ローズウッドの違い、見分け方は?
パーフェローの手入れ方法は?
という方のために、現役楽器屋店員のYosh(@yoshguitarblog)が、パーフェローについて解説します。
パーフェロー (Pau Ferro)とは?
マメ科マチュリアム属の広葉樹。
産地によっては、その見た目からボリビアンローズウッドとも呼ばれますが、
ローズウッドはマメ科ツルサイカチ属のため全くの別ものです。
安定性に優れた硬度と含油量、加工性の高さから
パーフェローは工房系ではこだわりのストック材として丁重に使用されたり、
FenderのStevie Ray VaughanやJaco Pastoriusのシグネチャーモデルでも採用されており、
知る人ぞ知る高品質な木材のひとつとして使われてきました。
しかし2016年10月にワシントン条約締結会議にて採択されたローズウッド規制により、
低価格帯のギターを中心に、ローズウッドの代わりとなる木材として使用されるようになってきました。
パーフェローがここまで一般的になった一番の理由は、
フェンダーが全てのメキシコ製に代替材としてパーフェローを採用したことが挙げられます。
このためパーフェローは安物ギターに使われる微妙な木材としての認知が広がっています。
しかし前述の高級ギターにこだわって使われているパーフェローは柾目取りの物が多く、
”代替材”として使用されているパーフェローは板目が大半です。
この木取りの違いによるサウンド特性の違いもあり、パーフェローに対する評価・印象も二分する要因にもなっているようです。
パーフェロー指板のサウンド
木材のキャラクターとしては
明瞭でクリア、低域も強いサウンド。
カラッとしたサウンドで、歪ませるとより輪郭がはっきりする印象で
板目の指板でも基本はこのキャラクターですが、
柾目のものであればさらに透き通った高音域と スーッと伸びるサスティンが魅力です。
パーフェローとローズウッドの違い
「パーフェローは、業界の一部では“ボリビアン・ローズウッド”とも呼ばれています。パーフェローは以前からローズウッドの代替素材として知られており、フェンダーではいくつかのモデルにこの素材を採用してきました。さらに幅の広い素材も入手しやすかったため、90年代には5弦ベースの多くにパーフェローを使用しました。」
Fender.comより引用
Fenderのオフィシャルではこのように記載されており、
ローズウッド指板モデルではローズウッドの代わりに、このパーフェローが使用されているため、
見た目のみならず、サウンドなどの特徴もローズウッドに似ていると認識している方も多いです。
しかしながら業界ではローズウッドはパーフェローとは異なる木材として認識されています。
パーフェローはローズウッドと比較すると
比重こそ似ていますが、
密度が均一で導管が小さく、油分は少ないものが多いです。
サウンドの違い
前述のとおりサウンドはエボニーに近い特性を持っています。
同じく高域がフューチャーされるメイプルの方は、よりアタック感が際立ちパンチのあるサウンドです。
いずれにしろローズウッドの温かみの中にも、しっかりと存在する高域を感じさせるサウンドとは一線を画しています。
ルックスの違い
パーフェローの見た目からもローズウッドの代替として選ばれた要因がありますが、その木目や色にも確かな違いがあります。
見分け方としては
パーフェローはそれよりも明るく、色が薄いもしくは赤みが強い
という特徴があります。
また一般的にパーフェローの方が油分が少なくサラッとした質感でもあります。
ところでFender Playerシリーズのようにメイプルとパーフェローのバリエーションを持つモデルも少なくありませんが、
どちらも高域にフォーカスしたサウンドキャラクターと言えますので
このルックスという部分での違いという特徴の方が強いです。
パーフェローはローズウッドの代わりにはならない
硬度や油分によるサウンドの違い、木目とルックスの違い、
以上の理由からパーフェローとローズウッドは完全に別物です。
さらにローズの代替品として普及する大きな要因となったCITESも
楽器に関してはローズウッドの規制を緩和する動きが強まっています。
これから当初のように代替品としてでなく、それぞれの特性を生かした使われ方として
パーフェローが認知されるようになればと願います。
666mmのパイオニアである国産ブランドdragonflyでもパーフェロー指板は積極的に採用されています。
超ロングスケールやステンレスフレットを基本採用している同ブランドにとって
さらにハイファイに現代的なトーンを仕上げる一因になっていることは想像に難くありません。
パーフェロー指板 手入れ
最後にパーフェロー指板のメンテナンスの方法ですが、
基本的にローズウッドと同じく塗装されていない状態のため
同様のメンテナンスで問題ありません。
もともと含油量がやや少ないので頻繁にオイルを塗布する必要はありません。
保湿目的のオイルの塗布頻度は、通常1年に1,2回程度で問題ないでしょう。
おすすめの指板オイルはこちら
同じくローズウッドの代替品としてよく使わる人工材もこちらの記事でご紹介しています。