Gibson Generationコレクションレビュー【G-00,G-45,G-Writer EC,G-200EC】
現役楽器屋店員のyosh(@yoshguitarblog)です。
・ギブソンのアコギが好き
・2021年現在で一番安いGibsonアコースティックギターは?
・とにかく明るいサウンドのアコギが欲しい
という方にご紹介したいのが、Gibson Generationコレクションの最新モデル。
2019年のNAMMで発表されたGenerationコレクションのG-45 Standard WalnutとG-45 Studio Walnut。そして2021年9月に新たな仕様を採用しモデルチェンジしたGenerationコレクションのG-45、G-00、G-Writer EC、G-200 ECの4モデルが日本でも発売となりました。
Generationコレクションの特徴
・Made in USAで10万円台
・ボディサイドにも穴(プレイヤーポート)
・ボディ厚とネックシェイプによる弾きやすさ
特徴①:Made in USAで10万円台
例えばJ-45と同じシェイプで最も注目度の高いG-45の市場相場価格はおおよそ14万円前後。
憧れのアメリカ製のギブソンアコギが10万円台半ばという価格は、10年前には考えられませんでした。
安さの秘密は、
・使っている木材=サイドバックのウォルナットは比較的安価
・塗装がサテン仕上げ=艶有り仕上げの磨く工程を省いている
・ヘッドや指板エッジが角ばったままで、細かな仕上げが省かれている点です。
特徴②:ボディサイドにも穴(プレイヤーポート)
ボディサイドにもサウンドホールがあり、演奏者もダイレクトにサウンドが聞けます。
誰かに聞かせるというより、ひとりで演奏を楽しみたいという人にはかなり嬉しい機能です。
特徴③:ボディ厚とネックシェイプによる弾きやすさ
ギブソン代表機種を踏襲したボディデザインながら厚さを若干抑えたことと、
ネックシェイプは「アドバンスドレスポンス」がスリムなシェイプを採用した事で、あらゆるプレイヤーに弾きやすさを提案しています。
さらにG-00とG-45の2機種はギブソンの代表機種J-45同様、スケール(ナットからサドルまでの長さ)が628mmのショートスケールを採用。
スケールが短くなることで弦の張りが弱くなり、左手で弦が押さえやすくなります。
デメリット
・往年のギブソントーンでは無い
・ピックアップ非搭載(ECモデル除く)
デメリット①:徹底したコストカットの影響
前述の安さの理由で挙げた最も演奏性に影響を及ぼすのが、指板エッジが角ばったままという点です。
少なくとも他の10万円台のギターならしっかり面取りされており左手で握りこんでも違和感は無いものですが、ジェネレーションコレクションは明らかに鋭利な角を感じます。
ナット溝の仕上げなどはしっかりされており、ショートスケールも相まって弾きやすさは十分なだけに、指板エッジは残念ポイント。
デメリット②:往年のギブソンサウンドでは無い
同じく価格を抑えるために採用されたウォルナットサイドバック材。近年ギブソンもアコギへ積極的に採用しています。
往年のギブソンサウンドと言えば、マホガニーサイドバックの温かみのあるトーンや、メイプル特大ボディによる低音豊かかかつハリのあるトーンです。
実際に弾いた感じの生音は動画で聴くよりも、はるかにクリスピーです。
一方本機ジェネレーションコレクションの4機種はウォルナットらしく、かなり歯切れが良い明るく軽めのトーン。クリスピーな音が悪いというわけではないのですが、往年のギブソンサウンドを期待してはいけません。
デメリット③:ピックアップ非搭載(ECモデル除く)
看板モデルのJ-45 Standardも含め、現在のギブソンの多くのアコギにはLR Baggs製のピックアップが搭載されています。
G-45とG-00はコスト削減の一環もあってかピックアップは搭載されていません。
プレイヤーポートがある事を考えると、一人で演奏する事に特化した仕様ともとれますね。
G-200EC及びG-Writer ECのピックアップは従来のギブソン同様LR Baggs製のピエゾピックアップElementが搭載されており、流石の透明感ある澄んだサウンド。カチカチなピエゾ臭さはありません。
しかしボリュームコントロールのみのBronzeという廉価グレードのものが搭載されています。明るさ際立つサウンドキャラクターもあるのでトーンで高域が削れるともっと使い勝手が良さそうなのですが、、、
G-00、G-45、G-Writer EC、G-200 ECの違い
G-00 | G-45 | G-Writer EC | G-200EC | |
---|---|---|---|---|
ボディシェイプ | L-00 | J-45 | Songwriter | J-200 |
スケール | 24.75inch (628mm) | 24.75inch (628mm) | 25.5inch (648mm) | 25.5inch (648mm) |
指板インレイ | アクリルドット | アクリルドット | Gコレクションシングルバー | Gコレクションシングルバー |
ピックアップ | なし | なし | LR Baggs Element Bronze | LR Baggs Element Bronze |
市場相場価格 | 120,000円前後 | 145,000円前後 | 170,000円前後 | 220,000円前後 |
左から右の機種へ行くに従いボディサイズが大きく、価格も高くなります。
Generationコレクション4機種の違いは上記の通りで、スプルーストップ、ウォルナットサイドバック、ユーリーネックなど木材やパーツの違いはありません。
前述の通り木材の特性による歯切れの良い明るいサウンドは、全機種に共通して言えます。
ボディが大きい機種の方がスケールが長くなることも相まって、低音域と音圧が強くなる印象です。
あとはボディのカッタウェイとピックアップの有無ですね。
G-00はスモールボディでかなり軽やかなサウンド。ブルージーなフィンガースタイルよりも、ソロギターなんかだとメロディも際立って良いです。
G-45はショートスケールの弾き心地がありつつ、程よいレンジ感がフィンガーもストロークもそつなくこなせるオールマイティな機種。
G-Writer ECはスケール、シェイプ共にMartinスタイルに近く、ある意味ギブソン出なくても良いのでは?と思ってしまいます。G-45よりもさらにオールマイティで一般的なサウンドとも言えます。
G-200ECはこの特大サイズボディが肝。音圧はあるものの木材特性もあり中音域が抜けたドンシャリサウンドで、ストロークでガシガシ弾きたい人に良いでしょう。
G-00とG-200ECという極端な機種の方はキャラ立ちがはっきりして、この機種である意味を感じるのですが、特にG-Writerはちょっと個性が弱いなという感じです。
J-45 Standardとの違い
ギブソンアコギの代名詞J-45の現行機種J-45 Standardと比較してみます。
G-45 | 仕様 | J-45 Standard |
ラウンドショルダー | ボディシェイプ | ラウンドショルダー |
シトカスプルース | トップ | シトカスプルース |
ウォルナット | サイド/バック | マホガニー |
トラディショナル スキャロップド X-ブレイシング | ブレイシング | トラディショナル ハンドスキャロップドX-ブレイシング |
サテンニトロセルロースラッカー | 塗装 | グロスニトロセルロースラッカー |
ユーリー | ネック | マホガニー |
アドバンスドレスポンス | ネックシェイプ | スリムテーパー |
24.75inch (628mm) | スケール | 24.75inch (628mm) |
ストライプドエボニー | 指板 | ローズウッド |
1.725inch (43.82mm) | ナット幅 | 1.725inch (43.82mm) |
なし | ピックアップ | LR Baggs Element VTC |
ギグバッグ | ケース | ハードケース |
145,000円前後 | 市場相場価格 | 26~28万円前後 |
こうやって見ても木材や塗装、その他仕上げなどでグレードの違いは如実です、
スペックだけではわからない部分ですが、特に指板エッジなど演奏面においてJ-45の方がそのストレスを感じないよう、仕上げのクオリティも高いと言えます。
とは言えここまで来るとサウンド自体も全く別物なので、良し悪しの範疇だけではありません。
まぁ中音域豊かないなたい王道ギブソンサウンドが欲しいならJ-45にいくしかありませんね。
まとめ
Gibson Generationコレクションはこんな人におすすめ
・とにかくGibsonが欲しい
・ひとりでじっくり楽しみたい
・エレキ奏者なのでショートスケールで押さえやすいアコギが欲しい(G-00、G-45)
・特大サイズボディで迫力が欲しい(G-200EC)
Gibsonじゃなきゃ嫌だ、ショートスケールが欲しいと言う人でなければ、
特にG-45やG-Writer ECよりも個人的にはTaylor 214ceの方が
・クリスピー過ぎないバランスの良いアコギトーン
・ナチュラルなエレアコサウンド
・徹底した品質管理による演奏性の高さ
といった点から多くの人にとっては扱いやすくおすすめです。