Fender ノイズレスピックアップの変遷
初代、SCN、N3、GEN 4th、そして今回のUltraで第5世代となったノイズレスピックアップの変遷をご紹介。
テレキャス、ジャズベ、プレべも同様の世代(バージョン)がありますが、本記事ではストラトでご説明します。
ノイズレスピックアップの構造
シングルコイルは繊細で生々しいサウンドが最大の魅力ですが、
その構造からハムノイズと呼ばれる超高音域のノイズが付き物です。
このノイズを解消するために考案されたのが、Gibsonのハムバッカーなのですが、
結果としてサウンドは大きく変わり、それはそれで独自の道を辿ることになりました。
そのハムノイズの打ち消す仕組みを取り入れつつ、シングルコイルのキャラクターをそのまま生かす構造として、
DiMarzioピックアップが開発したのがHS。
コイルを横に並べたギブソンに対し、ディマジオは重ねることで、
シングルコイルのキャラクターをそのままに、ノイズを打ち消すスタック構造のシングルピックアップを開発。
フェンダーのノイズレスピックアップもこの構造にならっています。
Vintage Noiseless Strat Pickups
1998年から2004年まで製造された第一世代のアメリカンデラックスストラトキャスターに搭載されてた初代 Vintage Noiseless Strat Pickups。
これまでにメキシコ製のDeluxe Stratや、レースセンサーピックアップより切り替わった2001年以降のクラプトンモデルにも使われています。
マグネットはアルニコ2。
ピックアップカバーに金色で「Noiseless」の文字が刻まれています。
フラットポールピースを採用したより高出力なHot Noiseless Stratも存在します。
こちらはジェフベックが使用していました。
初代ながら現在もリプレイスメント用として製造され続けています。
Samarium Cobalt Noiseless(SCN)
2004年よりアメデラには第二世代のノイズレスである、
SCN(サマリウム・コバルト・ノイズレス)ピックアップを搭載、
2010年まで製造されました。
かのBill Lawrenceを迎えて設計されたモデル。
アルニコ5よりもパワフルな、サマリウムコバルト合金マグネットを使用しています。
ピックアップカバーには「SCN」が刻印されていますが、無色なので見づらいです。
この時期のAmerican Deluxe Stratocaster HSSには、
フロントに「SCN」、ミドルにはより高出力の「HotSCN」を搭載。
リアのハムバッカーDH-1とのバランスを考慮しての選択でした。
N3 Noiseless
2010年からアメデラ終焉の2016年までに搭載されたのが、N3 Noiselessピックアップ。
マグネットはそれぞれ、フロントがアルニコ3、センターがアルニコ2、リアがアルニコ5となっています。
ピックアップカバーにはシルバーで「N3」と刻印されているので判別しやすいです。
Gen 4 Noiseless Stratocaster Pickups
2016年アメリカンデラックスシリーズの後継としてアメリカンエリートシリーズが登場。
これに搭載されたのがNew4th Generation Noiselessの触れ込みで紹介された、Gen 4 Noiseless Stratocaster Pickups。
マグネットはアルニコ5を使用。
ピックアップカバーには銀色で[Fender]と[NOISELESS]のロゴが入っています。
この中で最も短命なモデルとなりました。
Ultra Noiseless Vintage Strat
そして2019年にアメリカンエリートシリーズの後継としてアメリカンウルトラシリーズが登場。
これに搭載されているのが、Ultra Noiseless Vintage Stratピックアップですが、
これまでのモデルチェンジと異なり、マグネットはアルニコ5を使用するなど
Gen 4thをベースにアレンジを加えたマイナーチェンジのような内容です。
SCNと同じくHSSモデルにも搭載される高出力のUltraNoiseless Hot Stratocaster Pickupsも存在します。
これらもGen 4thと同じくピックアップカバーに[Fender]と[NOISELESS]のロゴが入っています。
ちなみにノイズレスとして初めてJazzmasterとPrecision Bassのピックアップが開発されました。