【スペックの読み方】フレット数

エレキギターはスペック(仕様)から演奏性やサウンド傾向が比較的把握しやすい楽器です。当ブログでは【スペックの読み方】と題し、スペックの違いによるギターのキャラクターの違いを説明します。

ネットで好みのギターを探したり、オーダーメイドする際の参考になれば幸いです。

では今回のテーマはフレット数。

とくにサウンドの違いにおいて、他の方々もあまり言及していない部分に触れています。

【スペックの読み方】フレット数

フレット数と言っても実は音域だけではなく様々な影響があります。

音域広ければ備えあれば患いなし、とりあえず24フレットまであれば良い!

とだけしか考えていない方こそぜひ読んでいただきたい内容です。

演奏面においての違い

フレット数と聞いて一番意識するところは演奏可能な音域だと思います。

単純にフレット数が多いほど、高い音まで演奏できますね。

ほとんどは下記3つに分かれると思います。

・21フレット
・22フレット
・24フレット

21フレット

fender.comより引用

ストラト、テレキャスなど主にFenderのヴィンテージスタイルのギターに採用されています。

所説あるようですがわたしの憶測は、レオ・フェンダーはボディとネックを接合する際に、強度やバイブレーションが好ましい位置に合わせると21フレットになったのではないかと思います。

フレット数を増やそうとすると、ネックポケットのザグリとフロントピックアップキャビティが近くなりすぎてしまうことも懸念したのではないでしょうか。

チョーキング無しでの最高音域は、C#です。

ギターで多用されるAキーにおいて、ちょうどメジャー3rdのノートになります。

ただし、もう一方で多用されるEキーにおいては、21フレットから1音半チョーキングでやっとトニックのEに到達するというところが、個人的には制約を感じます。

それすらを楽しむのが真のフェンダー使いと言ったところでしょうか。

22フレット

gibson.comより引用

しかし、それを手軽に解消できるのが22フレット。

チョーキング無しでの最高音域はDです。 1弦22フレットを1音チョーキングでEと非常に気持ちの良いところ。

Gibsonタイプのギターは、ほぼ22フレットですね。

加えて、ストラトにおいても80年代ハードロック/ヘヴィメタルが流行り出し、それ界隈のギタリストはこぞって 指板をつぎ足し、 22フレット化にカスタムしました。

昨今ではフェンダーもモダンスペックのモデルには、このツバ出しの22フレットを採用しています。

24フレット

suhr.comより引用

そして80年代当時のメタルの重要な要素であるハイトーンが求められ、24フレットギターが登場しました。

チョーキング無しでの最高音域がEに到達します。

メタルと言えば6弦開放音Emのキーが多用されており、ギターソロとの相性が良いですね。

事実わたしも中学生時代にXのコピーをしていて24フレットを猛烈に欲していたので、弾きたい曲で必要なら24フレットあるといいですね。

メタルに限らず、昨今ではベーシックなバンドアンサンブルだけでなく、シンセや打ち込みも含め多用なアンサンブルの中で、24フレットの必要性もあるようです。

そのためコンポーネント系のギターも24フレットが人気ですね。

極めつけはスコーピオンズにも在籍したウリ・ジョンロートというギタリストは、スカイギターなるものを開発し、32フレットというとんでもないギターを製作しています。

2010年にはDEAN GUITARSより50本限定で発売もされました。

deanguitars.comより引用

サウンドの違い

これは特に22フレットと24フレットでの違いがイメージしやすいです。

フロントピックアップの位置

24フレットのギターの方が、22フレットのギターよりも、フロントピックアップの位置がリアピックアップに近くなります。

これによりフロントピックアップのサウンドも24フレットの方がややトレブリーになります。フロントピックアップとリアピックアップの関係をイメージすればわかりやすいかと。

たいてい皆さんここまでで説明が終えられますが、もっと重要なことが1点。

T’s Guitars DST-DX22 (T’s Guitars HPより引用)
T’s Guitars DST-DX24  (T’s Guitars HPより引用)

22フレット仕様のギターのフロントピックアップのポールピース位置が、

24フレットの位置=オクターブのハーモニクスポイントになります。

ギターのスケールのちょうど1/4の位置ですね。

つまり弦の振幅が大きい位置で音を拾うことになり、

小さな成分、ニュアンスまでもピックアップされ

フロントの甘い音に芳醇な倍音も乗った素晴らしいトーンがアウトプットできるわけです。

ネックジョイントの位置

特にPRSのCustom22とCustom24や、T’s GuitarsのDSTなど同じモデルで22フレット仕様と24フレット仕様のモデルで比較するとわかるところですが、

ハイフレットでの演奏性などを考慮して、24フレットの方がカッタウェイが深くなります。

結果的にネックのより端にボディがついている形になり、ネックとボディの接合部は当然22フレット仕様の方が強固になります。

そのため、ネックとボディのトータルでの鳴りは、振動がよりよく響く22フレット仕様に分があります。

サウンド的には芯のが出る、という感じです。

フレット数でのギターの選び方

最後にギター選びにおける、フレット数での基準です。

フロントピックアップ自体のサウンドや、トータルのサウンドバリエーションを求めるなら21フレットか22フレット。

その中でも特にストラト・テレキャスのルックスまでしっかりヴィンテージスタイルにこだわるなら21フレット。

フロントピックアップは使わない、もしくはくっきりしたサウンドを求める。または24フレットまでの音域が欲しい(もしものために備えておきたい)なら24フレットが良いでしょう。

個人的にはこの22フレットが、演奏性、サウンドにおいてもっともバランスの良いスペックだと考えています。

なのにわたしがCustom24を使っている理由は、単純にCustom22の流通数が少なく、そのほかの仕様をトータルで考慮すると好みのスペックが見つけられなかったためです。

そのため、今でもドンズバの仕様のCustom22が売っていないかなんとなく探してしまっています。

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