太いゲージなら太い音が出る、という定説を何度も聞いてきましたが、
海外ユーチューバーの Rick Beato が興味深い結果のビデオをアップしています。
ヘビーゲージ vs ライトゲージ
Rick Beatoは音楽への情熱と製造の豊富な経験により、多くの有益なコンテンツを発信しています。
太いゲージの方が良いトーンになるというのが定説です。
しかし冒頭のビデオではそれぞれのゲージが持つトーンと、異なるギタリストが使ってきたゲージを紹介しています。
SRVの回答
80年代中期、多くのギタリストが09-42ゲージを使っていました。
驚異的なブルースリフとペンタトニックのソロを奏でるスティービー・レイボーンが状況を一変させます。
SRVのトーンは12や13のヘヴィゲージによるものだと、当時のギターコミュニティで急速に広まりました。
しかし実際に彼のキャリア終盤には11ゲージを使用、ロングスケールに半音下げチューニングだったため、10のレギュラーチューニングと同等のテンションです。
90年代にはゲージはさらに広がりを見せます。
Sonic Youthが独自のチューニングを使用したり、NirvanaやPearl JamらがドロップDチューニングを使いはじめます。
09ゲージはダウンチューニングに対応できないため、多くのギタリストが10ゲージを使う傾向にありました。
さかのぼって60年代は
しかし60年代のロック/ブルースギタリストは、ダブルストップやチョーキングビブラートのために、実際には08ゲージを使用していました。
注目すべきところは、当時はまだ新しかったストラトキャスターが12ゲージ(3弦ワウンド弦)で出荷しされており、ギタリストはまずゲージの細い弦に交換していました。
一部のギタリストは細いバンジョー弦も混ぜて使用していたようです。
Frank ZappaやJimi Hendrix、Jimmy Pageは細いゲージを好んだと言われています。
ZZ TopのBilly Gibbonsは、BB Kingになぜそんなに太い弦を使っているのかと尋ねられてから、08ゲージ交換したという逸話があります。
BBもライトゲージが好みだったようです。
ライトゲージ = クラシックトーン?
ここで疑問なのが、ライトゲージを使えばクラシックロックやブルースのトーンになるのか?ということです。
冒頭のYoutubeでは同じギターで、ゲージの異なる弦でレコーディングし、客観的な判断をしています。
Rickは演奏性といくつかの興味深いポイントを指摘しています。
ゲージの違いによるサウンドの違い
動画では 11-54, 10-46, 09-42, 08-38の4つのゲージを比較しています。
比較は動画の 14:49 から(ヘッドフォン推奨)
意見をまとめると
・11と10の違いは明らか
・09や08の方がローエンドとミッドの輪郭がはっきりしている
・09がベスト
・いやミッドは08の方が良い
・細い弦はダメだと思っていた
とにかく明らかなのは
ゲージによりサウンドは変わっているということです。
動画はドライブサウンドですし、クリーンでも違いは出そうですね。
ギター弦はベースほど高くも無いですから気になった方はぜひ、いろいろなゲージを試してみてください。
最近はネットの情報を鵜呑みにして、実際に試さない人も多いです。
まぁそれも良いのですが、自身で試行錯誤すると経験値は圧倒的に変わりますし、
今後の機材選びの傾向がわかりやすくなりますから、上手くなりたい人はぜひ自分で試すことをおすすめします。
ちなみにゲージでネックの反り具合は変わるので、試す際は最低限ネック調整もセットで行ってください。
この記事を書いていてとあるプロギタリストの方がミディアムスケールのギターに10-46ゲージを使用し、ドロップBチューニングにしていることを思い出しました。
ピッチが不安定になりやすいのでピッキングは気をつけなければならないけれども、
サウンドはこちらの方が好みだとのことでした。
もちろん、サウンドだけでなく演奏性が変わりますからそのバランスで自分が納得できるゲージを見つけていただければ幸いです。
ぶっちゃけ08-38なんて店頭では圧倒的に売れていませんが、この経験をもとに新たに提案してみたいと思いました。