・ギターなどの楽器演奏配信を行いたい
・ついでにDTMにも使えるUSBオーディオインターフェイスだと最高
という人のために現役楽器屋店員のyosh(@yoshguitarblog) がライブ配信ミキサーとして定番機種となったYAMAHA AG03とAG06のアップデート版を解説します。旧機種からの進化点、AG03MK2とAG06MK2 違い比較と選び方をふまえてレビューします。
YAMAHA AG03MK2/AG06MK2 の特徴
①:配信に最適化されたライブミキサー
②:DSPによる高音質エフェクト
③:Windows/Mac/iOS/Android対応
④:ギター直接入力可能
⑤:DAWソフト、動画編集ソフト付属
①:配信に最適化されたライブミキサー
2トラック録音再生ができるライブミキサー。メインの入力端子はXLR/フォーンどちらも挿せるコンボ端子は、+48Vファンタム電源対応でコンデンサーマイクにも使用可能です。
USB接続した機器でBGMを再生した音とミキサーから入力した音を同時に配信するLOOPBACK(ループバック)機能、マイク入力を消音できるミュートボタンなど、USBオーディオインターフェイスには必ずしも搭載されていないストリーミングライブ配信時に最適な機能が搭載されています。
豊富な入出力と機能を搭載しながら本体はコンパクトで軽量。電源はパソコンから給電できるUSBバスパワー、もしくはモバイルバッテリー(5V 900mA以上)を使えばどこでも仕様できます。
②:DSPによる高音質エフェクト
192kHz/24bitの高解像度なサウンドクオリティ、USB-C接続と内部回路で音質を向上させています。コンプレッサーやEQ、リバーブ、ギター用アンプシミュレータといったエフェクトも内蔵。
PCやiOSデバイスをUSB接続することでアプリ「AG Controlloer」で細かく設定できます。
③:Windows/Mac/iOS/Android対応
Windows/Mac/iOS/Androidすべてに対応します。
Windows, MacはUSBケーブルにて接続、電源はUSBバスパワーで駆動するためコンセントとの接続は不要です。
LightningコネクタのiPhone/iOSはLightning-USB3カメラアダプタが必要です。また電源は別途USBコンセントが必要です。
Androidは残念ながらUSBによるデジタル接続ができず、3.5 mm 4極ステレオミニケーブルをAUX IN端子に接続して使用します。電源も必要です。
④:ギター直接入力可能
GUITARスイッチを押してギターを直接接続できます。ギター演奏、弾き語りの配信がどこでもできます。
⑤:DAWソフト、動画編集ソフト付属
音楽制作用DAWソフトCubase AIと配信音声制作・動画編集用ソフトWaveLab Cast(通常価格7,700円)が無料で付属します。
これからDTMや動画配信をしたいという方、初めてのUSBオーディオインターフェイスにもおすすめです。
初代AG03/AG06との違い
初代AG06 | AG06MK2 | |
---|---|---|
USB端子 | Type-B | Type-C |
D-PRE | ○ | × |
Windows/Mac | ○ | ○ |
iOS(iPhone/iPad) | △ | ○ |
Android 4極接続 | × | ○ |
ループバック機能 | ○ | ○ |
ミュートボタン | × | ○ |
ファンタム電源 | 1chのみ | 1ch,2ch |
付属ソフト | Cubase AI | Cubase AI Wavelab Cast |
USB接続端子および内部回路による音質
初代には搭載されていたsteinbergのURシリーズやYAMAHAのミキサーに内蔵されているClass A マイクプリアンプ D-PRE が、MK2には非搭載。しかしMK2は機器との接続がUSB-Cを採用と内部回路(オペアンプのグレード等)がアップデートされたことで、従来モデルに比べ音質も改善したとあります。
ギュイーントクガワさん比の較動画があがりました。若干音質が異なりますが、大きな差というのは正直無さそうです。
対応機器
WindowとMacにはいずれも対応しています。MK2はiPadに加えiPhoneにも対応と表記されるようになりました。
AUX IN端子
AUX IN端子は初代は入力のみでしたが、MK2では4極プラグ(TRRS)ケーブルを使用することでAndroid端末やiPhoneと接続すれば入出力に対応します。
ミュートボタン
初代はフットスイッチ接続でのマイクのミュートon/offが可能ですが、MK2はそれに加え本体のボタンが追加されたので手元での操作も可能になりました。
ファンタム電源の数
AG03は初代とMK2ともにマイク入力は1本のみで、ファンタム電源対応です。初代AG06はch1に1つのみ、AG06MK2はch1とch2それぞれに対応しており、コンデンサーマイク2本同時使用が可能となりよりよい環境での配信が可能です。
付属ソフト
DAWソフトCubase AIに加え、MK2は動画編集も可能なWavelab Castソフトも付属します。YouTube等のSNS活動にも使えますね。
D-PRE非搭載とはいえ劇的な優劣の差がなく、ボタンの操作性や対応機器の豊富さなど使い勝手はMK2が明らかに向上しています。特にMacユーザーはケーブル1本で接続できるのもポイントです。
AG03MK2とAG06MK2の仕様違い比較
AG03MK2 | AG06MK2 | |
---|---|---|
入力ch | ・1/4″モノラル(MIC/LINE)or 1/8″ヘッドセットマイク ・ステレオ(LINE)/モノラル(Guitar) ・USB IN ・AUX INPUT | ・1/4″モノラル(MIC/LINE)or 1/8″ヘッドセットマイク ・モノラル(MIC/LINE/Guitar) ・1/4″ステレオ(LINE) ・RCAピンステレオ(LINE) ・USB IN ・AUX INPUT |
出力ch | ・1/4″モニターアウトL/R ・RCAピンモニターアウトL/R ・1/4″ヘッドフォン or 1/8″ヘッドセット出力 ・AUX OUT | ・1/4″モニターアウトL/R ・1/4″ステレオアウトL/R ・1/4″ヘッドフォン or 1/8″ヘッドセット出力 ・AUX OUT |
CH1機能 | COMP/EQ, REVERB, MUTE | COMP/EQ, REVERB, MUTE |
CH2G機能 | COMP/EQ, AMP SIM, REVERB(全てアプリでのみ操作可) | COMP/EQ,(アプリでのみ操作可), AMP SIM, REVERB, MUTE |
USBオーディオ | 2in/2out, 24-bit, 最大192kHz | 2in/2out, 24-bit, 最大192kHz |
ファンタム電源 | +48V | +48V |
フットスイッチ | REVERB ON/OFF or MUTE ON/OFF | REVERB ON/OFF or MUTE(CH1) ON/OFF |
電源電圧 | DC 5V, 900mA | DC 5V, 900mA |
サイズ | 126 x 63 x 201 mm | 152 x 63 x 201 mm |
重量 | 800g | 900g |
付属品 | USBケーブル,Cubase AI, Wavelab Cast | USBケーブル,Cubase AI, Wavelab Cast |
メーカー希望価格 | 18,700円 | 23,100円 |
カラーは両機種ともにホワイトとブラックの2色展開です。
AG03MK2とAG06MK2の主な違いは入出力端子の違いです。
使用用途別での選び方
AG03MK2とAG06MK2の主な違いは入出力端子の違い=マイクが2本させるかどうかです。選び方は配信の使用用途が決め手になります。
AG03MK2 | AG06MK2 | |
---|---|---|
歌or雑談orゲーム配信 | ○ | ○ |
2人で配信 | × | ○ |
エレキorエレアコ配信 | ○ | ○ |
アコギ弾き語り配信 | × | ○ |
キーボード配信 | ○ | ○ |
トークや歌用のマイクが1本のみで良い、「歌・雑談」、「ピックアップ付ギターやラインアウトがある楽器」での配信はAG03MK2で対応できます。特にアンプシミュレータ搭載のためマルチエフェクターを持っていない人も、エレキギターでの配信に使えます。
2人で対談配信や、ピックアップ非搭載のアコギをマイクで拾う必要がある場合は、マイクを2本接続する必要があるのでAG06MK2が必要です。
細かいところですがch1の音量調整がAG03MK2ならフェーダーで操作しやすく、なんたって見た目がカッコいいです(笑)。もちろんAG06MK2も音量調整は可能ですが、つまみでのコントロールとなります。
いずれの機種もパソコンから出る音を一緒に配信できるループバック機能と、一時的にマイクを消音するミュートボタンを搭載している、ライブストリーミング配信ミキサーとして間違いないシリーズです。
AG03MK2のみボーカルや楽器での使用に最適な単一指向性コンデンサーマイクYCM01、スタジオ品質のヘッドホンYH-MT1、XLRマイクケーブルが付属するAG03MK2 LSPK もラインナップ。これから配信を始めたい方におすすめのセット(希望小売価格: 40,700 円(税込))です。
2022年4月発売予定です。サウンドハウスや一部店舗にて予約受付開始されました。