | 9個 |
ディスプレイ | タッチ操作不可 | タッチ操作・4.3インチカラー |
入力端子 | インプット、AUX IN | インプットx2、リターン、AUX IN |
出力端子 | アウトX2(L/R)、XLR、ヘッドフォン | ステレオアウト(アンプ/ライン(ヘッドフォン))、XLR、センド |
コントロール端子 | エクスプレッション・ペダル | エクスプレッションペダル |
USB | USBオーディオインターフェイス機能/電源 | USBオーディオインターフェイス機能 |
電源 | DC9V/センターマイナス/500mA(ズーム AD-16)またはUSBモバイルバッテリー | DC9V/センターマイナス/500mA(ズーム AD-16) |
サイズ | 146 mm (D) x 249 mm (W) x 72 mm (H) | 228 mm (D) x 418 mm (W) x 65 mm (H) |
重量 | 906 g | 1,890 g |
価格が約3万円と6万円で倍の差があります。
しかしすべてがB6の下位互換というわけではなく、マルチレイヤーIRやDIモデリングが6種類ある点は新機種B2 FOURならではの機能。
サウンドの違い
アンプやエフェクターのモデリングは世代が同じ。B2FOURのサンプリング周波数が、非公表なのでここに差がありそうです。
IRが一番大きな違いです。
B6・・・外部IRも使える。
B2 FOUR・・・外部IRは使えないが、最新のマルチレイヤーIRが使える。
今後B6のアップデートでマルチレイヤーIRが導入される可能性があるかもしれませんが、愛用しているIRがあるなら、拡張性の高いB6、
好きなIRを探すのが面倒くさい、そもそもキャビネットシミュレータを使わないならB2 FOURで良いでしょう。
複数の音色をよく切り替えるならB6がおすすめ
最大同時使用エフェクト数やフットスイッチの数から考慮すると、複数のエフェクターを組み合わせる事が多かったり、曲中に音色を切り替えるという人はB6が良いでしょう。
初めてのベースエフェクターや、サブとして使うならB2 FOURがおすすめ
最初の1台として買っても、ずっと使える
ベーシストが初めて買うエフェクターは、ベースプリアンプという人も少なくありません。
しかし現在は物価高騰の影響もあり、定番ベースプリアンプ(サンズアンプ Bass DriverやMXR M80 Bass D.I.+など)は約3万円します。
B2 FOURはそれらのベースプリアンプのモデリングはもちろん、100種類以上のエフェクターが入っているます。そう考えるとZOOM B2 FOURの価格は、けっこうお買い得では?と思えます。
さらに自宅でのヘッドフォンの練習にも使えます。
初めてのエフェクターとして購入してしまえば、今後マイアンプや大型エフェクターボードを導入しても、自宅練習にずっと使えそうですね。
持ち運びやすいサブとしても使える
中級者以上でも「メインのボードは大きくて持ち運びが大変だから、軽いリハーサルや練習では荷物を増やしたくない」という人も少なくないのではないでしょうか。
B2FOURはケースにも入るコンパクトさながら、上位機種同等の音質なので、リハーサルでも十分対応できます。
29,000円というちょうど良い価格、B6クラスのちょうど良い音質、ベースケースに入れて運べるちょうど良いサイズの三拍子そろった、コストパフォーマンスに優れたベース専用マルチエフェクターです。
●ベースプリアンプが欲しいけど、なにを選べばよいか迷っている
●欲しいエフェクターが複数台ある
●家ではベースの低音が周りの迷惑になるので、ヘッドフォンでしか練習できない
●メインのエフェクトボードは持ち運びが大変なので、サブに小さくて軽いエフェクターを探している