【うるさい?/弾きにくい?/選び方】YAMAHAサイレントギターレビュー

【完全解説】YAMAHAサイレントギターレビュー【選び方/うるさい?/弾きにくい?】

 
・アパートでもアコギの練習をしたい

・宅録用に扱いやすいアコギを探している

・サイレントギターの長所、短所が知りたい

という人のために、現役楽器屋店員のYosh(@yoshguitarblog)がサイレントギターを使ってみてのレビューです。

サイレントギターの特徴/メリット

・生音が小さい

・ヘッドフォン端子装備

・SRTパワードピックアップシステム

・録音・ライブにも使用可能

・持ち運びにも便利

特徴①:生音が小さい

メーカー公表では一般的なアコースティックギターと比べ

アコギ弦のSLG200は約18%の音量

ナイロン弦のSLG200Nは約10%の音量。

より具体的な内容は下記のよくある質問にて。

特徴②:ヘッドフォン端子装備

jp.yamaha.comより引用

サイレントギターは静かですが生音でも何を弾いているかはしっかりわかります。しかし通常のアコギよりも迫力がありません。

そこでもっとリアルな音で楽しみたい、練習に集中・没頭したい人にも嬉しいのがヘッドフォン接続可能なところ。

エレキギターと違って、ギター本体に直接ヘッドフォンを接続できるので他の機材を用意する必要はありません。

特徴③:SRTパワードピックアップシステム

そのヘッドフォンで聴く音を良くするために、ヤマハ独自のSRT(Studio Response Technology)パワードピックアップシステムが採用されています。

これは初代サイレントギター(SLG100)には搭載されていない機能で、ヘッドフォンで聴く音が圧倒的に良くなりました。

YAMAHAのレコーディングスタジオで実際にマイクで録音した音を内蔵しているイメージで、本体のピエゾピックアップとこのマイク収録の音をブレンドして出力でき、生ギターっぽいボディの響きによる立体感やエアー感を再現できます。

エレキギターのモデリングアンプと同じ感じで意識してよく聞くと、少し誇張された感じにも聞こえますが、ピエゾピックアップのみのライン臭いサウンドよりも、ずっと聞いていて気持ちの良い音になっています。

特徴④:録音・ライブにも使用可能

ヘッドフォンでと説明してきましたが、ケーブルを接続すればアンプで鳴らせます。

アコギとは異なりボディ鳴りによるハウリングが起こらないので、大音量のバンドでも扱いやすいのがメリット。

QUEENのギタリストであるブライアン・メイもステージで使った実績もあります。(毎回ではなさそうなのでお気に入りかと言わるとあれですが、、、笑)

同様にUSBインターフェイスなどと接続すればマイクを立てずに録音が可能です。

そこそこのエレアコでもピエゾピックアップだけでは線が細くなりアコギらしいサウンドを録音するのが難しいですが、SRTシステムを使ったサウンドをアウトプットできますので、手軽にしっかりしたサウンドで録音ができます。

生音自体は小さいので宅録にも最適です。

また本体にはチューナーも内蔵しており、いちいちチューナーを使わなくても良いというのも地味ですが実際に使うと嬉しいポイント。

特徴⑤:持ち運びにも便利

本体フレームの片側(低音弦側)は工具不要で着脱可能。

付属の専用ケースに入れた状態では、通常のギターよりも幅をとらずかなりコンパクトに持ち運びが可能です。

サイレントギターのデメリット/よくある質問

・電源がわずらわしい

・生音の大きさはうるさい?

・弾きにくい?

・スラム奏法できる?

・ギター初心者でも使える?

デメリット①:電源がわずらわしい

ヘッドフォンで聞く、アンプと接続する、チューナーを使う場合には電源が必要です。

電源は電源アダプター、または電池です。

電源アダプターはギター用エフェクターで良く使われるものではなく、センタープラスの12V、純正品PA-3C(定価2,000円)別売。

電池は単三電池2本で、アルカリ乾電池は約22時間、充電式のニッケル水素電池で約18時間駆動となります。

よくある質問①:生音の大きさはうるさい?

冒頭の説明の通り通常のギターと比べて約1から2割程度の音量です。

具体的な体感で言うとSLG200はソリッドのエレキギターの生音より、やや大きく、セミアコより少し小さい音量です。

すなわちテレビや家電を使った生活音くらいの音量なので、集合住宅での使用も問題ありません。

集合住宅にてアコギでストロークでジャカジャカ弾くのは不可能に近いですが、このサイレントギターなら可能です。

通常のギターを消音対策グッズで使用するよりも音量が小さいうえに、演奏性や音色も犠牲にしないのもポイント。

よくある質問②:弾きにくい?

例えば持ち運びを第一に考えたMartin の Backpacker。

ボディの両端が無いため実際に太ももに乗せると、右腕を置く場所がなく弾きづらいです。ストラップを付けてもギターで支える右腕の位置がいつもと違うのでこれまた弾きづらいです。

サイレントギターは立体的なフレームにより、従来どおりのフォームで演奏が可能です。

強いて上げるなら厚さはエレキギターと同程度と薄めなので、違和感とまでは言わないでも一般的なアコギとは少し違います。

ただしネックの太さについては否定的な意見もあります。

他のヤマハのアコギに比べても少し厚みがあるような感じで、薄めのネックシェイプが好きな人はやや不満のようです。

あと残念なのが特にスチール弦モデルにおいて、ナットとサドルが少し高く、結果的に弦高が高く感じます。がっつりアコギの練習をしたいということであれば良いかもしれませんが、気軽に家で爪弾きたいという人はカスタムライトゲージの弦に替えることで改善できます。

よくある質問③:スラム奏法できる?

ボディがないのでボディヒット=バスドラ的な音は出せません。

弦をミュートして叩く、チャッとしたパーカッシブな音(EXTREMEのMore ThanWordsなどで使われるアレ)は出せます。

超絶テクニカルなやつじゃなければ、フィンガースタイルのソロギターには使えるということです。

よくある質問④:ギター初心者でも使える?

今までギターを弾いたことがない人で、ギターの音は大きいから悩んでいる、という人ならサイレントギターは良い選択肢だと思います。

しかもギターの必需品であるチューナーも内蔵しており便利です。ギターの違いがよく分からないという人はSLG200Sを選べばokです。

サイレントギターのおすすめ機種と選び方

SLG200SSLG200NSLG200NW
フォーク弦 ナイロン弦 ナイロン弦
356mm 356mm 356mm
全長 978mm 970mm 970mm
厚み 85mm 87mm 87mm
重量 2.1kg 2.1kg 2.1kg
弦長 634mm 650mm 650mm
ナット幅 43mm 50mm 52mm
カラー NT(ナチュラル),TBS(タバコブラウンサンバースト),TBL(トランスルーセントブラック)、CRB(クリムゾンレッドバースト) NT(ナチュラル),TBS(タバコブラウンサンバースト),TBL(トランスルーセントブラック)、CRB(クリムゾンレッドバースト) NT(ナチュラル)
市場相場価格(税込) 68,255円 68,255円 72,930円

現行モデルのサイレントギターは3種類ありますが、選び方は非常にシンプル。

選ぶポイントは普通のアコギ弦(スチール弦)が欲しいならSLG200S。

ナイロン弦の場合、普段エレキやアコギを弾いていて弾きやすいのが良いならナット幅が少し狭い(50mm)のSLG200N

伝統的なクラシックギターと同じナット幅(52mm)が良いならSLG200NWです。

SLG200S

SLG200Sはスチール弦(いわゆるアコギ弦、フォークギター)で、アコギの練習用や、バンドでのエレアコ用におすすめ。

ちなみにスケールが634mmでトリプルオーと同等(632mm)で、少しテンション緩めですが前述のとおり弦高が高いものがあるので、

楽器店などに調整を依頼するか、弦のゲージをカスタムライトやエクストラライトゲージに交換するなどで調整してください。

弾き語りなど一般的なアコギの練習がしたいならこのSLG200S一択です。色はお好みでどうぞ。

SLG200N

SLG200Nはナイロン弦。ナット幅が少し狭く、普段はアコギやエレキを弾いている人でも弾きやすく手軽にナイロン弦のサウンドが得られます。

録音などで手軽にナイロンの音が欲しい場合や、家でしっとり弾きたいという方におすすめ。

SLG200NW

SLG200NWはナイロン弦で、Wはワイドナット(クラシックギターでは一般的な52mm幅)です。

クラシックギターの練習用ではこちらのSLG200NWが良いでしょう。

まとめ

2022年現在でここまで完成されたサイレントギターはこのヤマハ製しかありません。

以前はシンソニードギターという似たようなものも日本で流通していましたが、演奏性もサウンドもこのヤマハ製には大きく劣りますので、中古で見つけてもおすすめしません。

ヤマハサイレントギター SLG200はこんな人におすすめ

・家でもアコギを思いっきり鳴らしたい
・集合住宅など近隣の住人や、同居の家族に迷惑をかけずにギターの練習がしたい
・マイクで録ったようなアコギの音をラインでレコーディングに使いたい
・バンド内でエレアコを使うときにハウリングに困っている
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