Epiphone 1959 Les Paul Standardレビュー【約10万円のおすすめレスポール】
現役楽器屋店員のYosh(@yoshguitarblog)です。
・ギブソンは高くて手が出ない
・正統派レスポールスタンダード見た目が良い
・レスポールのセカンドギターが欲しい
という人におすすめなのが、Epiphone 1959 Les Paul Standard。ギブソンカスタムショップとの共同開発による最強のミドルレンジレスポールです。その理由を徹底解説します。
Epiphone 1959 Les Paul Standard スペックと特徴
ボディトップ | AAAメイプルべニア+ハードメイプル |
ボディバック | マホガニー |
ネック | マホガニー |
ネックシェイプ | 1959ハンドロールド・ネック・プロファイル |
スケール | 24.76″ / 629mm |
指板ラディアス | 12インチ |
フレット | 22 ミディアムジャンボ |
ナット | NuBone |
ナット幅 | 1.69″ / 43mm |
ブリッジ | Epiphone LockTone ABR-1 |
テイルピース | Epiphone LockTone Stop Bar |
ペグ | Epiphone Deluxe with Vintage Tulip Keys |
ピックアップ | Gibson BurstBucker 2/3 |
カラー | エイジド・ダーク・バースト エイジド・ダークチェリー・バースト |
ケース | ハードケース |
市場相場価格 | 8万~10万円前後 |
ビンテージレスポールの中でも最も人気の1959年製レスポールから60周年を記念し、Gibson Custom Shopとエピフォンのコラボで生まれたモデル。
大まかなスペック59年製ヴィンテージ的なのですが、細部までの再現ではなく現代的に使いやすくアレンジしてある部分もあります。(後述)
ピンクのインナーとブラウンの外装のハードケースも付属。
特筆すべき特徴
・ギブソンより安いミドルクラスレスポールスタンダード
・エピフォン最上位グレードによる演奏性の高さ
・ディープジョイント構造
・BurstBuckerなどGibson同等の電装系統
それでは詳しく解説します。
特徴①:ギブソンより安いミドルクラスレスポールスタンダード
最安クラスのギブソンは明らかにコストカットされたフラットトップですし、Les Paul Tributeは杢目トップとバインディングが無く往年のレスポールスタンダードとは言い難い見た目ということもあり、
正統派レスポールスタンダードのルックスながら約8から10万円台の本機は魅力的です。
特に発売当初は10万円ほどでしたが、2021年11月現在には8万円前後、チョイ傷特価品では7万円台のものも出てきておりコスパ抜群になっています。
特徴②:エピフォン最上位グレードによる演奏性の高さ
エピフォンと聞くと所詮ギブソンのセカンドブランド、品質に良い印象がないという人もいると思います。
しかしこのEpiphone 1959 Les Paul Standardは10万円クラスということもあって、これまでの安いエピフォンよりも明らかにクオリティは高いです。
具体的には手作業での細かな仕上げがしっかり施されている点です。これは先述の格安ギブソンはかなり角ばっていたので、それ以上の品質という印象。
ナット溝は適切でローコードも押さえやすく、フレットサイドとネックのエッジも滑らかに丸めてあるので握り心地も良好。
フレットはミディアムジャンボで弦とフレットの距離が近くなっているので、押弦に無駄な力は不要です。
また極太の58年製、薄型の60年製の中間とも言える59年製を再現したネックシェイプ。程良い厚みで握り心地も良くあらゆるプレイヤーにフレンドリーかつ、サウンド面においても好印象な太さです。
特徴③:ディープジョイント構造
ひと昔前には国産レスポールが本家ギブソンよりも優れていると言われていた要素のひとつである、ディープジョイント(ロングテノン)構造を本機でも採用しています。もちろん1959年製もこの構造。
これにより接合部分の設置面積が大きくなることで、ジョイントの強度が増し、弦振動がしっかりボディ・ネックともに伝わり響くことで芯があるサウンドを生み出します。
特徴④:BurstBuckerなどGibson同等の電装系統
エレキギターにおいてサウンドで重要な要素のひとつであるピックアップを中心とする電装系統には、本家ギブソンと同等のものが採用されています。
ピックアップにはフロントにバーストバッカー2、リアにはバーストバッカー3を搭載。
ギブソン製ピックアップのバーストバッカーは、ビンテージPAFを基本設計にしつつ現代的にデザインしており、ギブソンハムバッカーらしいサウンドながら、程よいパワーがあり様々なジャンルに対応します。
またポットもギブソン同様、USAのCTS製、ジャックも同じくスイッチクラフト製を搭載。コンデンサーにはマロリー製を採用。従来のエピフォンよりも明らかにサウンドのグレードが高いです。
さらにボリュームとトーン回路の配線は50年製ビンテージ同様になっており、ボリュームを絞っても高域が削れません。ただしトーンを絞ると音量が下がってしまいます。
デメリット
・ギブソンには劣る品質
・1959年リイシューとしての再現度は低い
デメリット①:ギブソンには劣る品質
格安ギブソンよりは良いとは言え、トータルバランスで考慮すると本家ギブソンレスポールスタンダードは一線を画します。
ローズウッド指板や、ペグ・ブリッジなどのパーツ、色気のある艶のラッカー塗装、そしてPlekによるセットアップ、それらによりサウンドはまさにギブソンのそれ。
とは言え20万円以上という倍以上異なる価格差があればそれも当然です。
エピフォンの半艶仕上げの塗装は、ギブソンピカピカの新品よりも落ち着いた風格のルックスで、この辺は好みの問題かなと。
残念ながらAAA(トリプルA)グレードのメイプルは極薄のべニアと、指板材のローレルはコストカットのためと言わざるを得ません。べニアの下にはハードメイプルが貼ってあるのでサウンド面においてのデメリットはありません。
デメリット②:1959年リイシューとしての再現度は低い
ビンテージレスポールの中でも最も人気の59年製レスポール。その名前を冠しているのは魅力的ですが、再現度という観点で見ると高いとは言えません。
例えば弦交換の際も脱落しないよう固定できるブリッジやテイルピース、弦が押さえやすいサイズが大きいミディアムジャンボフレットなどです。
とは言えこれらは扱い易い現代的アップグレード部分なので、ビンテージ信者でなければ歓迎できるポイント。
ヘッド形状も旧エピフォンよりもカッコよくなったので個人的には気になりませんが、原理主義者からは否定の的になってはいます。
Epiphone Les Paul Standard 50sとの違い比較
仕様 | 1959 Les Paul Standard | Les Paul Standard 50s |
---|---|---|
市場相場価格 | 8万~10万円前後 | 6万〜8万円前後 |
ボディトップ | Carved Hard Maple Cap with AAA Figured Maple Veneer | Carved Hard Maple Cap with AAA Flame Maple Veneer |
ボディバック | Mahogany | Mahogany |
フィニッシュ | Aged Gloss | Gloss |
ネックシェイプ | 50s Vintage 1959 hand-rolled neck profile | 50s Rounded Medium C |
ジョイント | Glued in, Logn Tenon | Glued in |
スケール長 | 629.0 mm / 24.763 in | 628.65 mm / 24.75 in |
指板材質 | Laurel | Laurel |
指板半径 | 304.8 mm / 12 in | 304.8 mm / 12 in |
ナット材質 | Graph Tech® NuBone® | Graph Tech® NuBone® |
ナット幅 | 43.0 mm / 1.692 in | 43.0 mm / 1.692 in |
ブリッジ | Epiphone LockTone™ ABR-1 | Epiphone LockTone™ Tune-O-Matic™ |
テールピース | Epiphone LockTone™ Stop Bar | Epiphone LockTone™ Stop Bar |
チューニングマシン | Epiphone Deluxe with Vintage Tulip Keys | Epiphone Vintage Deluxe 18:1 ratio machine heads |
コントロールノブ | Gold Top Hat with dial pointers | Gold Top Hat |
ネックピックアップ | Gibson BurstBucker™ 2 | Epiphone ProBucker™ 1 |
ブリッジピックアップ | Gibson BurstBucker™ 3 | Epiphone ProBucker™ 2 |
コントロール | 2 Volume, 2 Tone, CTS® pots, Mallory capacitors, 50s era wiring | 2 Volume, 2 Tone, CTS® pots, 50s style wiring |
ピックアップセレクター | 3-way Switchcraft® toggle | 3-way Epiphone toggle |
ジャック | 1/4” Switchcraft | 1/4” |
付属品 | Hardshell Case, Epiphone Limited Edition metal medallion toggle switch back plate | Gigbag |
1959 Les Paul StandardはEpiphone Les Paul Standard 50sの上位機種と言って良いでしょう。ルックスとサウンド、演奏性が向上しています。
- ルックス:1959 Les Paul StandardはGibsonのVOSのようなエイジドフィニッシュ。高級感のある質感で、手触りも良いです。50sの質感はプラスチッキーなポリ塗装です。
- サウンド:ディープジョイントネックと、スイッチクラフト製電装パーツに加えて、1959 Les Paul StandardはGibson製バーストバッカーを搭載。解像度が高く、ギブソンに勝るとも劣らないリッチなレスポールサウンドをアウトプット。出力も少し高いので、歪みとの相性も抜群です。Les Paul Standard 50sはもう少し平面的なサウンドに感じます。
- 演奏性:1959 Les Paul Standardは、スムーズで握りやすいネックシェイプに仕上がっています。Les Paul Standard 50sよりも手作業による工程を増やし、フレットとネックのエッジを滑らかに丸めてあります。
数万円の差がありますが、予算的に買えるなら1959 Les Paul Standardの方が断然おすすめです。初心者が買うはじめての1本などでしたら、Les Paul Standard 50sでも良いでしょう。
まとめ
こちらの動画ではEpiohoneの1959とGibson Custom Shopを弾き比べています。カスタムショップの方が倍音感やレンジの広さがさすがという感じですが、明らかな優劣があるという事じゃないのが、Epiphoneの完成度の高さと言えますね。
わたしも実機を試奏してみて感じたのは弾きやすさは、さすがにハイエンドギターとまではいきません。ですがそもそも本家ギブソンレスポールもハイエンドギターのようにストレスの無い演奏性というわけではありません。つまりそういう弾きやすさの部分でもギブソンとの大きな差があるわけでも、もちろん数万円台のギターより弾きやすいのは間違いありません。
サウンドも重量がしっかりあるボディとハムバッカーによる、甘くダークなサウンドはこれぞレスポールというサウンド。
ずばり購入しやすい価格で音・演奏性・ルックスを兼ね備えたミドルクラスのレスポールとしておすすめです。
こんな人におすすめ
・ギブソンは高くて手が出ない
・正統派レスポールスタンダードの見た目が良い
・初心者ギターからの買い替え
・フェンダー系は既に所有していてレスポールのセカンドギターが欲しい
・ブルースやロックなどトラディショナルなジャンルで使うハムバッカーサウンドが欲しい
もっとテクニカルで現代的な弾きやすさやサウンドが欲しい人にはPRS SE Custom24もおすすめです。