【スペックの読み方】アコースティックギターのスケール長さ

ギターはスペック(仕様)から演奏性やサウンド傾向が比較的把握しやすい楽器です。当ブログでは【スペックの読み方】と題し、スペックの違いによるギターのキャラクターの違いを説明します。

ネットで好みのギターを探したり、オーダーメイドする際の参考になれば幸いです。

では今回のテーマはアコースティックギターのスケールの違いです。

エレキギターのスケール長の解説はこちら

【スペックの読み方】スケール

スケール(=弦長)とはナットからサドルまでの長さです。

スペックにはScale、もしくは弦長などと表記されます。

長さを表すので単位はmmもしくは “(inch, インチ)が使われます。

●テンションの違いによるサウンドへの影響

テンションは弦のゲージ(太さ)比例しますし、スケールが長いほどテンション感は増します。

テンションが増すと、押さえ心地やピッキング時に感じる弦の強さ、ひいてはサウンドにも影響します。

ざっくり言うと

テンションが強い・・・パワフルでダイナミックなサウンド。ストローク向き。

テンションが弱い・・・しなやかで広がりがあるサウンド。フィンガーピッキング向き。

テンションが強い方が、(強くピッキングした時は特に)弦が振動するエネルギーが大きくなるため

アコギのボディ全体がしっかり響きます。

そのためパワフルなサウンドを出すことができ、ダイナミクスが広くなる

という感じです。重厚感あるサウンドを出すにはピッキングの能力が必要であることは前提です。

一方テンションが弱いと、左手の弦を押さえる力が抑えられ、

同様に右手でのピッキングもピックでも指でも鳴らしやすくなります。

サウンドもしなやかで高音域までしっかり響く広がりのあるサウンドで、柔らかい音色にもできます。

ストロークでも軽やかなサウンドが欲しければテンションが弱い方が向いています。

このようにテンションの強弱は優劣では無く、最終的にどんな音色で鳴らしたいか、が大事です。

ちなみにピッキングがしっかり身についていない初心者の方は弱い方が弾きやすいです。

以下代表的なスケールです。なおエレキギターよりも統一の規格が無くメーカーによってバラつきがあります。

ドレッドノート25.4inch(645mm)

martinclubjp.comより引用

アコギと言えばコレとも言える、Martinのドレッドノート。

アコースティックギターにおいてはロングスケールと言える、スタンダードで長めのスケールです。

パワフルでダイナミックなサウンドが得られます。

同じくMartinでもボディが小さいOMサイズもこのスケールです。

ドレッドノートはほとんどのブランドにコピーされているといっても過言ではありませんが、(Collingsなど)ブランドによってはエレキギターのロングスケールと同じ25.5インチ(648mm)を採用していることもあります。

また、コピーではありませんが、

Gibson SJ-200は25.5インチ(648mm)

Taylor Grand Auditorium (314ceなど)は25.5インチ(648mm)

YAMAHA LLシリーズは650mm

Takamine 500シリーズは644mm

など微妙に異なりますが、ドレッドノートスケール由来と考えて良いでしょう。

トリプルオー(000) 24.9inch(632mm)

Martinにおいてドレッドノートと双璧をなす代表機種OOO。

さらに小さいOO(ダブルオー)、O(シングルオー)もこのスケール。

ドレッドノートよりも低域が落ち着き、高域から低域までバランスに優れたサウンドで、

ストロークではまとまりのあるサウンドとも言えそうです。

他社では

Taylor Grand Concert(312ce等)は 24 7/8 (24.875)インチ (631.8mm)

Takamine 100, 400, 800シリーズは630mm

などがあたります。

Gibson 24.75inch (628.65mm)

ギブソンの多くのアコースティックギターはエレキギターのミディアムスケールと同様です。

J-45やHummingbirdなどギブソンの代表機種はもちろん、L-00など戦前のスモールボディもこのスケール。

Martinのトリプルオーよりほんの少し短いですが、ほぼ同等ですがアコギでショートスケールと言うとこのギブソンスケールを指すことが多い気がします。だからといってトリプルオーをミディアムスケールとは呼びませんが。

この辺りは他ブランドでは、OOOスケールと比較すると誤差範囲な感じで、どちらのモデルを意識しているかに起因していると思います。

ミニギター

これもブランド・機種によって様々で、ボディサイズと比例すると考えて良いです。

ここまでくるとスケールの特徴というよりは、ミニギターの特徴となってきて、サウンド特性がどうこうよりは、

23インチ(584mm)以下の短いスケールでは音程を安定させるために、ミディアムゲージなど太めの弦を使うことが推奨されます。

代表的なところだと

Martin Little Martin LX 23inch(584mm)

Martin Dreadnought Junior 24inch(609mm)

Taylor GS Mini 23.5inch (597mm)

Taylor Baby 22.75inch(578mm)

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