【スペックの読み方】ナットの素材によるキャラクターの違い

ギターはスペック(仕様)から演奏性やサウンド傾向が比較的把握しやすい楽器です。当ブログでは【スペックの読み方】と題し、スペックの違いによるギターのキャラクターの違いを説明します。

今回のテーマはナット

素材による違いは

硬度、密度による音質の変化と

摩擦率による滑りの違いです。

素材の摩擦が少ないと、アームの使用やチョーキングでのチューニングの安定性が向上します。

もちろん、正しい溝処理が大前提ですが。

Bone(牛骨)

直訳すると骨ですが、主に牛骨が使われます。

ある程度のグレード以上であれば、最もスタンダードな素材です。

歴史的にも弦楽器のナットに使われるポピュラーな素材です。

程良い硬さで芯のあるサウンドです。

天然素材なのでやや個体差があります。

また、画像のような白いものは天然の色ではなく漂白されています。

中にはノンブリーチのやや黄色味がかったものもあります。

オイルナット

牛骨にオイルを含侵させた素材です。

メーカーによりオイルの種類は異なります。

硬度が変化するのか、少し存在感が抑えられ響きに広がりが出る印象です。

オイルにより摩擦が少なくなるため、チューニングの安定性向上します。

タスク(TUSQ)

Graph tech社が開発した新素材。

ワシントン条約により輸出入が禁止されている象牙に近い特徴があるため、人工象牙とも呼ばれています。

クリアで倍音も程よくあり、サスティンも優れています。

摩擦も少なくチューニングも安定しますが、牛骨に比べ摩耗が早いです。

TUSQXL

弦の振動により、素材に含まれるテフロンのマイクロ分子が放出。

これが潤滑剤の役割を果たし、さらなるチューニングの安定性を図っています。

正直目に見えない部分で分かりづらいですが、とりあえずチューニングは安定します。

ギターに合った外観を演出するブラックタスクも同様の特性です。

NUBONE

こちらもgraph tech社の製品です。

いわゆるタスクの廉価版にあたります。

プラスチックとの違いは、硬度による響きの良さと

摩擦で溶けないので、サンダーの摩擦でも溶けない加工性の高さです。

ある程度の価格帯で、最終調整程度の技術者の手が入ることで演奏性が向上しているギターが多い印象です。

Fenderの安価な製品にも採用されているSynthetic Boneもこれにい近い感じです。

樹脂(プラスチック)

安価なギターに使用されます。

溝切も大きなコストになるので、溝もほぼ形成した状態で安価に大量生産できることが要因です。

となれば、精度が低いものも少なくありません。

また削れやすいため耐久性も低いです。

Brass(真鍮)

ブラスナットと言えば、メタル好きにはイングヴェイが使っていることで有名。

金属としてはそこまでですが、ナットに使われる材質としては硬めです。

サウンドも芯がありブライトになります。

響きが金属的すぎるという印象もありますが、輪郭が出るのでモダンなベースや多弦ベースなどに好まれます。

耐久性も高いです。

逆に言えば加工が大変なので、ナット交換のリペア料金は上がります。

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