木材の枯渇が叫ばれる昨今、木材の代替品としてギターに使用される素材が出てきています。
代表的な3つのマテリアルを紹介します。
テックウッド(Tech Wood)
ローズウッドの規制により一気に浸透しました。
安価なアジア製ギターにローズウッドの代わりとして指板材によく使用されます。
ポプラなど安価な木材と硬質接着剤を何重もの積層にて接着した材です。
積層構造のため指板材の強度としては問題ありません。
良質な木材よりも安価で安定供給できるため、低価格帯のギターに向いているといえます。
定期的にオイルを塗布することで、指板面からの外気の影響を受けにくくできます
エレキギター博士より引用
とありますが、暖房を使用する冬場の乾燥により、実際の店頭では残念ながら木材よりもかなり影響を受けます。
ローズウッドにフレットのバリが出なくても、程度の差はあれどテックウッドは毎冬ほぼ全ての個体でバリが出ます。
指板オイルで保湿しようにも、油分が全然浸透せず塗布した指板表面がびちゃびちゃのままになるという、店頭での管理はなかなか厄介です。
安価なギターにしか採用されていないことからも、上質な材とは言い難いでしょう。
サウンドの特徴は正直あまりわかりません。
というのも安価なギターに採用されるがゆえ、
出てくるまぁまぁの音が、指板なのか、ボディなのか、ピックアップなのか、
どれが要因か想像しづらいのが本音です。
まあ、この辺りの価格帯で指板はどれがどうというよりは、ルックスの好みで判断すれば良いです。
ブラックウッドテック(Blackwood Tek)
日本ではBacchusのギター、ベースなどで目にします。
表記がBlackwoodとのみ記載されているのでちょっとややこしいですが、
木材のアフリカンブラックウッドなどとは全くの別物です。
Pinus radiata(ラジアータパイン)なる木材を、プラスチックや石油製品を用いず、天然素材のみを使用した圧縮材です。
密度や硬度が高く、温度や湿度による変化の少ない安定性に優れています。
ラジアータパインはマツ科の樹木で、基本的には天然ではなく、ニュージーランドの短期プランテーション(造林)にて栽培されている点も環境保全の一環です。
テックウッドよりも圧倒的に安定性が高いです。
サウンド、演奏感はエボニーっぽい感じです。
後述のリッチライトと比べるとなると、それもまた区別は難しいです。
リッチライト(Richlite)
再生紙とフェノール樹脂から作られています。
紙の積層をフェノール樹脂に浸し、加熱または圧着し成形します。
ちなみにリッチライトは社名です。
The Richlite companyは1943年設立され、産業用途レベルの製品に使用されているため、長期間において高い安定性を誇ります。
リッチライトは主に、エボニーの代替品として採用されます。
ギブソンは2009年頃にはマダガスカルから違法にエボニーを輸入しており、2011年にはそれらの木材が押収されました。
その関係からエボニーのストックが無くなり、レスポールカスタムなどにリッチライトが採用されるようになりました。
マーティンのメキシコ製にも採用されています。
こちらは環境保護の観点から使用されているようです。
ギブソン、マーティンが採用するだけあって品質は高いです。
こちらもテックウッドとは異なり収縮などはほぼありません。
よくエボニーとのサウンドの差を指摘されますが、
サウンドの違いは言われないとわからない、なんなら言われてもわからないレベルです。
それより木材ではないものを使っているという一種のアレルギーとでも言いましょうか、
気になる人には気になりますし、 気にしない人の方が幸せになれると思います。
ルックスは真っ黒ですし、逆にエボニーはTaylorの計らいもありマグロでないカメルーン産エボニーも増えていますからね。
正直言って「ブランドから音が出る理論」と一緒です。
まとめ
いずれのマテリアルも環境保護の観点から使用されています。
テックウッド
安価なギターに使われる。安定性に欠ける。
ブラックウッドテック
テックウッドよりは安定性が高い。
リッチライト
エボニーの代替品として使われる。