CITES楽器ローズウッド規制緩和

大手フェンダーがメキシコ製にはローズウッドを廃止しパーフェローに変更したり、大量生産の中国工場など安いギターにはウォルナットやテックウッドといった代替材を使うなどの対処に追われるなど、楽器業界を震撼させたローズウッド全面規制。

ミュージシャンが海外渡航の際に空港で止められたり、細かいところでは ローズウッド未使用であっても 20~30万円以上のギターを海外へ送ろうとすると、配送業者が輸出手続きの際にスペックシートの提出を要求してきます。こんな個人レベルでも影響があります。

そんな細部にまで浸透してきつつあるこれが規制緩和されます。楽器業界の悲願!!

ローズウッドの規制とは?

経済産業省ホームページより引用

2016年10月にワシントン条約締結会議にて採択されたローズウッド規制。

ざっくり言うとローズウッドが使用されているギターを輸出する際に正式な手続きを踏むには

使用されているローズウッドの木材がどこから輸入されたか(日本国内にローズウッドは自生していないため)の証明書の添付が必要でした。

採択前のものは証明書の必要はありませんが、採択以前に”日本に入って来ていること”を証明できる書類の提出が必要です。例えばシリアルナンバーやサーティフィケイトから施行前の製造年であることを証明しても、それが施工以前に日本に入っていることも証明しなければなりません。楽器店への仕入伝票や、購入時のレシートなどで良いらしいですが。非常に面倒です。

規制緩和の内容

2019年8月に第18回ワシントン条約締結会議(COP18)が開催され

前回2016年10月に採択されたローズウッドの全種規制ですが、家具などと比べ量も少なく、音楽の文化的観点から今回の規制緩和に至ったようです。

外務省ホームページより引用

ハカランダ(ブラジリアンローズウッド)を除く、ローズウッドを使用した楽器完成品、部品完成品、付属品は先の規制から除外されます。

8月28日の採択から90日以内に施行されるため、今年12月頃から規制緩和される予測が有力です。

※11月30日更新

2019年11月26日より、ワシントン条約の改正附属書が発効します

規制が緩和される種ローズウッド(附属書Ⅱ)※やブビンガを使用した楽器(楽器部品、附属品を含む)等
※ブラジリアンローズウッド(附属書Ⅰ)は、引き続き規制対象。

経済産業省ホームページより引用

ただし次回以降の会議でも定期的に議題に上がるため、改めて規制対象となる可能性もあるようです。

楽器業界、メーカー、ユーザーへの影響は?

木材の輸出入は引き続き規制対象のため、工場や工房での材の入手には手間がかかるため、これから安いギターでもローズウッドが使われるようになったり、大手メーカーでもローズウッド使用機種の価格が下がることは無いでしょう。

むしろ私は良い傾向だと思っていて、アジアの大量生産品にわざわざローズウッドにこだわるようなエントリーユーザーなどはいないでしょうし、代替の安い材、何ならテックウッドなど樹脂で環境保護できれば良いと思います。

そんな安いギターでその音の違い必要!?みたいな。。。安ギター愛好家を揶揄しているわけではありません、悪しからず。

一部中国製の某モデルで、指板やせによるフレットバリがでやすいテックウッドからローズウッドへ戻す計画のある機種もあるようです。(※2019年12月23日更新)

マグロでないエボニーを積極的に使用するTaylor社は評価できますし、それを受け入れるユーザーがもっと育てば良いと思っています。

最近はエキゾチックウッドが受け入れられるため、サップが大胆な材も人気になる風潮ですし良い傾向だとは思います。

楽器屋店員の経験による個人的な意見ですが、材の色やら、そういう細かいことをこだわるユーザーほど対して弾けもしなかったり、なんなら購入すらしない人が多い気がします。

所有欲だから良いのですが、、、声が大きい少数派の意見が広まったり、常識と認識されるようなことになるのが一番の懸念だったりしますので、偉そうにこのようなことブログに書いてみました。


まぁいずれにしろ、今回の規制緩和は真面目にギターを製造、販売する方々には多少良い影響もあるでしょうし、限りある貴重な資源を大切にし、ギター文化を永く継承させていくことは我々世代の使命ではないでしょうか。

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