World Musical Instruments
世界中の有名ブランドをOEM生産する韓国の工場です。
主なブランドは
・Schecter Diamond Series
・Ormsby Guitars
・B.C.Rich
・Dean Guitars
・Wylde Audio Guitars( Zakk Wyldeのブランド )
・strandberg OS Series(生産完了)
・PRS SE Series (生産完了)
などです。
strandbergのOSシリーズや、PRSのSEシリーズも生産していました。
過去形なのはOSシリーズは現在は生産されておらず、PRSのSEシリーズはインドネシアに生産拠点を移しています。
また意外なところだと、現在はESPの中国工場にて製造されているGrassRootsも過去はここワールドで生産していました。
PRSしかりGrassRootsしかり、マテリアルと人件費の高騰により生産拠点を移されているあたりは、過去の日本の工場に通ずるところがあります。
少し横道に逸れますが、中国の高品質な一部の工場もこのスパイラルに入っています。経済発展のお勉強みたいですね。
話を戻して、このワールド製、個人的に、モデルによってはコストパフォーマンスの高いという印象です。
嫌韓の方にはもう何を言ってもダメでしょうが、実際のとこどうなの?って方はぜひお付き合い下さい。
それでは各ブランド毎のレビューです。
Schecter Diamond (シェクターダイアモンド)シリーズ
このダイアモンドシリーズはUSA企画のモデルですが、実はこの名称、本国サイトには表記されておりません。
中でもロングセラーの
Hellraiser C-1
個人的にはゴリゴリのヘヴィなギターにはコスパ抜群のシリーズです。
・ スルーネックの様なウルトラアクセスジョイント
・ ロック式ペグ
・ トーンプロスブリッジ
・ Xジャンボフレット
というスペック厨も満足な仕様。
個人的に最大のポイントはマホガニーボディに加えネックにもマホガニーを採用している点です。
意外とこれ系のギターでマホガニーネックは少ないんですよね。
このマテリアルのおかげで極悪ハイゲインサウンドが実現しています。
事実USでロードツアーに出ているようなメタルコア系バンドがこぞって使用していました。
クオリティに加え、ヘヴィデューティな頑丈さもツアーバンドには受け入れられていたのでしょう。
セットネックの角度付きヘッドながら、ボリュートがあり、かつ硬めのウレタン塗装により強度は抜群。
わたし自身、ギター回しの際にストラップピンがギターから外れ、吹っ飛ばして床に叩きつけましたが、ヘッドの一部が幅1センチ深さ1ミリほど欠けただけで済みました。
日本でもSiMやFear and Loating in Las Vegasらが初期はダイアモンドシリーズを愛用しており、その縁からシグネチャーモデルをシェクターから発表しています。
また毎年新モデルを追加しており、STILETTO STUDIO 5 FANNED FRET [AD-SL-ST-5-FF]なんかは5弦マルチスケールのアクティブベースが国内定価15万円、実売12万円となかなかぶっ壊れてます。
Ormsby Guitars
ホームページ記載のスタッフさん達の趣味趣向もメタルやプログレなどに傾倒したメンバーばかりで好感が持てますw
特徴的なヘッドストックのデザインと、
6弦ギターは27.5インチ、7弦ギターは27.8インチ、8弦は28.2インチ
という低音弦はかなり長めのマルチスケールを採用しています。
基本カスタムショップ製の位置づけである本国オーストラリア製は50万円前後〜となかなか高額。
ワールド製のプロダクトは、ワンショットの限定生産品が多くあります。
なので、好みのスペックのモデルが販売されていた場合はあるうちに入手しておいた方が良さそうです。
とはいえ、その中でも特に好評なモデルは再生産されます。
次にご紹介するモデルも定期的に生産されている人気機種です。
HYPE G6
オームスビーのフラッグシップフィニッシュのエイジドコパーは残念ながらグラフィックで再現。
これの見た目は近くで見てしまうとまぁまぁですかね。
ステージで使われているのをフロアから眺める分には安っぽさは感じないかと。
価格は6弦モデルが198,000円
まぁ安くはないですがこのマルチスケールの稀有なスペックなら納得できる価格ですね。
6弦でローBや、Aにまでドロップするギタリストにも大いにおすすめします。
アッシュボディでハードテイル+ステンレスフレットでかなりタイトなサウンドに攻められるジェントなモデルです。
が!あの特徴的なデザインのせいでヘッド部の弦が共振しがちです、、、
タイトに刻みたいならフレットラップは必須です。
また、Dシェイプは薄めですが丸みは少なくIbanez的なシェイプとプレイアビリティです。
B.C.Rich
ここ数年はB.C. Richブランドでのギターは製造されていませんでしたが、
2019年12月にワールド社製でいよいよ復活したB.C. Richの新シリーズ。
実売で20万切るくらいの価格設定です。
無駄に多いスイッチ類や、唯一無二のルックスが好きな方やブランド自体のファンであれば、受け入れられる製品だとは思います。
ただし、そのあたりでコストが跳ね上がっているのでしょうか、
ぶっちゃけギター自体のクオリティはPRS SEレベルで個人的には割高感があります。
なので、初回はうちの店は導入しませんでした。
あとおもしろかったのが時代的背景でしょうね、
いままでBichの相性で親しまれてきたシェイプが
Rich”B”なるモデル名になっていました。
長年エンドーサーだったSlayer のケリー・キングもラストツアーではいつの間にかDean Guitarsを使っていました、、、
ディマジオピックアップだったり、ボディトップにエキゾチックウッドを採用したモデルや、Evertuneブリッジを搭載したものなど
新機軸のモデル群が発表されているので今後に期待したいところ。
GrassRoots
中古品のこともありますので、生産されていない製品についても。
韓国製セットネックのレスポールモデルG-LP-50Sが定価5万円だったとは今ではあり得ない価格設定でした。
当時同価格帯のBurny(フェルナンデスのギブソン系モデルのブランド)は中国製でしたし、
現在の中国製グラスルーツのレスポールモデル
G-LP-60は定価6万円です。
ヘッド裏のシリアルナンバーの頭がGWから始まるのが、韓国製です。
PRS SEシリーズ
2019年の新製品、SE Paul’s Guitarより生産拠点をインドネシア工場に移しています。
定番のSE Custom24などその他のモデルも随時変更するようです。
私自身まだインドネシア製のPRSを触っていないのですが、
場合によってはこの2019年以前のワールド工場製のモデルもマニアの間でありがたがられる将来が来るかもしれません。
カルロス・サンタナ発案の「学生にも手が届くPRSクオリティ」をコンセプトにSEシリーズは2001年に発表されました。(SE = Student Edition)
当初はフラットトップだったり、バーズインレイでなかったりと、シェイプやスケールこそはPRSだったものの、まだまだな完成度でした。
しかし年を追うごとにアップデートされ、ルックス面において重要なバーズインレイと、
ボディトップにUSA製のS2と同様のベベルドアーチが採用されることで完成度が上がりました。
またヘッドストックにデカデカと記載された”SE”の文字も控えめになってくれました。
それでも正直、SE Custom24は、まぁまぁかなという感じで自分ではおそらく買いません。
ただ、これはライブなどでも普通に使える!と思ったのがこちら、
SE Mark Holcomb
ペリフェリーのギタリスト、マーク・ホルコムのシグネチャーモデルです。
25.5インチのロングスケールやエボニー指板、メイプルネック(USAのCustom24はマホガニーですが、SE Customはメイプル)、ハードテイルブリッジと、PRSらしさはやや薄れていますが、
楽器としての完成度はかなり高いです。
ファクトリープリセットで10-52の弦がセットアップされドロップCが推奨されています。
仮に試奏の際になんの確認や注釈もなく、レギュラーチューニングで渡されたらそのスタッフはNGです。
このギターやメタル系ジャンルに明るくないスタッフさんです。
そしてピックアップにもマークのシグネチャーPUである、ダンカン製のアルファ・オメガが搭載されており、このピックアップも秀逸です。
ブリッジミュートを効かせたハイゲインから、タップサウンドでのクリスタルクリーン、豊か過ぎるプレゼンスをまとうクランチなど、
メタルコアからジェント、プログレッシブメタルなどで欲しいサウンドがこれ1本でカバーできます。
ネックはサテン仕上げなのもテクニカルなプレイには好印象。(レギュラーのSE Custom24はグロス仕上げ)
ナットやフレット処理はまぁまぁなレベルですが、普通に使えますし、
もし、ガチで使うなら信頼のおけるリペアマンにナット交換してもらうだけで、もっと化けますね。
この辺りがインドネシア工場に移るとどうなるのか、見ものです。
ドロップチューニングはもちろん、弦を変えればレギュラーチューニングでもOKですし、
これはファンならずともPRSでゴリゴリな曲をやりたいという方々におすすめでします。
以上ミドルクラスのOEM製造を手掛けるワールドミュージカルインスツルメンツ社のモデル群いかがだったでしょうか?
ライブで使うもよし、レコーディング用のバリエーションとして、セカンドギターとしてガンガン使える実践向けギターが多い感じですね。
高級ギターに興味が無い方にはおすすめです。