ビッグマフはファズフェイスと並ぶ、ファズの金字塔。
ギター側のヴォリューム操作で歪み量がコントロールできるFuzz Faceに比べ、
とにかく太く、音圧がある轟音系ファズと呼ばれる特徴により、世界中にビッグマフ愛用者を増やし続けています。
さらにこのビッグマフ、エフェクター黎明期から存在するため製造年毎に様々な特徴があり、ヴィンテージ機種は価格が高騰しています。
そこでエレハモの名物社長マイク・マシューズが、その傾向に喝を入れるべく、人気な年代毎にリイシューが生産されています。
ケンタにインスパイアされたSoul Foodが、そんな開発理念の1発目でした。
これらリイシューのナノサイズビッグマフは現代のユーザー向けに、
●On/OffインジケータLED
●トゥルーバイパス
●9VセンターマイナスのDC駆動
といったスペックにアレンジされています。
それではオリジナルの年代順にご紹介します。
Triangle Big Muff
オリジナルは最初期である1969年のV1、
通称 トライアングルビッグマフ
コントロールつまみのレイアウトが三角だったことに由来しています。
このリイシューサイズのものは全て三角配置になっていますが、V1以降のオリジナルの機種のコントロール配置は横並びです。
Triangle Big Muffレビュー
V1は ジミ・ヘンドリックス、サンタナ、デヴィッド・ギルモア(ピンクフロイド)らが使用していました。
Big Muffらしい図太い轟音系ファズなのは間違いないのですが、
Fuzz Faceにもあるチリチリした感じもあります。
動画はエレハモ社オフィシャルのものに、正規輸入代理店のキョーリツコーポレーションが字幕をつけたものです。
Ram’s Head Big Muff Pi
オリジナルは2代目 1973年製 のV2、
通称 ラムズヘッド
由来はリイシューにも描かれている本体右下electro-harmonixのロゴが羊に見えることから。
ちなみにこれは羊ではなく、女性の顔だそうです。
Ram’s Head Big Muff Pi レビュー
オリジナルのV2はダイナソーJr. の Jマスキスが使用。
スムースで伸びのあるサスティンから、硬く粗い質感もあります。
Nano Big Muff Pi
オリジナルは代目 1973年製 のV3、
通称と言っていいのか わかりませんが、 3rd Version と呼ばれたりします。
大きいサイズのリイシューモデルもこれをベースにしていますので、最も知名度があるBig Muffです。
Nano Big Muff Pi レビュー
こちらのサンプル動画がシングルコイル、先の2機種がハムバッカーなのでわかりづらい(最後に一括で比較した動画もはってあります。)のですが、
実際にはこちらの方がチリチリ感が少なく、丸い感じの音になります。
OP-AMP Big Muff
オリジナルは4代目 70年代後期に少数だけ作られた のV4、
通称 オペアンプ
オペアンプとは集積回路(=IC)のことで、 微弱な信号を増幅 でき、やや複雑な回路をおコンパクトに収めることができます。
通常ファズは比較的 単純な回路でオペアンプが使われることはないのですが、
これにより他とは異なるキャラクターになっています。
OP-AMP Big Muffレビュー
オリジナルはビリー・コーガン (スマッシング・パンプキンズ )の使用で有名です。
ビッグマフ特有の轟音系ファズのなかに、少しディストーション感もあるというサウンド。
図太いというより、ヘヴィという表現が合います。
またOP-AMPのみ、通常のコントロールつまみに加えてTONEのon/offスイッチがあります。
こちらをoffにするとToneノブが効かなくなり、低域も高域もがっつり出る音圧が楽しめます。
Green Russian Big Muff
オリジナルはロシアにて製造されたビッグマフ、
通称 アーミーグリーン
1980年代にElectro-Harmonixは一度倒産しており、
創設者のマイク・マシューズはロシア(当時のソビエト連邦)にわたり、 Sovtek 社を設立。
1990年にロシア製Big Muffの第一弾通称Civil War(シビルウォー)を、
今回リイシューしたアーミーグリーンを経て、ロシア期最後の通称Army Black(アーミーブラック)を、
そして2000年代にElectro-HarmonixをNew Yorkにて再設立、3rdバージョンのリイシューを生産、現在に至ります。
Green Russian Big Muff レビュー
アーミーグリーンは、ロシア期の3機種で最も人気があります。
そのサウンドは他の機種に比べて、さらにディストーション寄り。
セッティングによっては聞いただけではディストーションと思うような歪みの粒立ちと太さ、エッジを持っています。
Big Muff リイシュー全5機種 まとめ
エレハモ公式からヴィンテージとの比較動画も上がっています。
サウンド自体は、数倍もするオリジナルとの価格ほどの差は感じられません。
つまりビッグマフを導入するならこれらのリイシューモデルで十二分にその特徴を堪能できます。
逆に選択肢があり過ぎて迷ってしまいますが、独断と偏見で一言ずつまとめるなら
Triangle・・・ジリジリしたヴィンテージ風味で、コード感のあるバッキング用
Rams Head・・・濃厚な中音域でスムーズなリードサウンドでソロを弾きたい
Nano Big Muff・・・太くブーミーな音でソロを弾きたい
OP-AMP・・・轟音でがっつりやるグランジ、シューゲイザー用
Green Russian・・・ディストーションライクなファズ
という選び方で良いです。
ロシアンを除いて、どれを選んでもビッグマフ感はがっつり堪能できますが、
1台目のビッグマフとして購入を検討しているなら、
音作りの調整幅の扱いやすさとビッグマフってコレだよねという Ram’s Head をおすすめします。