・トゥルーバイパスってなに?
・バッファードバイパスってなに?
・それぞれの見分け方は?
・トゥルーバイパスとバッファードバイパスってどっちが良いの?
という人のために、現役楽器屋店員のyosh(@yoshguitarblog)がざっくり解説します。
・トゥルーバイパスは本来の音のままだが、ノイズに弱い
・バッファードバイパスは音質は変わるが、ノイズに強い
・どちらが良いとかありません。エフェクターの組み合わせや実際の音を聞いて判断しましょう。
詳しく知りたい方はこちらの書籍をどうぞ。
ハイインピーダンスとローインピーダンス
トゥルーバイパスとバッファードバイパスの理解するには、ハイインピーダンスとローインピーダンスも理解する必要があります。
ここではギター・ベースを扱う時に意識したい点だけを超ざっくり説明します。
ハイインピーダンス
ギター・ベースのそのままの音ですが、劣化しやすいです。
劣化は、高音域が減り音がこもる、音が痩せる、ノイズが増えるなどネガティブな音質の変化です。
10m以上の長いシールドやトゥルーバイパスのエフェクターの接続が増えると、劣化しやすいのがハイインピーダンスです。
逆に3mや5m程度のシールドであれば、そこまで神経質になる必要はありません。
- パッシブピックアップ(ギター・ベース本体に電池を使わない)から出力
ローインピーダンス
長いシールドや接続するエフェクターが増えても、サウンドが劣化しづらくノイズにも強い。
バッファーやエフェクターを経由するとハイインピーダンスの信号がローインピーダンスになります。そのためノイズ等には強くなりますが、本来の音からは確実に変化します。変化の具合はバッファーの質に依存します。本来の音に近いものから、レンジが狭くなったように感じるものもあります。
- アクティブピックアップ(ギター・ベース本体に電池を使わない)
- バッファーを接続
- トゥルーバイパスでないエフェクターを接続
トゥルーバイパスのエフェクター
トゥルーバイパスの特徴
- エフェクトOFF時はハイインピーダンスで出力される(劣化しやすい)
- エフェクトOFF時の音質の変化がとても少ない
- エフェクトON/OFF切替時のスイッチングノイズが大きい機種がある
トゥルーバイパスのメリット
- ローインピーダンスで入力すれば、トゥルーバイパスの機種を直列しても音質変化が少ない
- ファズの前段に入れてもファズの効きに悪影響が無い
トゥルーバイパスのデメリット
- トゥルーバイパスの機種のみを直列で繋ぐと、高音域の劣化が激しく、ノイズが乗りやすくなる
バッファードバイパスのエフェクター
バッファードバイパスの特徴
- エフェクトOFF時もローインピーダンスで出力される(劣化しづらい)
- エフェクトOFF時も音質が変化する
- エフェクトON/OFF切替時のスイッチングノイズがほぼ無い
- 機種によってバッファーの品質が異なる
バッファードバイパスのメリット
- エフェクターの後に長いケーブルを使っても、音が劣化しない
- 後続にトゥルーバイパスのエフェクターを直列に繋いでも、音が劣化しない
- 音質変化が少ない高品質なバッファーを搭載しているものもある
- エフェクトON/OFF切替時のスイッチングノイズがほぼ無い
バッファードバイパスのデメリット
- 音が悪くなったと感じるバイパス音になる可能性がある
- バッファードバイパスのエフェクターをいくつも直列で繋ぐと、音が大きく変わる
バッファードバイパスとトゥルーバイパスの見分け方
バッファードバイパス
・電池(電源)が無い状態でOFFにすると音が出ない
・仕様書にバッファードバイパス(Buffered bypass)の記載がある
トゥルーバイパス
・電池(電源)が無い状態でOFFにしても音が出る(出ない機種もあります)
・仕様書にトゥルーバイパス(True bypass)の記載がある
【選び方】どちらが良い悪いではなく、システム全体で考える
2000年代頃以前の製品のバッファーは高音域が削れてしまうものが多くありました。これが原因でバッファー嫌いの人が増えたり、手放しでトゥルーバイパスが良いと思う人が増えていた時代があります。今はトゥルーバイパス盲信者は減りましたが、上記のバッファーをあまり理解していない人たちがいます。
この記事をご覧いただいた皆さんは、それぞれのメリット・デメリットを理解して選べるはずです。
例①:同一ブランドのバッファードエフェクターを直列接続
例えば同じブランドのエフェクターを直列するなら、全てバッファードバイパスの機種でOKです。そのバッファーの音に不満がないことが前提です。
もしそのバッファーの音が不満であれば、常にエフェクトをONにした使い方や、A/Bボックスやスイッチャーで使わない時は信号が通らないように工夫する必要があります。
例②:トゥルーバイパスエフェクターを直列接続
トゥルーバイパスを複数台直列で接続するなら、先頭にバッファーやバッファードバイパスのエフェクターを使えば劣化に強くなります。
全てをトゥルーバイパスにした場合、すべてのエフェクトをOFFにするとノイズが乗ったり、高音域が削れるなどバイパス音が劣化(音やせ)してしまいます。
先頭に使うエフェクターはバッファー内蔵のチューナーがおすすめです。
例③:異なる複数ブランドのバッファードバイパスエフェクターを使用する
異なる複数ブランドのバッファードバイパスのエフェクターを直列で接続で、全てのエフェクトがOFFの状態の場合、おそらくドライ音はあまり好ましくない変化をしているはずです。
というのもギター本体の音色がMAXONのバッファーで音色が変化し、その変化した音色が次のBOSSのバッファーで変化し、さらに次のMXRのバッファーでまた変化し、、、という具合にバッファーの音色変化を重ねていくことで、クリーンサウンドなのに本来の音色からかけ離れていきます。一般的に音やせと表現される音色になってしまいます。
実際に直列接続で好ましくない音色であるなら、スイッチャーの導入を検討しましょう。
とは言え嫌いな音色じゃなければOKです。スペックや通説を盲信せずに自分の耳で判断することをおすすめします。ジョンフルシアンテは10台以上のエフェクター直列接続して、あのシグネチャートーンも生み出している例もあります。
またエフェクターの中にはトゥルーバイパスとバッファードバイパスで切替できる機種もあります。システム全体で不満のない組み合わせや配線方法に決めましょう。
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